寿司、ラーメン、そして豚カツ。
今ニューヨークで人気の日本食TOP3と言えば、この3つが挙げられるだろう。
本格的なお寿司を頂ける、ニューヨークを代表する寿司店「Masa」では、この4月から値上げが行われ、おまかせコースの値段が、1人1,000ドル超(約13万円)として話題を呼んだ。
そんな握り寿司よりもカジュアルに楽しめる食べられる寿司として、今ニューヨークのZ世代の間で人気なのが「ハンドロール(巻き寿司)」である。がしかし、日本の巻き寿司とは違ってとてもユニークなメニューとなっている。
女子会にピッタリ!「nami nori」
トレンドの飲食店が集まるウェストビレッジエリアにある「nami nori」
明るく開放的な店内は、寿司屋というよりカフェのようで、店内には若い女性の姿が多く見られる。
通常の寿司屋のように、カウンターでシェフが握ってくれた出来立ての手巻き寿司を頂ける。
ユニークなのは、手巻き寿司を置く台。
日本では見たことのないような、半月型の木製の器に乗ってサーブされる。
ネギトロやイクラなどの定番メニューは勿論、”あられ”をまぶしパリッと揚げた海苔にカリカリの”アボカドトースト”を乗せた歯ごたえが楽しい手巻き寿司、柚子アイオリソースをかけたロブスターの天麩羅など、日本では見ないようなユニークな手巻き寿司が楽しめる。
ヴィーガンが主流のニューヨーク。
ヴィーガン仕様の手巻き寿司も多数用意されていて、味噌田楽にゴボウチップスをのせた、日本では味わうことのないような手巻き寿司も食べられる。
お酒が進みそうな濃い目の味付けで、平日の昼でも手巻き寿司と日本酒で花を咲かせるお客さんも少なくない。
抹茶と寿司?!カフェ感覚で寿司を楽しめる「makimaki」
こちらは「nami nori」よりさらにカジュアルに楽しめる「makimaki」
ランチタイムにテイクアウトするビジネスマンの姿が多く見られた。
見た目は日本のものとあまり変わらないが、具材は海老フライや、マヨネーズとチリソースで和えたサーモンなど、いかにもアメリカらしいメニューが揃えられている。
驚いたのは、寿司屋でありながらドリンクメニューに「抹茶ラテ」があるということ。
オーダーしたところ、プロテインシェーカーのような容器に、抹茶とお湯を入れて作るという、何とも斬新な作り方であった…
寿司+抹茶ラテという、日本では考えられないような異色のコンビネーション。
形を変えて、進化し続ける“和食”
私たち日本人からすると、決して本物の寿司とは言えない料理だが、このようなスタイルの和食が多くのニューヨーカーを虜にしているのは事実である。
伝統的な和食に固執するのではなく、トレンドや人々の嗜好に応じて変化し続けるニューヨークの和食。
「和食離れ」が問題になっている日本でも、ニューヨークスタイルの「和食」が参考になるかもしれない。
文/小松佐保(Foody Style代表)