『iPhone』の「iOS」とは異なる、独自の進化を続けてきた「iPadOS」。最新の「iPadOS 15」では『Apple Pencil』による手書きメモや、マルチタスキングが強化された。これらを生かして仕事の効率を上げるポイントを、ITジャーナリスト・松村太郎さんとチェックしていこう。
OSのバージョンアップで『iPad』がノートPC代わりに本気で使えるようになりました!
[講師役]ITジャーナリスト 松村太郎さん
テクノロジーとライフスタイルの関係をテーマに取材・執筆活動を続ける。iU(情報経営イノベーション専門職大学)専任教員。近著に『Anker 爆発的成長を続ける新時代のメーカー』(マイナビ出版)ほかがある。
「iPadOS 15」では、通知を制限する「集中モード」やタブのグループ化が可能になった「Safari」、ビデオ会議ツールとして進化した「FaceTime」など、「iOS」と共通する機能とともに『iPad』独自の新機能も多数追加されている。例えば、画面分割表示「Split View」とミニウインドウ表示「Slide Over」の操作方法が変わり、マルチタスキングが格段に使いやすくなったこともそのひとつ。画面の右下からスワイプで呼び出せる「クイックメモ」や、日本語に対応した手書き文字認識の「スクリブル」のような『Apple Pencil』と組み合わせて利用する便利な機能も多い。
「『iPadOS 15』では、手書きの活用範囲が大きく広がりました。『Apple Pencil』が使える『iPad』の存在価値が高まり、『Mac』と『iPad』の役割分担がより明確になりました」
そう話す松村さんは、例えば高画質なグラフィックを扱う負荷の高い作業は『Mac』、ペンを使った直感的な作業は『iPad』という具合に、両機を使い分けるようになっているそうだ。さらに「iPadOS 15.4」からは『Mac』のマウスやキーボードで『iPad』を操作できる「ユニバーサルコントロール」に対応。サブディスプレイやビデオ会議用デバイスとしても、より活用しやすくなっている。
2021年秋にアップデートされた「iPadOS 15」とは
2019年秋に「iOS」と切り分けられて『iPad』専用のOSとして誕生した「iPad OS」。3回目のメジャーアップデートとなる「iPadOS 15」では、ホーム画面のウィジェット配置をはじめ、「iOS」で先行アップデートされていた機能がキャッチアップされた。そのほか『iPad』の生産性を高める数多くの独自機能が追加されている。
[主な対応『iPad』]
『iPad Pro』:12.9インチ(第1~5世代)/11インチ(第1~3世代)/10.5インチ/9.7インチ
『iPad Air』(第3~5世代)/『iPad Air 2』
『iPad』(第5~9世代)/『iPad mini』(第5~6世代)/『iPad mini 4』
講師が教える奥義(1)画面右下から中央にスワイプするだけ!クイックメモが起動し速攻でメモれる!!
[クイックメモ機能]とは
画面右下からスワイプして、簡易メモが呼び出せる新機能。手書きまたはキーボード入力でサッとメモを残せるほか、ドラッグ&ドロップの直感的な操作で、ブラウザーのURLやアルバムの写真を貼り付けることもできる。
[クイック機能の使い方]
「『クイックメモ』では、素早く手書きメモを残せるだけでなく『スクリブル』という機能による手書き文字のテキスト化に対応。テキストデータに変換することで、ほかのアプリでも活用できます」(松村さん)。手書きした線や図形を整える機能もあり、アイデアをプレゼン資料などに落とし込みやすい。
【こんな使い方が便利】読み方がわからない漢字は手書き変換でサクッと入力!
各種アプリの検索ボックス内も「スクリブル」に対応。「読み方がわからない漢字を手書きして検索できるのは便利!」(松村さん)
【こんな使い方が便利】アイデア出しのメモ書きをきれいに読みやすく清書!
「手書きしたアイデアをテキストデータとしてまとめられるほか、手書きした図形を認識してきれいに整えてくれるのも便利。〝清書〟された図形で情報を簡単にビジュアル化できます」(松村さん)