付けているのを忘れて寝落ちしちゃう!?重さ2.7gの超軽量ワイヤレスイヤホン「1MORE ComfoBuds Z」でピアノ協奏曲を聴いてみた
2022.05.31音楽を聞いている最中、または動画を視聴している最中に発生しがちな「寝落ち」という現象。
或いは、当初から寝ることを意識して音楽を聴く場合もある。そんな時に『1MORE ComfoBuds Z』という製品を使ってみるのはいかがだろうか。
これはいわゆる「寝ホン」特化のワイヤレスイヤホンで、睡眠中の妨げにならないよう設計されている。製品自体が耳栓を兼ねるというコンセプトも含まれている。
あらゆる場面で寝落ちするのが得意な筆者だが、早速製品を取り寄せて試してみたい。
イヤホン重量は片側2.7g
製品提供者から『1MORE ComfoBuds Z』を聞いて、筆者は驚いてしまった。
なぜならこのワイヤレスイヤホン、Bluetooth接続時の連続再生時間は単体で約2.5時間(BLEモードで約3.5時間)、充電ケース込でも約10時間(BLEモードで約14時間)である。
この部分は正直に書いてしまえば、5、6年前のワイヤレスイヤホンのスペックだ。最近では単体でも12時間の連続再生が可能という製品もあるから、これはかなり心許ないのでは……。
が、届いた製品を実際に眺めてみると、カタログスペック至上主義に陥るのもいいことではないと察することができる。
というのも、『1MORE ComfoBuds Z』は非常に小さいのだ。イヤホン部分の重量は片側2.7gしかない。冗談のような軽さである。
これを鑑みると、上述の連続再生時間の評価も変わってくる。
このサイズに内蔵できるバッテリーで2.5時間の連続再生というのは、むしろスタミナに恵まれているのだ。
そしてこの製品は、あくまでも「寝ホン」である。言い換えれば、長時間音楽を再生しなければならない使い方は最初から切り捨てている。
使用者がやがて眠りにつき、その後は炭火が消えるようにひっそりと電池切れになる……というのが『1MORE ComfoBuds Z』の最大の特徴だ。
筆者の餃子耳にもスッポリ!
実際に『1MORE ComfoBuds Z』を装着すると、この製品の真髄にすぐさま触れることができる。
まるで本体そのものが耳の奥底に入ってしまうのでは……と思わせてしまうような装着感。
それだけ筐体が小さいということでもあるが、考えてみれば筆者の右耳は若い頃に格闘技の練習で潰してしまった。
「餃子耳」はワイヤレスイヤホンを自ずと選んでしまう。が、『1MORE ComfoBuds Z』なら筆者の右耳にもすんなり入ってくれる。
これはすごい!
もちろん餃子耳にもあらゆる形があり、中には餃子どころか耳が迷路のようになってしまった選手もいる。
そのような人にもフィットするかどうかは分からないが、どのみち『1MORE ComfoBuds Z』の筐体は大半の人に適合する可能性の高いものだ。
何なら、普段使いのイヤホンとして使っても構わない。ネックになる連続再生時間も、「2時間経ったら耳を休ませる」という意識で使っていれば大した苦にはならないはずだ。
「ラスベガスの貴族」のピアノ協奏曲を聴く
さて、ここからは実際に音楽を聴いてみよう。
今回はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番で試してみる。「あの澤田がチャイコフスキー? カッコつけやがって!」と言われそうだが、ここでもヘソ曲がりな筆者の性格を遠慮なく表してしまう。
このピアノ協奏曲第1番、奏者は「ラスベガスの貴族」リベラーチェだ。
このリベラーチェ、日本ではあまり知られていないが60年代から80年代にかけてのアメリカでは文字通りセンセーショナルを巻き起こした。
着るものは常にキンキラキンで、ラスベガスのヒルトンホテルの会場内にデカいアメ車を持ち込み、トークショーのあとにやはりド派手な装飾のピアノで演奏する。
プライベートでも、まるでヨーロッパの貴族のような屋敷を所有し、そこに執事やメイドを住まわせていた。
華美、豪勢、悪趣味、ナルシスト。リベラーチェは保守的なクラシック愛好家から嫌われると同時に、ベトナム戦争以後のアメリカの新文化を象徴するピアニストとして大いに名を馳せた。
ところが、彼にはある重大な秘密があった。同性愛者だったのだ。
今だったら「だから何? AppleのCEOもホワイトハウスの報道官も同性愛者だよね?」で済んでしまうが、70年代のアメリカでは同性愛者の人権などないようなものだった。
そもそも、アメリカという国は極めて保守的かつ男性的な国である。リベラーチェが同性愛者と世間に知られてしまったら、その瞬間にミュージシャンとしての人生は終わってしまう。故にリベラーチェは、自分自身の性的趣向を徹底的に隠蔽した。
晩年はエイズに蝕まれたリベラーチェは、1987年に67年の生涯を終えた。しかし、同性愛者への理解が広がると同時に彼の功績や作品は生前以上に高く評価されていく。
歴史的名曲であるチャイコフスキーピアノ協奏曲第1番にも独特なケレン味を加え、上品さと茶目っ気を見事に共存させているのだ。
『1MORE ComfoBuds Z』でそれを聴くと、たちまちのうちにリベラーチェの世界に引き込まれてしまう。1日の終わりにベッドの上で寝転びながら、「ラスベガスの貴族」のピアノを心行くまで堪能する。これを「至福の時間」と言わずに、何と言うべきか。
『マツコの知らない世界』にも登場
そんな『1MORE ComfoBuds Z』だが、調べてみると去年『マツコの知らない世界』でも取り上げられていたようだ。
残念ながら筆者はこの番組を観ていなかったが、『1MORE ComfoBuds Z』はガジェットマニアでない人から見れば極めて斬新な製品であることには変わりないだろう。
現在、Amazonにて6,990円で販売されている。
決して高額なガジェットではないはずなので、6月から開始されるマイナポイント第2弾を利用して買ってみるのもいいかもしれない。
取材・文/澤田真一