パスポートの期限が切れてしまったときは、どうすればよいのでしょうか?有効期間や手続きの方法を順を追って分かりやすく解説します。気を付けたいポイントも知り、トラブルなく手続きを完了させ、旅行を楽しみましょう。
パスポートの有効期限と期限切れ時の手続き
パスポートには、有効期間が異なる二つのタイプがあります。どちらを選べばよいのでしょうか?また、期限切れの際に行う手続きについて紹介します。
有効期限は5年と10年がある
18歳以上の人は、有効期間が5年と10年のパスポートから好きな方を選べます。18歳未満の人は、5年用のみが選択肢です。
どちらを選んだ方がよいかは、人それぞれです。
例えば、査証欄のページ数が異なり、10年用は45ページ、5年用は29ページです。出張などで頻繁に海外に行く人は、ページ数が足りなくなる可能性があります。足りなくなると『増補申請』か『切替申請』が必要になるため、10年用の方がメリットが多いともいえます。
逆に、渡航予定が1回だけというような人は、手数料が安い5年用にした方がお得です。近いうちに結婚で苗字が変わったり、引っ越しで住所が変わったりする予定がある人も、5年用にした方が出費を抑えられるでしょう。
参考:こんな時、パスポートQ&A|外務省
参考:パスポートの査証欄の残りが少なくなった方 ・・・ 「増補(ぞうほ)申請」 – 福岡県庁ホームページ
新規発給の手続きを行う
パスポートの申請には、『新規申請』と『切替申請』があります。すでに期限が切れている場合は、『新規申請』を選びます。
『切替申請』は、残存有効期間が1年未満になった場合や、査証欄の余白が少なくなった場合などに行う手続きです。
『新規申請』で注意したいのが、新たにパスポートを作り直すと旅券番号も変わる点です。信頼性を維持するために固有の番号を使用することが、国際基準として強く推奨されているためです。
紛失時なども新規発給が必要
パスポートを紛失・焼失した場合にも『新規申請』をします。盗難に遭い紛失した場合もここに含まれます。『紛失一般旅券等届出書』を必要書類とともに提出してから、『新規申請』を行いましょう。
氏名や本籍地、都道府県などに変更がある場合も『新規申請』が可能です。例えば、結婚で戸籍上の苗字が変わる場合や、引っ越しにより住所が変わる場合などが該当します。
有効期間が長く残っている場合は、『記載事項変更申請』を選ぶことも可能です。期限は変わらず、新しく作り直すよりも手数料が安く済みます。
参考:紛失一般旅券等届出書用
参考:氏名・本籍の都道府県等が変わったとき – パスポートセンター
パスポートの新規発給手続き
パスポートの新規発給手続きについて、順を追って紹介します。スムーズに手続きを済ませられるように、しっかり準備しましょう。
必要書類を準備して申請をする
まずは住民登録、または居所がある都道府県の申請窓口に以下の必要書類を提出します。窓口によって開所日・受付時間・受領場所・受領までの日数は異なるため、事前に確認しましょう。
- 一般旅券発給申請書 1通
- 戸籍謄本または抄本 1通
- 住民票の写し 1通
- 写真 1葉
- 本人確認書類
- 期限切れのパスポート
住民票の写しが必要なのは、『住民基本台帳ネットワークシステム』を利用しない人や住民登録していない地域で申請する人です。それぞれ対応が異なるため、事前に詳細を確認しましょう。
戸籍謄本または抄本と写真は、申請日前6カ月以内に発行・撮影したものに限ります。写真は国際規格に沿うものである点に注意が必要です。
代理人による提出も可能
本人が窓口に出向けない場合は、代理人による書類の提出も可能です。
ただし、『申請書類等提出委任申出書』に記載されている人に限ります。成人年齢が引き下げられたことにより、18歳と19歳の子どもの申請を両親が行う場合も対象です。
提出する際は、代理人自身の本人確認ができるものを持参する必要があります。本人確認書類として認められているものの中には、二つの組み合わせにより認められるものもあるため、事前に確認しましょう。
手数料を支払い受領する
受け取る際には、申請時に渡された受領証と手数料を窓口で渡し、パスポートを受領します。重要なポイントは、受領できるのは本人のみである点です。たとえ乳幼児であっても本人が出向く必要があり、親が代わりに受け取ることはできません。
手数料は、5年用が1万1000円、10年用が1万6000円です。12歳未満の5年用については、手数料が減額され6000円です。
年齢は『年齢計算に関する法律』に従い、誕生日の前日に1歳プラスされます。つまり、12歳の誕生日の前々日までに申請すれば、減額が適用されます。
参考:パスポートの申請から受取までの所要日数と手数料/千葉県
パスポートの期限切れで気を付けたいこと
パスポートの期限切れに関して、どのような点に注意したらよいのでしょうか?トラブルなく旅行を楽しむためにも、知っておきたいポイントをまとめました。
早めに新規発給の手続きをする
『新規申請』から受領までにかかる期間は、1週間程度とされています。
しかし、海外旅行に出かける人が増える年末年始・ゴールデンウィーク・夏休みなどの大型連休前は、窓口が混み合う傾向があります。通常よりも時間がかかる場合もあるため、なるべく早く手続きをするのがおすすめです。
また『新規申請』をすると、手元にあるパスポートは失効になり、旅券番号も変わります。旅行会社に予約した時点と実際に旅行するタイミングで旅券番号が異なると、トラブルが生じる可能性も考えられます。旅行会社に新しい旅券番号を伝えておきましょう。
期限切れのパスポートは適切に処理する
パスポートの所有権は個人ではなく『国』にあります。名義人は法律の範囲内での使用を認められているだけなので、期限切れのパスポートは国に返納する義務があるのです。
実際には、古いパスポートに穴を開けられたり、『VOID』というスタンプを押されたりします。これが失効処理が行われたという証拠です。
失効処理後は、思い出の品として取っておくことも、処分することも可能です。自分で処分する際は、安全性を考慮してシュレッダーやハサミなどで細かく刻みましょう。窓口に処分の依頼もできます。
パスポートの残存有効期間も重要
パスポートの残存有効期間に余裕があるか確認しましょう。たとえ旅行が有効期間内に完了するとしても、国によっては渡航にあたり必要な残存有効期間が定められているケースがあるためです。
また、予期せぬ事態に備えるという考え方も大切です。渡航先で病気やケガをし、滞在が長引く可能性も考えられます。その間に有効期間が切れてしまうと、手続きに時間と手間がかかるケースが珍しくありません。
一般的に3~6カ月以上の有効期間が推奨されています。国によって異なるため、詳細については当該国の大使館や総領事館などに確認しましょう。
参考:渡航前に,パスポートの残存有効期間をご確認ください!|外務省
パスポートの期限切れに関するQ&A
パスポートの期限切れに関して、よくある質問と回答をまとめました。不安なく旅行を楽しめるように、確認しておきましょう。
出発間際に期限切れに気付いたらどうなる?
期限切れのパスポートでは、出国ができません。申請から受領までには1週間程度かかるため、数日前に気付いた場合は予定を変更するか、キャンセルする必要があるでしょう。
近年は、航空券やホテルの予約がオンラインで簡単にできるため、旅行会社を使わず個人で手配する人も少なくありません。
旅行会社のツアーなどと違い、パスポートを事前にチェックされないまま手続きが完了してしまう場合もあるため、注意しましょう。
パスポートを期限切れにしないためには?
『切替申請』をすることで、期限切れを起こさずに済みます。残存有効期間が1年未満になったらいつでも申請可能なので、早めに申請すれば途切れることなく使用できます。
有効期間が1年以上ある場合でも、一定の条件下では切替が可能です。海外転勤や留学、ワーキングホリデーなど就労・就学する予定で、1年を超える査証が必要なケースです。
申請の際には、条件を満たしていることを示す書類が求められます。詳細については事前に申請窓口や電話で確認しましょう。
構成/編集部