■連載/阿部純子のトレンド探検隊
最近よく見かける缶や紙パックのワイン、便利だけど味が気になる……
ワインといえばボトルが当たり前でしたが、数年前から紙パック入りワインが登場し始め、最近では缶ワインや少量サイズの紙パックワインを良く見かけるようになりました。
一般的なボトルワインのサイズは750mlですが、缶ワインや少量紙パックワインは250ml前後の飲みきりサイズのため、一人飲みでも手軽にさまざまな種類のワインが楽しめます。持ち運びも簡単なので、ピクニックやキャンプなどアウトドアにも便利です。
缶やアルミ付紙パックは遮光性にすぐれており、常温でも冷蔵庫でも場所を選ばず保管できることもメリット。長期保存も可能ですが、常温で置いてもボトルのワインのように熟成はしないので、長く置いても味の変化はありません。仕事帰りにスーパーやコンビニで購入する、ストックしておいて好きなとき飲むなど、手軽さが缶ワインや紙パックワインの魅力です。
気になる味も含めて、ボトルのワインと違いや缶や紙パックのメリットなどチェックするため、スーパーやコンビニで簡単に手に入る「モバイルワイン」を飲み比べてみました(※価格は筆者が購入した際のものです)。
ONE WINE(アルコール度数12.5~14.5%/250ml/550円)
サントリーの缶ワイン「ONE WINE」は赤がピノ・ノワールとメルロ、白はソーヴィニヨン・ブランとシャルドネの代表的な4品種で展開。4種類とも南フランスの格付けワイン(IGPペイ・ドック)を厳選しています。その日の気分で手軽に好みの味を選ぶことができ、飲みきりサイズなのでボトルでつい飲み過ぎてしまった!という失敗もなしのストレスフリーなワインです。
【AJジャッジ】缶とはいえ本格的な味わいが楽しめる
缶は金属臭があるのでは?と心配していましたが、ONE WINEを含め今回紹介する缶ワインはすべて、金属臭などは一切ありませんでした。ただし、ワインの香りや風味をより味わうために、グラスで飲むのがおすすめです。
赤はミディアムボディ、白は辛口と万人向けの飲みやすい品種をセレクト。酸味があって軽やかな味だったらピノ・ノワール、熟した果実感や適度な渋みを味わうならメルロ、柑橘やトロピカルな風味で爽やかな味わいならソーヴィニヨン・ブラン、フルーティーで適度な酸味ならシャルドネ。
缶ワインの中には極端に甘過ぎたり、風味をあまり感じないものもありますが、ONE WINEは本格的なワインの味が楽しめます。4本セットも販売しているので飲み比べて好みの味を見つけるのもいいかもしれません。
パッケージの良さ★★☆
白地に「1」の数字を赤と白それぞれの色をイメージしたデザインした上品なパッケージですが、品種の文字が小さいのでうっかり間違えないように注意。
コスパ★★☆
500円台のデイリーな瓶ワインも多くあるので割高に感じる人もいるかも。
買いやすさ★★☆
「ONE WINE」ブランドサイト、Amazon、楽天市場、yahoo!ショッピング、LOHACOのネット通販、ライフやローソンの一部店舗でも扱っている。
エコ(ごみリサイクル)★★★
アルミ缶なので分別ごみに出しやすい。
アンダーウッド(アルコール度数12~13%/250ml/990円)
アメリカ・オレゴン産の缶ワイン。カルフォルニアと比べるとオレゴンのワイン生産は小規模ですが、高品質なピノ・ノワールの産地として注目されています。アンダーウッドを展開している「UNION WINE COMPANY(ユニオン・ワイン・カンパニー)」は、職人技と小規模製造を融合した、消費者の手に届きやすいワインを造っているワイナリーです。
ピノ・ノワール、ピノ・グリ、ロゼと、スパークリングのザ バブルズ、ロゼ バブルズの4種があります。
【AJジャッジ】プレミアム感のある缶ワイン
白のピノ・グリとロゼを試飲しました。ピノ・グリは切れの良いさわやかな辛口で、香り立つアロマが特徴的。桃や洋梨と表現する人もいますが、筆者はマスカットのようなアロマを感じました。ロゼはピノ・グリを主にミュスカ、ゲヴェルツトラミネール、ピノ・ノワール、シャルドネをブレンド。果実感がありすっとのどを通る軽快さがありますが、重厚な味が好みの筆者には少々物足りなさがありました。
パッケージの良さ★★★
アルミ缶の地色に品種とブランド名をどん!と大書した、プレミアム感を敢えて(?)出さないシンプルさがアメリカらしいというべきか。
コスパ★☆☆
250mlといえばグラス2杯分程度。1缶1000円近い値段を考えるとかなり割高感がある。
買いやすさ★★☆
Amazonや楽天市場、ワイン専門店の通販、一部のスーパーでも販売。
エコ(ごみリサイクル)★★★
アルミ缶なので分別ごみに出しやすい。
CIAO(アルコール度数6.9~10.5%/200ml/248円)
カルディで販売しているスパークリング缶ワイン「CIAO(チャオ)」。原産国はイタリアで、ビアンコ(白・微発泡)、ロザート(ロゼ・微発泡)、モスカート(白・微発泡)、サングリア(赤・微発泡)、スフリッツ(白・微発泡)の5種。
【AJジャッジ】コスパ最強!チューハイ感覚のお手軽さで泡を楽しめる
1本248円とチューハイのような感覚で手軽にスパークリングを楽しめるコスパ最強のチャオ。200mlの少量サイズでちょい飲みにもピッタリ!
まずフレーバー無しのビアンコとロザートをジャッジ。お値段からして味の方はどうなのかな?という心配を覆すおいしさ。微発泡とありますがしっかりと泡感があり、辛口でキリリとした味わいは、いろいろな料理とも相性が良さそうです。
スフリッツはビターオレンジのフレーバーですが、柑橘の香りと苦味やハーブのような風味もあって、見た目の甘そうな印象とは違いさわやかさがありました。食前酒、デザートワインとしても楽しめます。モスカートはマスカットのフレーバーと甘さがあり、ジュースに近い感覚で甘いのが好みの人にはおすすめですが、筆者には甘過ぎました……。
パッケージの良さ★★★
種類ごとにイメージされたカラーリングのとてもキュートなパッケージ。
コスパ★★★
全種類揃えても1240円なので、まずは全部試して好みの味を見つけるのもいいかも。
買いやすさ★★☆
全国のカルディ店舗、公式オンラインショップで販売。アルコール類を扱わない店舗もあるので注意。
エコ(ごみリサイクル)★★★
アルミ缶なので分別ごみに出しやすい。
成城石井 オリジナル スパークリングワイン(アルコール度数9.5~12.5%/290ml/439~494円)
成城石井オリジナルのスパークリング缶ワイン。スパークリングワイン ブラン、スパークリングサングリア ロゼ、スパークリングサングリア レッド、オリジナルスパークリング シードル、オリジナルスパークリング ベリーニ、オリジナルスパークリング ミモザの6種類。
【AJジャッジ】サングリア、シードル、カクテルとバリエーションも豊富
辛口スパークリング、サングリア、シードル、ワインベースのカクテルとバラエティ豊かなスパークリングが楽しめる成城石井 オリジナル スパークリングワイン。290mlなので二人で楽しむのにちょうど良い量かも。
今回はスパークリングワイン ブランとスパークリングサングリア ロゼ、ベリーニを試飲。辛口スパークリングのブランはフレッシュな味わいで、肉料理はもちろん、和食やうなぎ、ししゃもといった魚料理にもよく合いました。
サングリア ロゼは成城石井がプロデュースするワインバー「Le Bar a Vin 52」で人気のサングリア。スペイン産オーガニックワイン、グレープフルーツのストレート果汁を使用しており、香料を使わずコアントローとヴェルモットで香りにアクセントをつけています。ナチュラルな味わいで、グループフルーツの柑橘感と苦味がほどよくさわやかな飲み口。
ベリーニはピノ・ノワールと長野県産白桃果汁をブレンド、ピーチリキュール、ライチリキュールで香りにアクセントをつけています。華やか桃の香りと甘過ぎずすっきりとした上品な味わいで個人的にかなり好みでした。
パッケージの良さ★★★
ツーブロックで構成されたデザインでおしゃれ感があり、内容もわかりやすいパッケージデザイン。
コスパ★★☆
このクオリティと量でありながら、ワンコインでおつりがくるのでコスパはかなり良し。
買いやすさ★★☆
全国の成城石井の店舗、公式オンラインショップ、Amazon、アスクルなどネット通販でも販売。
エコ(ごみリサイクル)★★☆
ボトル型のアルミ缶なので少々つぶしにくさがあり。キャップもアルミ缶として出すことができ、キャップがなくてもリサイクルはOK。
シャンテール(アルコール度数12%/280ml/302円)
ファミリーマート限定商品のサントリーのスパークリング缶「シャンテール」。ブランとロゼがあり、時期によってマスカットやグリーンアップル、カシスなど限定商品も。
【AJジャッジ】バランスの取れた味わいで飲みやすい
ファミマ限定の缶ワインで値段もお手頃。ブランを試飲しましたが、今回試したスパークリングはキレのあるきりっとした辛口が多かった中、こちらは酸味、甘味、コクなど、バランスが良く飲みやすさがありました。ブランに使われている品種はわかりませんが、表示では輸入ワインとなっています。
パッケージの良さ★★☆
ブランは金色、ロゼはピンク。コンビニ商品だけあってシンプルでわかりやすいパッケージ。
コスパ★★★
280mlと飲みきりサイズとしては量もあり、缶ビール感覚でスパークリングが楽しめる価格。
買いやすさ★★★
全国のファミリーマートで販売。コンビニ売りなので仕事帰りはもちろん、出張、旅先でも部屋飲みとして重宝しそう。
エコ(ごみリサイクル)★★☆
ボトル型のアルミ缶なので少々つぶしにくさがあり。キャップもアルミ缶として出すことができ、キャップがなくてもリサイクルはOK。
バロークス(アルコール度数13%/250ml/466円)
世界で初めて缶ワインを発売したのがオーストラリアのバロークスです。缶の内面をコーティングする「VINSAFE(ヴィンセーフ)」という同社の独自技術により、金属臭が付かず、品質を長期にわたって保てる缶ワインを実現しました。バロークスの缶ワインは、ワイン業界において高い権威と豊富な経験を持つ「マスター・オブ・ワイン」の有資格者である、ピーター・スカダモア・スミス氏が監修しています。
【AJジャッジ】ラインナップが豊富で全種類制覇したくなる!?
バロークスは種類が豊富で、赤、白と、スパークリングは赤、白、ロゼ、辛口、甘口があります。ネット通販ではセットで販売されていることも多いので飲み比べしても楽しいですね。今回は「スパークリング ロゼ」を試してみました。ベリー系の香り、鮮やかなサーモンピンクの色合いと華やかな印象ですが、見た目とは異なりかなり辛口のすっきりとした味わいです。筆者が購入した通販サイトの情報では、品種はシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、シラーズとなっていました。
パッケージの良さ★★☆
「B」のロゴが目印の分かりやすいパッケージ。
コスパ★★☆
オープン価格で430~500円程度の価格帯。本格的な味わいにもかかわらずワイコインで、コスパは悪くはない。
買いやすさ★★★
ネット通販でもかなり流通しており、スーパーでもよく見かけるので手に取りやすい。ただ実店舗だと種類が限られていることもあり、全種類試すのならネット通販のセット買いが良いかも。
エコ(ごみリサイクル)★★★
アルミ缶なので分別ごみに出しやすい。
サンクリスピーノ オーガニック(アルコール度数12~13%/500ml/469円)
紙パックワインは1000mlや1800mlといった大容量はよく見かけるようになりましたが、こちら500mlの紙パックワイン。セブン-イレブンで販売されており、ボトルワインや1000ml紙パックワインに比べて持ち帰りにも便利です。紙パックなので飲み切ってしまえば折りたためてアウトドアにも重宝しそう。冷蔵庫にもすんなり収まるサイズ感です。
しかもイタリア産のオーガニックワインなのに500円を切る価格! EU基準をクリアしているオーガニック製品に付けられる有機認証機関「ユーロリーフ」、ヴィーガン認証マークも付いています。
【AJジャッジ】持ち運び、保存にも便利、環境に配慮したおいしいワイン
ロッソ(赤)、ビアンコ(白)両方を試飲しましたが、今回の中で一番筆者の好みに合った味わいでした。ロッソはシラーとメルロのブレンド。フルーティーさがありながら、ほどよい渋みがあります。ビアンコはカタラットとインツォリアのブレンド。フレッシュで、すっきりとした味わいにほんのりと甘みも感じる軽やかな白ワイン。500mlは一人ではなかなか飲みきりできないサイズですが、キャップ式なので再栓可能で、常温でも冷蔵庫でも保存できます。
パッケージの良さ★★★
サイズ、形、デザインすべてがキュート!しかも軽いので持ち運びも楽。常温保存、無菌充填包装のテトラパックを使用、キャップはサトウキビ由来のバイオベースのプラスチックで、パッケージまで環境にも配慮していることも高評価。
コスパ★★★
500mlのオーガニックワインでワンコインというコスパの高さは魅力。
買いやすさ★★☆
以前はセブン-イレブンで見かけたが、最近は置いていない店舗も多く入手しづらい。ネット通販でも扱っているが、価格に幅があるので購入の際は値段の比較をした方が良いかも。
エコ(ごみリサイクル)★★☆
紙パックリサイクルは切って開いてキャップ部分と分ける一手間が。アルミ付きの紙パックは自治体やスーパーで回収しているが、アルミ付きは回収しない自治体や店舗もあるので、近くに回収場所がないときはこちらを参照。
タヴェルネッロ ピッコロ(アルコール度数11~11.5%/250ml/288円)
世界で一番売れている、飲みきりサイズのイタリア産紙パックワイン。ワイングラス2杯分なので飲みきり、もしくは2人で飲むのにちょうど良い量。ファミリーマートで買えるお手軽ワイン。
【AJジャッジ】ちょい飲みで楽しむにはいいかも
こちらもロッソ(赤)、ビアンコ(白)があります。ロッソはライトボディ。やわらかい口当たりで飲みやすく、料理にも合わせやすいです。ビアンコはフルーティーなアロマとフレッシュな味わい。赤、白共に可もなく不可もなくといった印象でした。
パッケージの良さ★★☆
デザインは個人的に少々やぼったさを感じたが、人間工学に基づいた持ちやすい形状で、こちらもテトラパックを使用しているので軽くて再栓もOK。
コスパ★★★
300円を切る価格でちょい飲みには最適。
買いやすさ★★☆
全国のファミリーマートで販売。小さく持ちやすいので、旅先やアウトドアでも便利。
エコ(ごみリサイクル)★★☆
紙パックリサイクルは切って開いてキャップ部分と分ける一手間に加え、サンクリスピーノ オーガニックと比べ小さいので、切り開くのは少し面倒かも。
アルミ付きの紙パックは自治体やスーパーで回収しているが、アルミ付きは回収しない自治体や店舗もあるので、近くに回収場所がないときはこちらを参照。
文/阿部純子