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未曾有ともいわれる「スタグフレーション」のリスクヘッジをするための資産防衛術

2022.07.09

スタグフレーション

原油など原材料価格の急騰が呼び寄せる経済現象「スタグフレーション」は、日本の経済をボロボロにするほどの破壊力を持つ。が、本当に起こるのだろうか。またどう対処すべきか。経済のエキスパートがわかりやすく解説する。

木内登英さん野村総合研究所 金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
木内登英さん
野村総合研究所に入社後、欧米の経済分析を担当。野村証券に転籍後は、日本銀行の政策委員会・審議委員に就任。2017年7月より現職。

【CHAPTER1】我々の生活に打撃を与えるスタグフレーションの怖さと、発生要因

原油価格の高騰が最悪な経済状態を生む!?

 コロナ禍で景気が悪くなり収入が減って生活が苦しくなった……。今、それ以上に〝最悪〟な経済状態の足音が聞こえてきている。それが「スタグフレーション」である。右下図のとおり、景気が悪いにもかかわらず、物価が上昇していく経済状態のことで、経済学では〝悪〟と恐れられている。なぜなら、景気悪化と物価高のリスクが重なり金融政策が難しくなる中で、失業者も増えて我々は厳しい生活を強いられるためだ。

 一般的に景気と物価は連動し、景気が悪くなればモノの需要が減って物価は下がり、景気がよければモノの需要が増えて物価が上がっていく。しかし、景気が悪い時に、原材料費や、製造費が上昇した場合はどうだろう。これらの費用がモノの値段に転嫁され、景気の悪さ+物価上昇=スタグフレーションになってしまう。

 この状況の原因になるのが「原油価格」で、過去に日本で起きたスタグフレーションの例がある。それが1970年代に起きた「オイルショック」だ。1974年、日本は原油価格高騰によって消費者物価指数が前年比23%も上昇した。また、原油価格高騰でコスト増となった企業は生産を抑制したため、経済成長を表わすGDPは戦後初のマイナスとなる。つまり、景気が低迷してしまった。

「オイルショックの時は、物価高への従業員の要請から、企業が賃上げを行ないました。しかし、賃上げを行なったことで、供給が少ない原油を求める人が増え、さらに原油価格が上昇してしまう負のスパイラルへと陥ってしまったのです」(木内登英さん)

 現在の状況を見ると、2022年2月に勃発したロシア・ウクライナ問題で産油量が多いロシアへ欧米諸国が経済制裁を行なったため、供給網が混乱し、原油価格が高騰した。総務省が22年3月に発表した、生鮮食品を除いた22年2月の消費者物価指数は、前年同月比プラス0.6%。21年4月に行なわれた携帯電話料金の引き下げ分を除くとプラス2.0%と急騰とはいえない。また、IMF*が22年4月に発表した世界経済の成長率予測では、日本の22年のGDPは、対前年比でプラス2.4%と成長の見込みだ。

 そう考えると、オイルショック時と現在の経済状態は異なる。しかし、ロシア・ウクライナ問題の長期化で、さらなる原油価格の高騰や、20年ぶりに1ドル=130円を突破したドル/円の円安のさらなる加速が、日本企業の製造コスト増をもたらし、生産抑制による景気低迷のリスクは、決して小さくない。日本でスタグフレーションは本当に起きてしまうのだろうか。

スタグフレーションとは経済の異常事態

スタグフレーションとは経済の異常事態
景気の後退(スタグネーション)と物価の上昇(インフレーション)が同時に起こる経済現象で、国民は、不景気の中での物価高という二重の苦しみを味わうことになる。

オイルショックが招いた「スタグフレーション」の正体

(1)原油高により供給が抑制され物価高に
1973年に起きた第4次中東戦争によって、産油国が原油価格を一気に引き上げたため、企業はコスト増を嫌って生産を抑制し、景気が低迷した。

(2)列島改造ブームで起きていたインフレに拍車がかかる
1972年からの列島改造ブームで土地価格が急騰し、物価高(インフレ)が起きていたが、オイルショックによってさらに物価が高騰する「狂乱物価」に。

(3)物価高に対し企業は賃金アップで対応するも……
景気低迷下、労働組合が春闘によって、インフレに対する賃上げを勝ち取った。しかし、それがあだとなり、さらにインフレが加速。スタグフレーションに。

【CHAPTER2】「日本で真のスタグフレーションになる可能性は低い」理由とは?

オイルショックの時と今の全く異なる経済状態

〝今、日本はスタグフレーションなのか〟という不安に対し、木内さんは「現況はスタグフレーションの懸念があるだけで、これから景気低迷と物価高が2~3年続く〝真〟のスタグフレーションになるとは考えられません」と分析する。それはなぜだろうか。

「オイルショックとは、経済状態が異なるためです。コロナ禍での金融緩和が行なわれる前から物価は断続的に上昇していましたし、物価上昇を起因とした賃上げが起こっていないため、さらなる物価上昇の引き金になっていません。加えて、金融引き締め政策が高速化し、このような事態が起きたとしても今なら物価上昇を抑え込むことができます」

 日本労働組合総連合会が22年4月に発表した資料によれば、春闘による賃上げ率は2.11%。先述した22年2月の消費者物価指数が約プラス2%と、物価高に応える賃上げに見えるが、「賃上げのうち1.8%は定期昇給分です。実質的な賃上げは、ベースアップ分の0.3%程度です。この程度の賃上げでは、持続的な物価高にはつながりません。しかし、一般消費者が『物価高』を期待しているなら話は別です。オイルショックの時とは別のシナリオになるものの、物価高による賃上げが実施されれば、企業が生産を抑制し景気が低迷してしまう。そこにインフレも長引くと、やがてスタフグレーションになってしまいます」

 日本人の平均年収は30年以上400万円台で、ほぼ横ばいで推移している。そんな状態で、インフレ(物価高)を望む人はほとんどいないはずだ。

携帯料金引き下げなどの特殊要因を除けば、物価高は限定的か?

携帯料金引き下げなどの特殊要因を除けば、物価高は限定的か?
過去10年間の生鮮食品を除く消費者物価指数の増分の推移は、大きくても、前年比約2%増でとどまっている。

【CHAPTER3】日本でスタグフレーションが起きた場合のリスクヘッジは?

インフレと景気後退の両方のリスクに備えたい

 スタグフレーションの懸念がある日本で、スタグフレーションが本格化する局面に備えるには、インフレへのリスクヘッジの考え方を持つとよい。具体的には、「株や不動産、ゴールド」への投資だ。

「株は、インフレ時には短期的には急落する性質があるが、中長期では通貨との相対価値で上がる性質もあります。また、不動産やゴールドは物価に連動します。特に不動産は家賃収入が得られ、キャッシュフローを確保できます」

 また、国内の景気低迷にも備えておきたい。22年の日米の金融政策では、金利差拡大の見込みだ。

「金利差によって円安になるので、外国株や外国債券を投資対象にしておくとよいです。米国債券に投資した場合には、仮に米国景気が悪化しても、利息収入が確保できるので、リスクヘッジできます」

 22年3月には、米国国債の短期金利と長期金利が逆転する「逆イールド」と呼ばれる状態が発生した。それは景気後退のサインともいわれているが、「逆イールドだけで景気後退の予兆になることはありません」と木内さんは語る。

 スタグフレーションの可能性は低いとはいえ、先行きが見えない中で、不測の事態に備えたリスクヘッジを検討しておきたい。

逆イールドとは?

逆イールドとは?
債券は期間が長いほうが金利が高い。米国の積極的な利上げ姿勢により、将来の市場予測に敏感な2年債の金利が急激に上昇した。

【スタグフレーションに備えてリスクヘッジする方法】

●米国債券への投資で景気悪化に備える
●不動産関連やゴールドへの投資でインフレに備える

* IMFとはInternational Monetary Fundの略で、国際通貨基金のこと。通貨と為替相場、国際金融システムの安定化を目的とした国際連合の専門機関。

取材・文/久我吉史

※掲載している情報は2022年4月28日時点のものとなります。

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文/DIME編集部


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