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人はなぜ、焚き火にハマるのか?焚き火のプロに聞いてみた

2022.06.18

人生を変える焚き火の魅力

ソロキャンプに行って焚き火をし、ゆらめく炎を見ていると、なぜかほっとする。

このほっとする瞬間が、ソロキャンプで一番の醍醐味かもしれない。

調べてみると、ひとりで焚き火をする行為には、さまざまな心理的効用があるようだ。例えば、「心を解き放つことができる」「五感を呼び覚ますことができる」「集中とリラックスが同時にできる」等々……今まで肌感覚で感じていたことを、明快に答えてくれるのは、一般社団法人日本焚き火コミュニケーション協会の代表理事・三宅哲之さん。


「焚き火場づくり師」という肩書を持ち、『そうだ、焚き火をしよう』という著作もある三宅さんは、一般の人向けに焚き火の魅力とコミュニケーション、ノウハウを伝える活動を行っている。

■「ソロ焚き火」が人気の理由

実施するプログラムでも人気なのが「趣味のソロ焚き火入門講座」。火おこしから後片付けまで、焚き火の手順がまったくの未経験からマスターできると好評だ。

何がそこまで、人々をソロ焚き火に惹きつけるのか。三宅さんは、次のように解説する。

「誰もが忙しく時間に追われる毎日。たまには立ち止まってみることが大切。でもゆったりと腰を据えて、自分と向き合うなんてなかなかできませんよね。

焚き火はそんな場を自然体でつくってくれます。周辺で薪にする木枝を拾っていると五感が開きます。薪を組んで火をおこしていく作業はひたすら没頭します。

おきた火を見つめていると心が落ち着きます。だんだんと頭が空っぽになっていきます。あふれる情報を日々インプットしてばかりだと脳も疲れてしまいますね。まずは容量をあけてみる。

“毎日いろいろあるなあ”“いやなこともたのしいことも……”ささいな出来事を思い返します。

“これまで自分はどうだったんだろう”“これからどうしていきたいんだろう”と、頭と心に余裕ができたら、自分としてのあり方を見つめ直すことができます。

焚き火コーヒーを淹れてみるのもいいでしょう。後半は、美味しいつまみをちょっと焼いてお酒を傾ける。眠くなったらそのままテントへ。そんな至福のひとときが流れるのがソロ焚き火の魅力です」

「趣味のソロ焚き火入門講座」の様子

■二人連れや親子での焚き火の大きな効用

ソロ焚き火の人気とは別に、三宅さんの運営する焚き火専用フィールドには、2人連れで訪れる人も多い。間柄は、夫婦、恋人、友人、同僚など様々だそうだ。

2人で来るから焚き火の効果が落ちるというわけでなく、心の許せる人が傍らにいることで、はじめての場所での不安感がほぐれるというメリットがある。行き違いが生じた夫婦が、焚き火をすることで、元の鞘に収まることもあるという。

さらに三宅さんは、「親子焚き火」もおすすめする。

「親子で一緒に行くと、子供の面倒をみるという感じでいませんか?まずはそこからリセットです。焚き火をイチからつくるのはとてもたのしいものです。薪拾いから始まる自然との接点を子供と一緒になって遊んでください。

“自分は親だから子供を指導しないといけない”。そんな気持ちは要りません。日が暮れるまで無心になって遊んだ『あの頃』に戻って、無邪気に過ごせばいいのです。すると、“パパ、ママにもこんなところがあったんだ!”と、子供にも新たな発見が生まれます。

そう、子供たちと同じ目線に立つというシンプルな行為です。親子で焚き火をするとそんな場面がたくさん生まれます。本書の事例にも記しましたが、親子関係は同じ目線に立ったとき最も良い状態をつくります。

親御さんの素の姿、素直な笑顔こそ、今の子供たちにとって一番大切なものではないでしょうか?親子のフラットなコミュニケーション、肩の力を抜いた焚き火でぜひつくってみてください」

■職場のコミュニケーションの問題をも解決する焚き火

三宅さんが行うプログラムの中には、「焚き火チームビルディング研修」というものもある。

この場合、参加するのは職場のメンバーたち。メンバー間でコミュニケーションの齟齬があるとか、自律型の人材を育てたいとか、あるいは単に親睦を深めて業績向上に寄与したいなど、なにかしら課題を持っている人たちが場を共有して焚き火をするというもの。

日帰りと1泊2日の2コースあり、後者では食材の買い出しから始まる。その後は、(両コースとも)薪拾い、薪割り、そして焚き火づくりなどと続く。

このプログラムのねらいについて、三宅さんはこう語る。

「研修は至ってシンプルです。森の中で薪を拾う、仕分けする、薪組み、着火、火おこし……一連のながれをチームで協働します。
火が安定したら、フラットな会話の場づくりを演出。過去に経験のない自己開示、相手の話に耳を傾ける姿勢。会話が対話に変わる瞬間です。今日を振り返り、明日からどうしていきたいかを共有。みんなで後片付けをして終了です。

職場で起こる問題の多くは人間関係、コミュニケーション不足です。コミュニケーションとは心と心が通い合うこと、会話スキルではありません。

前提は所属する人が“ありのままの自分”を出せることです。焚き火を囲むと自然体になれ、本音の会話が生まれます。黙っていてもOK。沈黙にこそ価値があります。

火を見つめながら、相手のこと、自分のことをじっくり振り返る。これからのあり方を考える。お互いの“人生の背景”を共有すると、今までにない深いつながり、真の相互理解が生まれます。人間の原点に立ち返る場。個を尊重し組織を活性化する。これが研修のメインテーマです」

「焚き火チームビルディング研修」のハイライトの焚き火づくりのひととき

三宅さんのお話をうかがうと、なぜキャンプで焚き火をすることに誰もがこだわるのか、よく理解できる。焚き火は、まさに「現代人が忘れかけていた大切なものを取り戻す時間」を与えてくれる、

かけがえのない手段なのだ。もし、人生に疲れたら、焚き火を囲みに三宅さんのフィールドを訪れるといいだろう。きっと、大事な何かを得るはずだ。

三宅哲之さん プロフィール
1964年広島生まれ。日立系家電販売会社にて現場と本部で「地域一番店づくり」に従事。「伝説のチームづくり師」の異名をとるなど活躍するも、公式の場でのCEO直言で一転、サラリーマンとしてのどん底に。その後、ベンチャー創業に営業責任者として参画。新規開拓営業チームを率いるも、3か月で倒産失業など波乱に見舞われる。こうした実体験を経て独立後は、組織と個人のあり方をテーマに、働き方多様化デザイナーとして2千人を超えるビジネスマンと向き合う。コミュニティ門下生は600名を超える。自身も山の拠点を構え、二拠点複業リモートワークを実践。カウンセリング×ファシリテーション×チームビルディングを掛け合わせた「双方向型」セミナー研修を得意とする。焚き火でフラットなコミュニケーションの場をつくる研修は、他にない独自性をもつ。参加者の内面を引き出し、その場で形にする現場目線のコンテンツ開発に注力している。
公式サイト(takibi fan):https://jmtf.jp/

文/鈴木拓也(フリーライター)

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