2022年4月13日(水)、KabuK Styleが提供している旅のサブスクリプションサービス「HafH(ハフ)」と星野リゾートが提携開始。それにより、星野リゾートが展開する旅のテンションをあげるホテル「OMO(おも)」と、ルーズに過ごす滞在を提案するホテル「BEB(ベブ)」の全13施設がHafHで選べる宿泊施設に追加された。予約開始と同時に注目を集め、「OMO3東京赤坂 by 星野リゾート」は2週間で200件以上の予約を獲得。なぜ旅のサブスクに星野リゾートが参画したのか、その理由を取材した。
新たな顧客層へアプローチ。星野リゾートがHafHと提携した理由
2022年5月20日(金)開業の「OMO5金沢片町 by 星野リゾート」。
HafHは毎月定額で世界中の宿泊施設に滞在することができる旅のサブスク。利用料金はさまざまなプランから選べるが、例えばスタンダードプランは月額9,800円(税込)。毎月200コインが付与され、そのコインを使用して宿泊ができるという仕組みだ。また、スタンダードプランは3泊/月の宿泊が可能。月の利用が上限の3泊に満たなかった場合、1泊あたり50コインに変換できる。
宿泊施設によって必要なコイン数が異なり、例えば「OMO3東京赤坂 by 星野リゾート」や「OMO3京都東寺 by 星野リゾート」は175コイン〜、2022年5月20日(金)に新規開業した「OMO5金沢片町 by 星野リゾート」は250コイン〜で利用が可能。
また、HafHは365日、土日祝やハイシーズンなどに関係なく、同じコイン数で宿泊できることも魅力となっている。もし「OMO3東京赤坂 by 星野リゾート」へお盆の土曜日に星野リゾート公式サイトから予約した場合1泊12,600円〜(税サ込、1室1人、ダブルルーム)となるため、HafH会員として予約をした方がお得になる(2022年5月27日時点、ライター調べ)。ただし人気の日程は早期に予約が埋まることも忘れてはいけない。
ワーケーション利用も多い「OMO5東京大塚 by 星野リゾート」。
星野リゾートがHafHと提携したのは、新たな顧客層へとアプローチすることが大きな理由。HafH会員からHafHのユニークな利用方法や会員となった意図などを直接ヒアリングし、新しいマーケットへのアプローチになると感じることができたのが決め手だと、星野リゾートマーケティンググループの佐々木恒貴さんは語る。
「例えば、ある会員は出不精で、旅行が好きではない。しかし自分とは違うライフスタイルの人々への憧れがある。そのためHafHに会員登録をし、月額定額で支払うことで自分のお尻を叩いて旅行に行き、結果として自己変革ができた人がいると聞きました。
また、あるご夫婦はご家庭で育児をお休みにする日を設けているけれども、家にいるとどうしても家事をしてしまう。そこでHafH会員となり、育児を休む日は近場のビジネスホテルで自分の趣味に没頭する、という使い方をしている人もいるそうです。そのような利用の仕方をするお客様は、弊社公式サイトや大手旅行サイトからの予約ではあまり見られなかったと考えています」
通常宿泊者に上乗せで、HafHからの予約者が増加
好発進の「OMO3東京赤坂 by 星野リゾート」。
予約開始からわずか1カ月ながら、順調に予約を獲得する施設も出てきている。特に175コインで予約ができる「OMO3東京赤坂 by 星野リゾート」は好発進。開始から約1カ月だが、日々入ってくる予約数のうち、平均約2割がHafHからの予約だ。これは通常の予約に上乗せして、HafH会員が予約しているイメージだという。予約者は20代から30代前半が最多となり、40代、50代も利用。ワーケーション利用の宿泊客も増え、平日の予約にも繋がった。
「星野リゾートへの宿泊経験がない方々が宿泊してくれていることを実感しています。HafH会員の皆さまは、TwitterなどSNSで宿泊した感想を発信してくれることも多く、それも新たな発見でした。OMO5東京大塚 by 星野リゾートでは、ワーケーション利用のお客様より『仕事がしやすい』とお褒めの言葉をいただいたり、HafH仲間の皆さまで集まってお泊まり会を開いてくださったり、SNSで皆さまのニーズに合わせて施設を満喫している様子が伺えました。
すでに『OMO巡り』をしているお客様もいらっしゃり、北海道、関東、中部、関西、沖縄にあるOMOとBEBで、星野リゾート巡りをしていただけたらとても嬉しいです」(佐々木さん)
175〜200コインで利用できる「OMO3京都東寺 by 星野リゾート」。
収支を考えると自社サイトからの直接予約に集中した方が良いように思うが、それ以上に参画するメリットがHafHにはあると言う。
佐々木さん「現時点の個別の収支よりも、将来を考えた時に新しいマーケットで選ばれる存在になりたいと考えています。HafH会員は育児や家事などからひととき離れ、気分転換するためにホテルに宿泊する方など、既存の旅行マーケットにいるお客様とは異なるニーズを持っている可能性が高い。
この新しいマーケットで弊社の施設を利用していただくことを目標に、いち早く取り組み、先行投資を行い、お客様のニーズをキャッチしたいと考えています。そのニーズに対して適切なサービスや体験を用意するための、長期的な計画です」
HafHを通して新たな顧客を獲得しはじめた星野リゾート。今後はHafH会員の動向を深く分析し、ニーズに合わせた新たな方針を打ち出す予定だ。独自の戦略で話題を集める星野リゾートの新たな取り組みだからこそ、次の一手にも注目したい。
・星野リゾート
https://www.hoshinoresorts.com/
取材・文/小浜みゆ