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男性ストリッパーがえん罪に立ち向かうNetflixのドラマ「トイ・ボーイ」で考えるジェンダー問題

2022.06.11

男性ストリッパーと若き女性弁護士が、えん罪を晴らすべく奔走する。

2019年よりNetflixでシーズン2まで独占配信中の『トイ・ボーイ』は、スペインで制作されたサスペンス・ドラマ。

同じくNetflixの人気スペインドラマ『エリート』『ペーパーハウス』のマリア・ペドラサが出演。

あらすじ

男性ストリッパーのウーゴ・ベルトラン(ヘスス・モスケラ)は、地元の名家出身の女性マカレナ・メディナの愛人をしていた。

しかしある日、彼女の夫フィリップ・ノルマンを殺害したという無実の罪を着せられ、7年間ものあいだ服役していた。

事件当日、薬物で意識が朦朧としていたウーゴには殺害前後の記憶が全くなく、意識が戻った直後に船上でフィリップの焼死体を発見したのだ。

再審のため仮釈放されたウーゴは、真犯人を突き止めてえん罪であることを証明するため、弁護士のトリアナ・マリン(マリア・ペドラサ)とともに証拠を集め始める。

見どころ

本作は、金も権力もある狡猾な社会的強者の女性を相手に、立場の弱い男性が身一つで立ち向かう、異色の復讐ドラマだ。

お金持ちの熟女が集まる離婚お祝いパーティーなどで、鍛え上げられた肉体だけを武器に活躍していた、トイ・ボーイことウーゴ。

頼れる家族がいないウーゴは、18歳の頃から1819歳も歳上のマカレナの愛人をして、身も心も捧げてきた。

一方のマカレナは、事件後もメディナ家の力でCEOとして華々しく活躍。

パーティーでは何事もなかったかのように賞を受賞して清廉潔白ぶったスピーチを行うなど、なかなか憎たらしい。

冒頭では、弁護士チームがフィリップ殺害事件の資料を見ながら「男娼なんだって、ハハハ……」と笑いながら会議をしているシーンがある(後にウーゴは男娼とは違うと否定)。

社会的な立場は弱いのに、イマイチ同情してもらえないどころか、笑い者にされてしまう。

これもまた男性差別のひとつと言えるのかもしれない。

身寄りもなく裸一貫で戦ってきたウーゴが、絶大な権力を持つメディナ家を相手に、いかにして立ち向かうのかが見どころ。

金も権力もコネも何も持っていないウーゴだが、強い絆で結ばれたストリッパー仲間や、プロボノ(無償で弁護を引き受ける慈善活動)でウーゴを担当することになった正義感に燃える若手弁護士トリアナなど、心強い味方もついている。

とくにトリアナはひたむきで爽やかな魅力があり、不道徳でごう慢なオーラが立ち上っているマカレナとは対照的。

事件の捜査と並行して、ウーゴとトリアナの純愛の行方も気になる。

数々のつらい経験を経て、ようやく真実の愛を手に入れそうなウーゴ……事件の真相解明と並行して純愛を育む過程も楽しみに、シーズン2の最後までイッキ見したい作品。

Netflixシリーズ『トイ・ボーイ』シーズン12
独占配信中

文/吉野潤子

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