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急増する車両盗難手口「CANインベーダー」の仕組みと意外と有効な物理的対策

2022.06.05

窃盗の手口とセキュリティーのいたちごっこ!?

いまや納期に4年かかるだとか、購入の際には「転売をしない」という誓約書が必要だとかいわれるほど大人気のトヨタ「ランドクルーザー」。そんなランクルをはじめとする高級車の盗難が急増している。

一般社団法人日本損害保険協会「第22回自動車盗難事故実態調査結果」より

一般社団法人日本損害保険協会による「第22回自動車盗難事故実態調査結果」では、車両盗難総数のおよそ8割以上が自宅や契約駐車場などで発生しており、時間帯も住民が寝静まった深夜から朝(22時-9時)が最も多く、7割近くにも及ぶという。

一般社団法人日本損害保険協会「第22回自動車盗難事故実態調査結果」より

そんな身近で起きている事件だが、今までの車両盗難といえば、車のスマートキーが発する電波をキャッチしてロックを解除する「リレーアタック」といわれる盗難方法が主流だった。しかし、最近では、 「CANインベーダー」といわれる盗難方法が目立つという。

CANインベーダーとは?

さて、CANインベーダーとはどんな手口なのか?その前に、リレーアタックについて簡単に説明すると、クルマのスマートキーからは、常に微弱な電波が出ており、その電波が届く範囲(1~3m)であればドアロックの開閉やエンジンの始動が可能になる。

その機能を利用して、たとえクルマとキーが離れた場所にあったとしても、その微弱な電波を特殊な機器を用いて増幅させ、さらに中間で電波をリレーさせることによってロックを解錠し、クルマを盗むというもの。

実は、このリレーアタックの後に、さらに悪質な「コードグラバー」という手口が台頭した。その方法は、やはりスマートキーから発する微弱な電波を利用するというもので、リレーアタックと似ている。ただ、コードグラバーの場合、読み取ったキーのIDコードをコピーして、いわゆるスペアキーをつくってしまうので厄介だ。しかも、この微弱の電波をかなり離れたところから傍受できてしまうということで、防ぎようもない最悪の手口ともいわれた。

そんなリレーアタックやコードグラバーの対策として有効とされたのが、スマートキーの発する電波を遮断する、金属製の入れ物を利用すること。筆者もその事件がニュースになって以来、いまでもアルミ製の箱の中にキーを保管する習慣になっている。また自動車メーカー側でも、電波を発するのを止める「節電モード」の機能が備わったスマートキーをつくるなどして対策を講じた。

そして、CANインベーダーについてだが、こちらの手口は前出の2つとはアプローチが全く異なる。

クルマにはエレクトロニック・コントロール・ユニット(ECU)と呼ばれるコンピューターが搭載されており、あらゆるデータを電子制御している。そしてクルマが故障した際などに、それを自己診断する「OBD2」というシステムがあり、さらに自動車整備などで故障箇所の情報を解析するための専用ツールを接続する「OBD2コネクター」が存在する。

このOBD2コネクターは、ECUチューニングする際に使用したり、カーナビやレーダー探知機などを接続することもあるので、ご存知の方も多いだろう。また、このOBD2コネクターを利用してクルマを盗むという手口もあるのだが、コネクターが車内にあるためドアの鍵や窓ガラスを壊す必要がある場合が多く、手間や時間がかかる。

CANインベーダーは、そんなOBD2に繋がる配線に、特殊な機器で不正接続してクルマを盗むというもの。しかも、車外のフロント部付近から接続でき、ドアロックの開閉やエンジンの始動だけでなくスペアキーまで作成できてしまうというのだから始末が悪い。

CANインベーダーの対策は?

では、CANインベーダーを防ぐにはどんな対策があるのだろうか。実は、意外にもハンドルロックなどの物理的な対策が有効といわれている。というのも窃盗犯にとっては、余計な「手間」であったり「時間」がかかるクルマは避けたいという心理がはたらくためだという。

■CANインベーダー対策に有効な加藤電機「HORNETハンドルロック」

HORNETハンドルロック LH-15R 実勢価格:6,578円

このLH-15Rは、両側2つずつあるロックアーム部分でハンドルのスポークを挟み込むように装着することで、ハンドルが万一切断されても外れにくく自動車盗難の防犯効果が期待できるダブルロック方式。装着幅は、18段階(1cm幅)で調整可能。さらに、特殊な形状の鍵でピッキングに強い専用キーを3本付属。

https://shop-security-lounge.com/shopdetail/000000000232/

HORNETハンドルロック LH-17R 実勢価格:6,578円

LH-17Rは、コンパクトで装着が簡単なT型ロック方式のため、より多くのハンドル形状に対応。また、簡単に切断されにくい硬い特殊合金を採用。さらに、ハンドル上部に装着することにより防犯対策をしていることが車外からひと目でわかるため、高い抑止力が期待できる。ピッキングに強い専用キーを3本付属。

https://shop-security-lounge.com/shopdetail/000000000233/

HORNETハンドルロック LH-5LB 実勢価格:14,080円

LH-5LBは、高級感あふれるシルバーボディに本革調カバーを採用し、インテリアにもマッチ。無理に取り外そうとすると圧力が加わり、クラクションが鳴る構造となっているため、夜間でも異変に気付きやすくなり、犯罪抑止効果が期待できる。簡単に切断されにくい特殊合金を採用の上、スポークを挟み込むダブルロック方式で、万一、ハンドルが切断されても取り外されにくい構造。

https://shop-security-lounge.com/shopdetail/000000000241/

この他にも、衝撃感知機能や遠隔エンジン操作機能などをオプションで組み合わせるPanthera(パンテーラ)、CLIFFORD(クリフォード)、Grgo(ゴルゴ)、VIPER(バイパー)などといった本格的なカーセキュリティシステムを取り付けるという方法もある。これらであれば、専門ショップのスタッフによりCANインベーダー対策はもちろん、あらゆる防犯に対するインストールが可能となっている。

実際に、筆者も以前のクルマにはクリフォードをインストールしていたのだが、さまざまなセンサーや機能があり、かなりの安心感があった。ただ、駐車場などで、隣のクルマの人が近づいただけでアラームが鳴ってしまったり、ネコがボンネットに乗ってしまうことで鳴ったりと、別の意味で気が気でなかったが…。(注:センサーの感度はかなり細かく調整できる)

とはいえ、これらの本格的なカーセキュリティシステムであっても犯罪者に精通する者がいれば、完璧とはいえない。さらに、取り付け工賃込みで10万~40万円ほどかかってしまうという金額もネックとなる。

自動車の盗難方法は年々ハイテク化し、デジタルの対策を行なえば、デジタルを駆使して盗難するといういたちごっこが続いている。どんな対策もその上をいく盗難方法を探し出そうとするため、100%完璧な対策はないにしても、デジタルと物理的な対策の融合が抑止力につながることは間違いなさそうだ。

取材・文/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)

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