全寮制インターナショナルスクール
日本で今、全寮制のインターナショナルスクールが開校ラッシュを迎えている。9月には英国の名門パブリックスクール*であるハロウ安比校が、来年9月には同じく英国の名門・ラグビー校が開校する。なじみの薄い全寮制スクールはどのような教育が特徴なのか。ハロウ安比校のミック・ファーリー校長が語る。
「まず国語以外の学習はすべて英語で行なわれます。これはほとんどのインターナショナルスクールがそうですが、全寮制の場合は教員やスタッフも含めて、全員が学校に住んでいます。その生活の中で教員、スタッフ、ハウスマスター(寮長)が全生徒の性格や特徴を把握し、そのキャラクターにフィットした最高のプログラムを個々人で組んでいきます。また、体験学習も各分野のプロコーチを招き、音楽やスキー、ゴルフ……などあらゆる分野の素養を育みます」
また、相次ぐ開校の背景について国際教育評論家の村田学さんは「学校設立を受け入れた各自治体が、日本の〝生徒を画一化する〟教育に危機感を持ち始めているのではないか」と分析している。
生徒ひとりひとりを育てていく、教育スタイルは今後進学の選択肢として浸透していくに違いない。
最上級の国内留学が可能になった反面、年間300万円が相場といわれる高額な学費や繊細になりやすい思春期の子供たちの寮生活をどうケアしていくかが課題になりそうだ。
パブリックスクールと呼ばれる英国の名門校『ハロウ校』『ラグビー校』
9月に開校するハロウ校では、日本最大級のスキーリゾート、36ホールを持つゴルフ場、18面のテニスコートなどの施設も利用できる。
*3歳から18歳までの子弟を教育するイギリスの私立学校の中でも上位1割を構成する格式や伝統あるエリート校
取材・文/高久拓郎