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【ヒャダインの温故知新アナリティクス】異世界転生モノが流行る理由

2022.06.26

異世界転生モノ

 このたびDIMEで連載を持つことになりました。最近のトレンドを取り上げながら、昔はどうだったっけなぁとのんびり考えるコラムにする予定です。

 さて今回なのですが、ここ数年流行している「異世界転生」ものにトライ!

 まず異世界転生ものを知らない方へ簡単な説明ですが、主人公が現世から不慮の事故やアクシデントでRPGのようなファンタジーの世界の登場人物に転生して、前世の記憶や知識を使って大活躍していく、というのが大筋。「なろう系」とも言われていますね。(「小説家になろう」という投稿サイトで流行が始まったことから)。

 私もなろう系小説原作の漫画が大好きで何作も読んでいるのですがフォーマットが似通っているんですね。まず男性主人公の場合。ブラック企業だったり、いじめられていたり、日常生活を鬱屈と過ごしていた主人公が不慮の事故で即死、その後中世ヨーロッパのようなファンタジー世界に快活な青年として転生し、びっくりするほどの能力、チートレベルの身体能力や頭脳で他を圧倒して一気に英雄! かわいい女の子にもモテモテ、ハーレム状態になっちゃうよ! 謙虚な主人公は高慢なライバルや敵をなぎ倒していって勧善懲悪やったぜバンザーイ。

 一方、女性主人公の場合に多いのが「悪役令嬢転生」もの。乙女ゲーの世界に転生するんですが、ゲームの主人公ではなくて主人公に意地悪して恋路を邪魔する悪役令嬢として転生。何もしないとゲーム内では悪役令嬢は国を追われたり殺されたり散々な目に遭うんですが、それを避けるために一生懸命フラグをへし折り、聡明に立ち回り、原作とは違う「いい人」として主人公や攻略対象のイケメンたちの信頼を得ていく、というのが大筋です。

「強くてニューゲーム」とネットの登場が変えた価値観

 なぜこの型に収束するのか、と考察。まず男性側。転生後の苦労がほとんどないんですね。生まれつき万能で圧倒的。この設定で思い出されるのが95年発売のスーパーファミコンソフト『クロノ・トリガー』の「強くてニューゲーム」。これは一度クリアしたら特典として、ストーリーの最初からクリア時の強い状態からスタートできるんですね。序盤のザコ敵やボスをワンパンでやっつけることができるわけです。実際使うと万能感が半端ない! 「世の中チョロ!」と感じるわけです。それまでのRPGは苦労がつらい。『ドラゴンクエストⅡ』なんて3歩歩くと敵でしたからねえ。しかし年月を重ねるたびにゲームの難易度は選択的になり、ネットの普及もあり、攻略は簡単になりました。なろう系読者のボリュームゾーンはクロノ発売以降の生まれ。あの万能感を幼少期から浴びて育ち、ネットでいろんなものを即時的に見られる、知れる。そんな彼らにとってチートレベルの転生は理想の世界であり、そこに旧態依然とした「努力・根性」は不要といったところでしょうか。

 女性側はどうでしょう。まず嫌われ者として転生する。そこから信頼を得ていく姿は『花より男子』を思い出します。学園で嫌われながらも花形であるF4に気に入られ、しかしそれに媚びることなく努力根性でがんばって、徐々に学園での居場所を見つけていく牧野つくしの姿は悪役令嬢の奮闘と被る部分があります。セーラームーンやプリキュアのように生まれつき選ばれた者ではない。しかしその苦境を自分の力で変えていこうとする姿に女性読者が共感する理由は何でしょう。男女で二分するのも陳腐な理論ですが、女性のほうが現実主義なのかもしれません。万能主人公なんかに生まれたら妬まれる。それより自分自身で道を作っていくほうがかっこいい。昨今の女性の強さを象徴していると私は考えます。

 てなわけで、なろう系の流行はデジタルネイティブ世代の万能感、そして女性が強くなった昨今の価値観の表われなんじゃないかなというふうに落ち着きました。そんな私が今一番楽しみにしている連載は『悪役令嬢転生おじさん』。ベテラン漫画家となろう系の融合がケミストリー! まだまだ目が離せないジャンルです。

PICK UP!

『悪役令嬢転生おじさん』

『悪役令嬢転生おじさん』
著/上山道郎 少年画報社 715円

文/ヒャダイン

ヒャダイン

ヒャダイン
音楽クリエイター。1980年大阪府生まれ。本名・前山田健一。3歳でピアノを始め、音楽キャリアをスタート。京都大学卒業後、本格的な作家活動を開始。様々なアーティストへ楽曲提供を行ない、自身もタレントとして活動。

※本記事は、2022年5月14日に発売された雑誌「DIME」7月号に掲載された記事を転載したものです。

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