人に教えたくなる!梅雨の花「紫陽花」にまつわるちょっと不思議な噂5選
日本では6月~7月にかけて開花し、暗くなりがちな梅雨を明るく彩ってくれる紫陽花。近年は、母の日や父の日のプレゼントとしても選ばれていますよね。
神社やお寺などに咲いているイメージも強く、日本では昔から馴染み深い紫陽花ですが、実は「不思議が多い花」でもあるんです。
というわけで今回は、ちょっと変わった生態を持つ紫陽花の不思議な5つの噂について検証してみました。
紫陽花ってどんな花?
紫陽花(あじさい・アジサイ)の学名は「Hydrangea macrophylla(ハイドランジア マクロフィラ)」、英語名は「Hydrangea(ハイドランジア)」です。花の色が変わることから「八仙花」や「七変化」などの別名もついています。
原産国は日本ですが、もともとは現在の紫陽花の主なイメージである手まりのような丸い形ではなく、丸い蕾のように見える花の周りに装飾花(ガク)が咲く植物でした。
日本に自生していた紫陽花の原種は「ガクアジサイ」といって、今でも神社や路地裏などで見ることができます。ガクアジサイが日本で品種改良された手まり咲きの紫陽花は「ホンアジサイ」、ヨーロッパで品種改良されて逆輸入された紫陽花は「セイヨウアジサイ」などと区別されます。
紫陽花の品種はとても多く、なんと現在は3000種以上もあるのだとか。低木で日陰にも強く、比較的育てやすいため、地植えだけでなく鉢植えで楽しむ人も多い親しみのある樹木です。
噂その1 紫陽花の花言葉は怖い?
母の日の贈り物やジューンブライドを彩るブーケとしても人気の紫陽花。しかし「紫陽花 花言葉」とネットで検索すると、その後にはなぜか「怖い」のキーワードが出てきます。
その理由としては、紫陽花の花言葉が「移り気」や「冷酷」「無常」などネガティブなものであることがあげられるでしょう。転じて「浮気」などの花言葉もあるとされ、結婚式の装飾としては避ける花嫁さんもいるということ。
これらのちょっと怖い花言葉は、花の色が変化することや、青系のクールな色合いの花が多いことに由来しているといわれます。
これだけ聞くと贈り物にはあまり向かない花のような気がしてしまいますが、実は紫陽花には色ごとに違う花言葉が存在します。
【紫陽花の色ごとの花言葉】
赤・ピンク…「元気な女性」「強い愛情」
青・紫…「知的」「神秘的」「高慢」
白…「寛容」「一途な愛」
緑…「ひたむきな愛」
花言葉からか、母の日には赤・ピンク系、結婚式やお祝い事には白や緑系の紫陽花が好まれるといいます。
とはいえ、贈られる側としてはきれいな花であることに変わりはありませんし、花言葉まで気にする人はごく一部のような気もするので、実際にはそこまでこだわることもないかもしれませんね。
※こちらで紹介している花言葉は一般的なものです
噂その2 紫陽花を使った魔除け・金運アップのおまじないがある?
紫陽花の花は、切り花として飾る以外にもおまじないに使うことができます。見ごろを迎える6月の時期に家の中に吊るすと、魔除けや厄除け、金運アップなどに効果を発揮してくれる縁起物になるのだとか。
【紫陽花の花を使った魔除け・厄除けのおまじない】
- 実行する日…6月中の6の付く日(6/6、6/16、6/26)
- 露地植えや鉢植えの紫陽花を用意する
- 当日の朝に1輪カットする
- 半紙でくるみ、紅白の水引で留める
- 逆さにして家の中の目線より高い場所に吊るす
- 1年間吊るし続け、守ってくれた紫陽花の花に感謝の気持ちを込めて自然へ還す
吊るす場所は、玄関やキッチン、リビングなど好きな場所でOK。トイレに吊るすと婦人科系の健康運アップに効果があるといわれています。
1年吊るした後は、川や海に流してあげるのが良いとされています。
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【紫陽花の花を使った金運アップのおまじない】
- 実行する日…6月の夏至の日(2022年は6月21日)
- 露地植えや鉢植えの紫陽花を用意する
- 当日の朝に1輪カットする
- 半紙でくるみ、金と白の水引で留める
- 逆さにして玄関の目線より高い場所に吊るす
- 1年間吊るし続け、守ってくれた紫陽花の花に感謝の気持ちを込めて自然へ還す
魔除けのおまじないと違うところは実行する日と水引の色、吊るす場所です。金運には人通りのある場所が良いということなので、玄関以外にはリビングのドアの上などでも良いかもしれません。
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他には、自分の名前と生年月日を書いた半紙を使う方法や、前日に切り取った紫陽花の花を一晩夜露にさらし、当日の日の出前に作業するといった方法もあります。
※おまじないのやり方や効果には諸説あります
噂その3 色が変わらない紫陽花もある?
紫陽花の花色が土壌の酸性度(pH度)で変わるのは有名な話。しかしなかには土壌によって色が変化しない紫陽花があるのを知っていますか?
一般的に紫陽花は、酸性の土壌であるほど青っぽい色味になります。
【紫陽花の花色の変化】
- 酸性の土壌…青系
- 中性の土壌…紫
- 弱アルカリ性の土壌…赤系
そもそも紫陽花の花色が酸性度によって変化するのは、紫陽花に含まれるアントシアニンという色素が原因です。アントシアニンは本来ピンク色をしており、土壌から溶けだしたアルミニウムを根から吸収することで青色に変化します。
アルミニウムは土壌が酸性であるほどよく溶けるため、酸性の土に植えられている紫陽花の花が青くなるというわけです。火山大国である日本は酸性の土壌が圧倒的に多いため「紫陽花といえば青」といったイメージが根付いているんですね。
土壌から水を吸い上げる力が弱まるとアルミニウムの吸収量も減るため、同じ場所に植えられていても古い株の紫陽花は赤紫っぽくなることがあります。
ただし、もともとアントシアニンを含まない紫陽花であれば土壌の酸性度によって花の色が変化することもありません。
その紫陽花というのが、「白」の紫陽花です。
土壌の酸性度以外に、水分量やリン酸含有量などによって紫陽花の花色は変化するといわれますが、どちらもアルミニウムに影響を与える物質なのでアントシアニンを含まない白い紫陽花はやはり白のままです。
また、最近では「アナベル」など品種改良によって色が固定されている紫陽花もあります。
ちなみに、手軽に赤い紫陽花を咲かせたいのであれば卵の殻を使った方法がおすすめです。
【赤色の紫陽花を咲かせる簡単な方法】
- 卵の殻の薄皮を除いて乾燥させる
- パウダー上になるまで砕く
- 紫陽花の上に撒く
噂その4 紫陽花には毒があるって本当?
紫陽花は公園や道端にも咲いている身近な植物ですが、食べた人が中毒症状を起こした事例が残っているため口にしてはいけないとされています。
【紫陽花を食べた後に起きた健康被害の症例】
- 嘔吐
- 吐き気
- めまい
- 顔面紅潮 など
厚生労働省が公開している「自然毒のリスクプロファイル」によると、2件ある症例はいずれも飲食店で飾りとして添えられていた紫陽花の葉を食べたことによるものだそう。
紫陽花の毒性成分は未だはっきりと解明されておらず、人間にとって有毒である「青酸配糖体」が原因で中毒を起こすというのが一般的な見解でした。しかし実際の実験によると、品種によって成分や含有量にかなりの差があり、陰性・陽性どちらの検出結果も出ているため断言はできないのだとか。
中国では紫陽花そのものが生薬として使われているだけでなく、釈迦の生誕を祝う「灌仏会(花祭り)」に使われる甘茶の原料は、実は紫陽花の近縁種。甘茶は抗アレルギー作用や代謝促進作用があるとされ、日本でも漢方茶として昔から飲まれてきました。
しかし、甘茶を飲んだ子供が中毒症状を訴えた事例もあるため、近年は多飲することで副作用を起こす可能性が注意喚起されています。
ちなみに、紫陽花中毒の症例は現在のところ「口にした場合」のみなので、飾ったり庭に植えて楽しむ分には問題ないといえるでしょう。
噂その5 植物なのに日光が苦手って本当?
紫陽花の特徴を尋ねた時に、「日向より日陰が好き」「日光がよく当たる場所は苦手」などと答える人は少なくないでしょう。実際、庭先や公園などでは、どちらかというと日当たりのあまり良くない場所に植えられていることも多いです。
植物は基本的に太陽の光で光合成を行っているので、日光が苦手な植物なんているの?と思うかもしれませんね。
実は紫陽花も他の多くの植物と同じように、基本的には日光が好きです。全く日の当たらない日陰で紫陽花を育てると花付きが悪くなり、ヒョロリとした弱々しい株になってしまうので注意してくださいね。
ただし紫陽花は、直射日光と乾燥が大の苦手です!
例えば同じく夏に咲くひまわりなどをイメージしてもらうと、夏の強い日差しの下でも活き活きと咲き誇っていますよね。しかし紫陽花の場合、夏場の直射日光や西日に当たると一気に花がしおれ、葉焼けをおこしてしまうこともあります。強い日差しで土が乾燥してしまうと水切れを起こし、株が傷んだり最悪の場合枯れてしまいます。
紫陽花が苦手なのは日光そのものではなく「直射日光」と「強すぎる日差し」。というわけで、育てるのであれば半日陰になる場所や、直射日光が当たらない明るい窓辺などがおすすめです。
梅雨の時期こそ美しい、紫陽花の花を楽しもう
梅雨入りした6月の時期は、紫陽花の旬真っ盛り。紫陽花は花の色や咲き方も多種多様なので、見ていて飽きません。今しか見られない旬の紫陽花を、ちょっと不思議なウンチクと共に楽しんでみてはいかがでしょうか。
文/黒岩ヨシコ
編集/inox.