3Dプリンター住宅
世界的に住宅建設費が高騰する中、低コスト化の切り札として期待されるのが人手をかけず、外壁や天井、床を3Dプリンターで造る次世代の住宅だ。日本でも、スタートアップのセレンディクスが、グランピング施設や別荘、災害復興住宅への活用を想定した、国内初の3Dプリンター住宅『スフィア』の発売を開始した。
自然災害に強い球体デザインを採用し、価格は約3坪で300万円。初施工では、家1軒がわずか23時間12分で完成した。
「建築コストの大半を占める資材の物流費と人件費を大幅に低減し低価格を実現しました。球体構造に加え、22tの躯体重量により、強風に強く、高い耐震性も備えています」(セレンディクスCOO・飯田国大さん)
現在、慶應義塾大学と共同で、来春49平方メートル500万円の2人暮らし用3D平屋家屋のプロトタイプを開発中。脱炭素化、CO2削減、廃棄量の減少などの課題にも対応しながら、2023年12月には、〝30坪300万円〟の一般向け家族暮らし用平屋家屋の販売をスタートする考えだ。
この令和版一夜城によって、クルマのように気軽に家を買い替えられる時代がやってくる。
住み心地は未知数だが、3Dプリンターの進化により機能は常時バージョンアップ。長期住宅ローンからの解放も魅力で、一般向け住宅ができれば多くの人が飛びつくだろう。
近未来的躯体の球体住宅
『スフィア』の躯体はコンクリート造りで壁面には断熱材も入る。現段階では職人が行なう外壁塗装も、今後、完全な無人施工を目指す。
一般向け住宅も開発中
慶應義塾大学と共同開発した2人用フジツボモデル49平方メートルの完成予想図。設計・CG・資料提供:慶應義塾大学・益山詠夢特任准教授。
取材・文/安藤政弘
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2022年4月30日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。