脱モノトーン戦略!70年代を彷彿させる派手色・柄コーデ人気が再燃中
ファッション業界では、毎シーズン注目を集めるトレンドカラー。特に2022年の春夏は、プラダ、バレンシアガ、ディオール、ステラ マッカートニーなど、様々なハイブランドがビビッドカラーや柄アイテムを発表している。
ここ数年のナチュラル・シンプルが好まれる傾向から明らかな変化が見られる今季。最新のファッショントレンドと普段の着こなしへの取り入れ方をチェックしてみた。
シンプルはそろそろ卒業?今年の夏はイエローやグリーンがトレンド
日本流行色協会(JAFCA)によれば、2022年は“Sensitivity” センシティビティがカラーテーマ。ビビッドなイエローやグリーン、ピンク、爽やかなペールブルーなどが流行色にあがっている。振り返ってみると、ファッション界はここ何年も、目立った特徴や個性を嫌うノームコア(究極の普通)が主流だった。
ノームコアとは、普通を意味する「Normal」と、究極という意味の「Hardcore」から生まれた造語で、2014年頃からNYを中心に流行しているファッショントレンドの一つ。シャツやTシャツにウォッシュデニムなど、シンプルなカジュアルスタイルのことを指す。
ノームコアのもっとも有名なアイコンは、タートルネックにブルーデニム、ニューバランスのスニーカーが定番スタイルだったApple創業者のスティーブ・ジョブズ。彼の服装が毎日同じで、イッセイミヤケのニットとリーバイス501にこだわり、トップスをデニムにインして着ていたことも有名だ。ジョブズをはじめとするIT長者たちに世間の注目が集まったことから、着心地やサイジングにこだわったベーシックな着こなしが大流行、その後定着し、モノトーンやグレー、ベージュなどのアイテムは人気を博した。
しかし、こうしたノームコアの反動か、2021年頃から、ビビッドカラーのアイテムが徐々に復活してきているのである。そして今年はトレンドの主役として、カラフルなアイテムや柄ものが急増。
メンズのファッショントレンドを見ていても、カラーニットとルーズ感のあるワイドパンツを合わせたスタイルや、柄シャツ、ロゴトップスを使った着こなしが増えている。
70年代がお手本!? ネオンカラーやビックロゴTが最近増えている理由
ビックロゴTに、カラフルなボーダーやストライプ柄、タイダイ柄…最近、カラーアイテムや柄ものが増えているのは、SNSの影響と70年代リバイバルブーム によるところが大きい。
“普通の服装”にあたるノームコアは、色が地味でインスタ映えしにくく、ファッション上級者でないと、SNSで‟いいね”をもらうのは難しい。パッと目を引く派手な配色やロゴアイテムなどがSNS映えのポイントとなるのだ。
また、長引くコロナ禍からの渡航制限の緩和などで、社会全体が開放感を求めるムードになっている影響も大きい。自由と平和を求めたヒッピーやパンクロック、サイケデリックなど、それまでの伝統や価値観の枠にはおさまらないファッションスタイルが開花した70年代と共通する部分が多いのだ。
70年代に流行った3つのファッションスタイルを紹介
ここでは、リバイバルブーム となっている70年代に流行した3つのファッションスタイルを紹介する。
ヒッピー
ヒッピーとは、1960年代後半のアメリカで、ベトナム反戦運動などの反体制運動から生まれた若者カルチャーのこと。
愛と平和の象徴である花柄や、タイダイ染めのトップスなどが流行し、当時は日本でもフォークロア(民族調)の柄トップスなどが大流行。ユニセックスファッションにも注目が集まった。フォークロアな総柄や刺繍などは、2022年春夏コレクションでも注目を浴びている。
パンクロック
70年代を代表するカルチャーの一つが、ロンドンから派生したパンクロックブーム。インフレや失業率の上昇など市民の怒りのはけ口から、セックス・ピストルズやクラッシュといったパンクバンドが生まれ大人気に。鋲を打った革ジャンやダメージの入ったTシャツやジーンズが大流行した。
サイケデリック
70年代リバイバルブームの大本命!蛍光色などのカラフルな色使いと花柄やペイズリー柄などを用いたインパクトのあるスタイル。
アルマーニも、今年3月30日に発表したサスティナブルコレクションのアイテムで、カラフルな色使いや、波をイメージしたサイケデリックなプリントアイテムなどを発表している。
サイケデリックとは、幻覚剤によってもたらされる幻覚を意味する言葉。当時のヒッピーたちがドラッグを使用していたことから、まるで幻覚を見ているかのような極彩色や渦巻きのイメージがアートやファッションの一大ムーブメントとなった。
流行りのネオンやペールカラーは普段の服装にどう取り入れる?
一見、主張が強そうなネオンカラーや女性的な印象のペールカラーを、普段の服装にとり入れるのはむずかしく思えるが、靴やバッグなどの小物で取り入れれば、全身コーディネートのポイントとなってくれる。
また、柄シャツとワイドパンツを合わせた着こなしも今年っぽくておすすめ!原色や蛍光色の入った柄シャツに挑戦してみたり、古着やアロハシャツなどを探したりしてみるのもいいだろう。
「派手な柄シャツはちょっとな…」という場合は、リバイバルブームで同様に注目を集めるラガーシャツなどでイエローやグリーンを取り入れてもOK。トレンドカラーや派手柄を取り入れて、暑い夏を乗り切ろう!
文/あさみ
編集/inox.