何かミスをしたとき、思った結果が残せなかったとき、そんな自分のことを嫌いだと思ってしまうことは多いはず。すべてをポジティブに受け取れる人はごく稀な存在で、誰でも何かしら自分中に嫌いなポイントを持っています。
自分の中に嫌いなポイントがあるのは仕方ないとしても、それが「眠れない」「何に対してもやる気がおこらない」など心身の不調につながってしまうのであれば問題です。今回は自分のことが嫌いになってしまう原因、その人の特徴、そして嫌いな気持ちを軽くする方法をお伝えします。
自分のことを嫌いになりやすい人の考え方
まず、自分のことを嫌いになってしまう考え方のクセについて触れていきます。
理想が高すぎる
「理想の自分になれなかった」ことがきっかけに、自分を嫌いになってしまうことがあります。理想はその人のなりたいイメージであり、理想を抱くことは決して悪いことではありません。
しかし、理想が自分の現状とあまりにもかけ離れていると、その差を埋められずに挫折を味わい、自分嫌いへとつながっていきます。
理想が高すぎる原因は、「自己一致」ができていないことだと言われています。
自己一致とは心理学でよく使われている言葉で、簡単にいうと「今のあなたの姿」と「なりたい自分」が一致していることを指します。これがかけ離れているとさまざまなメンタル面での不調を抱えてしまいます。
今の自分となりたい自分の差が大きいゆえに何度も挫折を味わい、それが自分嫌いの原因になっています。
完璧主義
何事も完璧にやり遂げたいという願望を持つことも自分嫌いの原因になります。
自分嫌いになる人は先ほど述べたように理想が高く、完璧な自分を常に求めています。なのでミスする自分、できない自分が許せないのです。
また、完璧を求めるばかりに「このぐらいでいいか」という割り切りができず、常に自分を自分で追いつめていきます。
責任感が強すぎる
責任感が強いことも決して悪いことではありません。責任を持って仕事に取り組むことで「あの人は仕事ができる」と周囲から評価されている人も多いでしょう。
しかし、責任感が強すぎると自分のせいではないものに対しても強い責任を感じてしまい、自分のせいにしてしまいます。
また、失敗に対しての切り替えが難しく、いつまでも過去の失敗を引きずってしまうという特徴もあります。
人と比較してしまう
他人と比較して自分の価値を確かめるような考えのクセを持っている人も自分嫌いに陥ります。
他人と比べてしまう人は、自分の価値を他人に委ねている状態です。容姿や仕事(収入)、また恋人の存在さえ「あの人より勝っている」ことこそが自分の価値となってしまっているのです。なので、劣っている部分があると強い劣等感を抱き、それが自分嫌いにつながります。
「自分が嫌い」という気持ちを軽くしてくれる4つの方法
考え方のクセがわかったところで、すぐ一気に考え方を変えるのは難しいもの。考え方のクセを受け止めつつ、自分嫌いという気持ちを軽くしてくれる方法をここではレクチャーします。
マイナス面をプラス変換する
上記の考え方のクセは、理解してもらうためにわざとマイナス面を多く紹介しましたが、裏を返せば大きなプラス要素を持っています。その考え方のクセのプラス面に目を向けることで気持ちは軽くなります。
これは「リフレーミング」という、考えの枠組みを違う側から見ることを指し、企業の新人研修などでも活用されている思考法です。
上記の4つを変換すると、
理想が高い→向上心がある
完璧主義→高いクオリティのものを作りあげられる
責任感が強い→周囲の信頼を得やすい
人と比較してしまう→理想が明確である
になります。
リフレーミングを行うと、短所ではなく長所にもなり得る考え方だと気づけます。気になった方はぜひ自分のマイナス面だと思っているところを紙に書き出し、反対側にプラス変換したものを書いてみてください。
小さな成功体験を積み重ねる
理想が高い人は大きなことでしか成功と認めません。しかし、自分が見えていないだけで理想が高い人はもちろん、完璧主義者、責任感が強い人は多くの成功体験を手にしています。意識して小さい成功を積み重ねていくことで、できる自分を認識して、それが自分嫌いという気持ちを小さくしてくれます。
小さな成功体験とは、今自分ができていることを成功だとカウントすることから始めます。
仕事でここまで達成するという大きな成功の前には、小さいけれど何度もうまくいっていることがあるはずです。それを紙に書いて、できていることを認識していきましょう。
仕事以外でも、「毎朝30分早起きする」や、「〇キロ痩せる」、「1駅遠くで降りて、帰宅時にはウォーキングをする」など日常に簡単に取り入れられるもので構いません。
できていることがたくさんあると認識できることで自分を認めることができます。
他人軸から自分軸に変える
これは人と比較してしまう人に効果的な方法です。
他人軸とは常に他人を気にしながら、他人に左右されることを指し、自分軸とは自分の考えに基づいて行動することを言います。
他人軸で生活している人は、「自分のことをわかってほしい」「あの人から評価されたい」など、他人に認められたいという欲求を常に持っています。
その欲求は満たされなかったり、努力を認めてもらえないとそれが自分嫌いにつながります。
一方、自分軸で生活している人は、自分のしたいことを自分の考えのまま行うことができ、自分が満足できる道を進むことができます。自分がしたいことをできているので、自分を否定しません。
そのためにすることは実にシンプルです。自分が本当にしたいことを小さいことからスタートしてみてください。例えば、数人の友人とカフェに入ったときに自分の好きなものを注文する、など些細なことでいいのです。そこで、「他の友人がスイーツを頼んでいるから自分はドリンクだけにしたいけど一緒にスイーツを頼もう」という考えは封印しましょう。
これを何度も繰り返していくと、自分のやりたいことを最初に選択するクセをつけることができます。
変えられることに目を向ける
最後に、考えのクセを変える方法として、自分で変えられることのみに目を向けることも大切です。
自分の考えがあるように、他人にもそれぞれの考え方があります。他人の考えを変えることはまず不可能です。なので自分のなりたい道に他人を巻き込むのは失敗につながります。
自分軸にも通ずることですが、まずは自分のできることに目を向けていきましょう。
文・構成/藤野綾子