小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

スマホのSIMフリー化で転売が増加?苦悩するキャリアのオンラインショップ最新事情

2022.06.06

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は、キャリアのオンラインショップについて話し合っていきます。

※新型コロナウイルス感染拡大対策を行っております

キャリアのオンラインショップが使いにくくなっている

房野氏:SNSに投稿されていましたが、法林さんはauオンラインショップで何かあったんですか?

房野氏

法林氏:ちょっとありまして……。まあ、僕の件は置いておいて、キャリアのオンラインショップが、もしかしたらマズいかもしれない。

法林氏

石川氏:おそらくですけど、端末がSIMフリー化されて、いろいろ問題が出ている感じがする。クレジットカードの決済が厳しくなっている気がします。自分も、dカードでドコモオンラインショップで決済しようとして、できないことがありました。

石川氏

法林氏:僕も去年、1回あった。

石野氏:dカードは全体的に厳しいですよね。

石野氏

石川氏:厳しいよね。海外で航空券を買おうと思ったのに決済できなかった。

法林氏:DCMX(dカードの旧称)の時は緩くて、日本のクレジットカードは使えないと言われていた海外のストアで、DCMXだけ通るってことがあった。

石川氏:キャリアのオンラインショップについては、端末をSIMフリー化したことが尾を引いている。野村総研の北さん(野村総合研究所 コンサルティング事業本部 パートナーで、現在、総務省情報通信審議会専門委員の北 俊一氏)も「店頭で値引きして売ると、それが転売されて良くない状況になる」と言っているけれど、「それって総務省がSIMフリー化を強化したからでしょ」みたいな話につながる。その影響で、クレジットカードの承認もどんどんきつくなってきて使い勝手が悪くなっている。一般ユーザーが害を被っている状況。

法林氏:僕の件は、クレジットカード会社に問い合わせたら、カード会社側でロックされた理由はすぐにわかった。「同じ人が何度か認証をかけたからロックをかける」みたいなプログラムになっていて、それに引っかかって使えなくなってしまった。クレジット会社には「ロックを外しますので10分後にもう一度アクセスしてください」といわれて、やってみたらクレジットカード利用の承認は通ったわけですよ。ところが、auオンラインショップ側で独自のロックをかけていて、決済ができない。しかも、ショップに問い合わせたら「ロックを解除するのに1週間から10日かかる」といわれた。「自社で外せないロックをかけるな!」と思うんですよ。カード会社側からはOKが返ってきていて、ちゃんと決済を完了しようとするんだけど、auオンラインショップ側が「やっぱり君は怪しいから売れない」と拒否して、クレジットカード会社側には決済を解約したデータを戻している。

房野氏:お店が判断していると。

法林氏:そう、勝手に。どういうスタンスなのかはわからないけど、独自のフラグの立て方があるみたいで、結局、auオンラインショップ側に問題があったということで、担当者は平謝りで「返す言葉もございません」ということで(笑)。クレジットカードは海外で使えないことがあるけどねぇ。

石野氏:ちょいちょいありますよ。

法林氏:カード会社はAIで決済するorしないを判断している。そのミスが多いのは事実。

石川氏:以前、タイの空港に着いて、その場でMacBook Proを買おうとしたら止められたことがあった(笑)

石野氏:怪しいと判断されたんですね(笑)

法林氏:「なぜ日本から出かけてタイでわざわざMacBook Proを買うんだ?」と(笑)

石野氏:海外に着いてすぐ大金を使おうとすると、クレジットカードは結構な頻度で止まりますよね。宿泊するアパートの支払いが現金のみだったので、ATMから7、8万円くらいガサッと引き出そうとしたらロックがかかったことがありました。

法林氏:そういうことはあるんだけど、僕のauオンラインショップの件は、ショップ側が独自にロックをかけた。クレジットカード会社の担当者に確認したんだけど、今回は決済の際、オンラインショップからクレジットカード会社の3Dセキュア(本人認証サービス)に飛んで、パスワードを入れるとOKで戻ってくるんだけど、ショップ側が断っていると。

房野氏:何を買おうとしたんですか?

法林氏:「Galaxy S22 Ultra」。

Galaxy S22 Ultra

石川氏:自分も、ドコモオンラインショップで「Galaxy Z Fold3 5G」をdカードで一括で買おうとしたら止められて、結局その時は買えず、通信料金と一緒に請求されるようにしました。

Galaxy Z Fold3 5G

石野氏:ドコモオンラインショップでdカードが使えないというのも……

法林氏:自社のカードなのにね。

石川氏:ドコモオンラインショップでdカードを使って買い物をすると、ポイントがたくさん付くんですよね。

法林氏:特約店扱いだからね。

石川氏:なので、たくさん付けることができなかった。

法林氏:残念だよね。

石川氏:たぶん、オンラインショップ側もカード詐欺とかに遭っているのかもしれませんね。

端末がSIMフリーになって転売しやすくなった

法林氏:前もちょっと話題になったけれど、ドコモオンラインショップはパソコンから買えない状態になっている。

石野氏:回線認証になっているんですよね。

法林氏:2段階認証もダメ。とにかくパソコンから買うなってこと。スマホでもWi-Fi経由で買うのはダメ。全部「ウチ(ドコモ)のネットワークから買ってくれ」という状態。今回、「Galaxy S22」のドコモ版を買おうとしたんだけど、結局、端末から4Gのネットワーク経由で買いました。

房野氏:キャリアのオンラインショップが使いにくくなっているというのは、ドコモに限ったことなのでしょうか。

法林氏:たぶん、全キャリア同じ状況だと思う。ソフトバンクに至っては、去年の後半、ようやくクレジットカードで払えるようになった。

石川氏:以前は代引きしかなかった。

法林氏:17万8000円を代引きで払うのかと。

房野氏:おふたりの場合、SIMフリー端末だったから、みたいなことは?

法林氏:そんな最近じゃなくて、かなり昔からそうだった。

房野氏:回線契約はあるわけですよね。それでもダメだったんですね。

法林氏:脱線するけど、ソフトバンクで機種変更をすると、端末と新品のSIMカードが送られてくるんですよ。ソフトバンクはやたらSIMカードを再発行していた。たぶん、それもちょっと関係あるのかなと思っている。つまり、端末とSIMカードを契約者の住所に送るので、売る側からするとちょっと安心なわけです。自分たちが担保している契約者の住所なので。これが違う住所に送るとなると、やっかいになってくる。かつては端末もSIMロックがかかっていたから、ソフトバンクのSIMカードしか使えない。かつ、Android端末だったらiPhoneのSIMカードを挿しても動かない。こうやってガチガチに制限していた理由は、まさに不正利用を防ぐ、不正取得を防ぐ意図があった。それを総務省が「SIMフリーだ!」と言ってしまったので、転売する側からすると「どんどんいただいていきましょう」みたいな感じ。次に狙われているのは量販店の一括1円とか20円の端末。

房野氏:転売目的ということですね。

法林氏:そうです。

石川氏:3月末には、楽天モバイルで2億円のiPhone不正購入被害というニュースもありましたね。不正購入でSIMフリーが狙われた。

 野村総研の北さんは「店頭で安く売られているものを何台も買って転売する人が増えている」と指摘しています。キャリアはそれがわかっていたから、SIMフリーには消極的だった。キャリアは、そういった犯罪を想定していた。そうした事情をわかっていない総務省や有識者の人たちが「SIMフリーをやれ」と言ったからこんなことになった、という状況だと思います。

石野氏:でも、キャリアはもう少しちゃんと対策しようよって感じがしますね。それが回り回って法林さんのロック事件(笑)みたいなことになってしまうので。

法林氏:Twitterで「iPhoneを1円で売っている店に買いに行った。僕は今までiPhoneを8台買ったことがある。でもクレカが通らなかった」みたいなツイートを見かけたよ……

石野氏:まぁ、そりゃそうでしょうね(笑)

法林氏:もしかしたら「iPhone 3GS」から8台かもしれないし、最近8台かもしれないし、わからないけどね。

石野氏:「iPhone SE」とか「iPhone 13 mini」が8台じゃないですか(笑)

法林氏:一括数十円というのは、ユーザーからすると負担が減るので嬉しいんだけど、一般的な商慣習から考えるとマズイのは事実。買って転売する人がいるし。でも、難しいのは何をもって転売というのか。

石川氏:そうですよね。

石野氏:言ってみればキャリアも転売しているわけですから。

法林氏:そうそう。

石川氏:商行為ですからね。

法林氏:本人認証はちゃんとしないといけないけど、もうちょっとやりようがあるんじゃないかと思うよね。

キャリアの本人認証、アカウント管理は万全?

房野氏:今、本人確認はどんな感じなんですか?

石野氏:ドコモは今、回線認証。ドコモオンラインショップで端末を買う場合、契約者以外は本人確認書類が必要。

房野氏:ahamoと普通のドコモの回線で、オンラインショップで買う場合の基準が違ったりするんですかね。

石川氏:そこで違いはないんじゃないかな。

石野氏:機種変更、契約変更の場合は回線認証が必要ですね。つまり、ドコモ回線を持っている人が一番不便ってことですね、これ(笑)

房野氏:台数制限はあるんですか? 回線を持っているから複数台、例えば10台買うことはできるものなんでしょうか。

石野氏:機種変更は登録するので1回につき1台しか買えないですけど、そこからまた機種変更はできると思います。10台という範囲で買えるかどうかは試したことがないのでわからないですね。

房野氏:回線契約なしでSIMフリー端末を10台買うというのは、理屈的には可能でしょうか。

石野氏:買えてもおかしくはないですけど、割引があると1人1台までという制限をしている。楽天モバイルのiPhoneも1人1台という制限があります。

房野氏:1人1台、それとも1回線につき1台ですか?

石野氏:楽天のアカウントにつき1台だと思うんですけど……ただ、楽天アカウントはいくつでも作れちゃうので、どこまで住所を見ているか、ですね。たぶん住所を見ていると思いますが。悪い人をどうやって排除していくかが課題ですよね。やりすぎると利便性を損なってしまうので、バランスが大事かなと思います。

法林氏:商品が高額になっていることも結構大きい要素。3万円だったらどうこうしないだろうけど、10万円、20万円になると……

房野氏:法林さんがロックされたのは、端末代が高かったからってことは考えられますか?

法林氏:それはないと思います。

石野氏:回線がいっぱいあるからじゃ(笑)

法林氏:いや、家族の名義の回線だし。完全にauオンラインショップ側の体制というか、フラグ判定のミスだと思います。

石野氏:ショップ側で独自のセキュリティをかけているところは、携帯電話に限らずありますね。海外のサイトだと、一旦数ドル引き落とされて、「一部引き落としたから返信しろ」というメールが来て、返信すると全額引き落としになるという仕組みのところがありました。独自にそういうことをしているショップもあるんですけど、ロックの解除ができないのはおかしいですよね。

法林氏:そうだよね。各キャリアとも、どこまで本気かわからないけど、楽天やアマゾンくらいに、ちゃんとしたEコマースに育てていきたいという気持ちはあるみたいだけど、大丈夫? って感じだよね。

MNPのワンストップ化も危険?

石川氏:今、総務省でMNPをワンストップ化しようという議論が進んでいますけど……

法林氏:危ないよねぇ。

石川氏:アカウントが乗っ取られて、いつの間にかMNPされてキャリアが変わっていた、なんてこともありえるかなぁと。

法林氏:固定回線で以前に一度あった。Yahoo! BB時代かソフトバンク光になってからか、どっちか忘れたけど。

石野氏:あー、ありましたね。

法林氏:固定回線を変えたら電話番号も勝手に変えられて、古い番号はNTTに返却された。だから再発行できないってことになったんだけど、「そんなことを頼んだ覚えはない」と抗議したという話でした。結局、NTT側に交渉して元の番号を払い出してもらって元に戻した。ソフトバンクの代理店が「光回線になったら電話番号が変わるんですよ」みたいなことを適当に言って、勝手にやっちゃった話。「固定回線を契約してもらえば奨励金がもらえる」って思って、お客さんの番号を変えちゃった。怖いでしょ?

房野氏:怖いですね。

石野氏:ちょっと気をつけないと、そういう強引な勧誘に使われたり、勝手にいつの間にか契約を変えられたりってことがあり得るので、せめてセキュリティレベルを4社揃えないと。でも、4社揃えたところでMVNOがいるので、なかなか難しいんですけど。せめて、移転元の回線で一度認証する仕組みを入れるとか壁を作っておかないと、結構ヤバいことになりそうだなって感じがします。

法林氏:端末と一緒に送られてきたSIMカードを挿したら、自分の電話番号だけどキャリアが変わっていました、みたいなことが起こりえるわけですよ。

石野氏:キャリアが変わっていることに気づかず、「あれ、安くなった」と満足したりして(笑)

石川氏:「あれ、メールが使えなくなった」みたいな話になる。そういう過度な競争に行き着くかもしれないですねぇ。

……続く!

次回は、総務省のスマホ対応周波数問題について会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/房野麻子

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年4月16日(火) 発売

DIME最新号は「名探偵コナン」特集!進化を続ける人気作品の魅力、制作の舞台裏まで徹底取材!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。