たった一人の人間と、ある晩出会ったことがきっかけで、今まで築き上げてきたものが崩壊していく……。
出会いは偶然だったのか、それとも悪意をもって緻密に張り巡らされた罠だったのか。
2022年2月2日よりシーズン2が独占配信中の『ダークデザイア』は、メキシコで製作されたサスペンス・ミステリー。
1話が30~40分と、他のドラマシリーズよりもやや短め。
あらすじ
法律を専門とする大学教授のアルマ・ソラレス(マイテ・ペローニ)は、裁判官の夫レオナルド、法医学者を目指す大学生の娘ゾーイと共に暮らしていた。
しかしある日、自宅で誰かと電話中だったレオナルドが発した些細な言葉遣いから、アルマは浮気を疑う。
その直後、アルマは離婚したばかりの親友ブレンダの自宅を久々に訪問し、一緒にナイトクラブへと出かける。
そこでアルマをナンパしてきたのは、25歳の青年ダリオ・グエラ(アレハンドロ・スペイツェ)。
「君のことを探していたよ」
と甘くも意味深なセリフを囁きながら求めてくるダリオの情熱にほだされ、アルマは一夜を共にしてしまう。
そのことを知ったブレンダは、ダリオの顔に見覚えがあるものの、どうしても思い出せないのだとアルマに告げる。
夫の浮気を疑いながら自分も誘惑に負けてしまったことを後悔するアルマは、ダリオへの気持ちを振り切り、夫と娘の前で何事もなかったかのように振る舞う。
しかしその直後からアルマの周囲では、大切な人の死をはじめ、次々と悲劇が起こる。
見どころ
メキシコ産サスペンスならではの、スリリングでダークな雰囲気が魅力の本作。
メキシコドラマは、たとえ明るいコメディであっても、良い意味での毒々しさがスパイスのように散りばめられているのが特徴だ。
“感情を抑圧しがちな国民性”と言われる日本人の感覚からすると、メキシコドラマの登場人物は、それぞれが本能のおもむくまま自由奔放に暴れまわっているように見える。
主人公だけでなく、脇役たちも皆強烈な自我と個性を持っており、存在感を発揮。
荒ぶっているのは、敵・悪役だけではない。敵に対する主人公やその仲間たちの反撃の仕方も、「ここまでやるか」と思うほど容赦なく凄まじい。
「こんなに全員好き放題やりたい放題、四方八方に行動してたら、物語は最終的にどうなっちゃうの!?」とハラハラドキドキの展開で、結末の予想はまったくつかなかった。
ダリオは、アルマの身も心もとろけさせながらも、悪意をもって執拗にアルマの私生活に入り込もうとしてくる。
アルマとその家族にあの手この手で近づくダリオだが、その理由についてはシーズン1第6話あたりでダリオの過去が明らかになりスッキリしたのかと思いきや、その直後にダリオについて更なる謎が浮上し、なかなか真の動機が読めない。
ただ社会の一員としての義務を果たしながら暮らしているだけなのに、知らない内に他人から悪意を向けられる可能性は誰にでもあることを、まざまざと思い知らされる作品。
二転三転して先が読めない面白さがあるが、見終わった後は人間不信になるかもしれない……。
Netflixシリーズ『ダークデザイア』シーズン1~2
独占配信中
文/吉野潤子