芸人として活躍し始めた20代半ばにマンションを購入し、早くから資産運用を意識していた天野ひろゆきさん。株式投資を始めたのは、「リーマンショック」の直後だという。独特の相場観を持つ天野さんは、現在の相場を冷静(?)に眺めていた。
キャイ~ン天野ひろゆき × 企業応援型投資
自分が考えたとおりに株価が動いた時に投資の楽しさを実感します
PROFILE
1970年生まれ。愛知県出身。1991年に、ウド鈴木とお笑いコンビ「キャイ~ン」を結成。俳優、声優、映画監督としても活躍中。著書『ウドちゃんでもわかる マネー芸人・天野っちの「アマノミクス」的蓄財術』が話題に。YouTubeチャンネル「キャイ〜ンのティアチャンネル」も配信中。
「100年に1度の暴落」で投資家として鍛えられた
ボクは、ショックには強いんですよ。今まで株式市場に鍛えられてきましたから。
なんせ、株式投資を始めたのは、2008年に起きた「リーマンショック」の直後。「100年に1度の経済危機」と言われた、世界中を揺るがす大事件の真っ最中でした。
こういうと、暴落を狙って株を買った、頭のキレる人のように思われたりするんですけど、当時のボクには、そんなに深い考えはありません。「100年に1度の大暴落なんだから、あとは上がるだけなんじゃないか」という程度です。もう完全に素人の発想。ボクが賢そうに見えるのは、横にウド鈴木が立っているという視覚効果によるものじゃないですかね(笑)。
リーマンショック後、しばらくは日本の株式市場の下落は止まりませんでした。ボクは、「100年に1度のショックだから、仕方がないかな」くらいに思っていました。で、ちょっと下げ相場が止まってきたかなという時、今度は、ギリシャの財政破綻をきっかけとした「ユーロ危機」が発生します。その時も、ニュースでは、〝前代未聞〟とか〝100年に1度〟とか報道されたんですよ。リーマンショックが起きて、まだ2年くらいですよ? 「聞いてないよ!」って(笑)。それで思い知ったのは、「100年に1度の出来事はしょっちゅう起きる」。これがわかっていれば、来年、また100年に1度が発生しても、「またか」で済んでしまいます。
でも、これって、株式市場に限ったことじゃないんですよね。ボクが好きな野球でも、毎年のように、「20年に1度の逸材が登場した!」って言われてますから。
どんな分野でもそうですけど、専門家の意見は必ず当たるわけではなく、外れる時もある。だから、鵜呑みにはしないほうがイイ。これが、投資で得た教訓ですね。
「家電芸人」としての自分を過信して失敗したケース
逆に情報に詳しいことで、かえって失敗したこともあります。ボクは、家電が大好きで、〝家電芸人〟としてテレビに出演し、いろいろな製品を紹介してきました。
あれは、2012年だったかな、シャープが『IGZO(イグゾー)』という液晶ディスプレイを発売した時です。当時としては画期的な製品で、少ない電力消費でキレイな映像を表示できました。「これはスゴイ!」と飛びつき、シャープ株を購入したんです。
ところが、すでに一般ユーザーにとっては、液晶テレビは十分に高機能化していて、低価格商品も投入されていた。マニア向けの性能だけではヒットしなかったんです。その後シャープは、台湾メーカーの傘下に入り再建中。プラズマクラスターやヘルシオも人気なので頑張ってほしいですね!
投資は好きな企業への応援!今はじっくり銘柄を選ぶ時
でも、多少の失敗はつきもの。ボクの考える個別株投資は、自分の好きな企業への応援です。自分のお金で、ちょっとでも企業を元気づけることができれば、それが一番。株価が上がらなくても、そんなに後悔はしません。ちょっとは引きずりますけど……。
だから、投資先は、好きな会社、よく知っている会社です。それだけだと、投資先が限られてくるので、テレビ東京系の経済番組『ワールドビジネスサテライト』や『カンブリア宮殿』を観て、スゴイ製品やサービスが紹介されていると、会社の株価チャートなんかをチェック。また、会社が大変な時に矢面に立ち、対処する社長さんだと好印象ですね。
あとは、街を歩いていて、売れている商品や、にぎわっている飲食店など、自分のアンテナに引っかかったものから、企業をたどっていくことも多いですね。銘柄選択は、基本的に消費者目線というか、肌感覚ですね。
そうやって投資した株が上がると本当にうれしい。社会に貢献したような気持ちにもなれます。うまくいかなくても、大きく損をしていなければ、投資の楽しみは十分に味わえると思います。
今は、コロナ禍から完全に回復しないままに、ウクライナの問題が起きてしまって、株式投資には難しい時期ですよね。ボクは、去年あたりは、コロナの状況が好転していけば、ダメージが大きかった旅行業界や飲食業界が、真っ先に回復するんじゃないかと予想して、銘柄を考えていました。
でも、想像以上にコロナ禍が長引いてしまい、いつ頃はっきりとよくなるのか見通せない状況になっていると思います。なので、投資のタイミングを失っている感じかな。でも、こういう時だからこそ、大ヒットする飲食店が生まれたりするので、アンテナだけは張っておかないといけないですね。
AI、特に最先端の認証技術を持つ企業なんかは、有望だと思うのですが、その辺の技術は難しくて。そういう技術が応用された家電なんかが出てくると、わかりやすいんだけどなあ。やっぱり、家電量販店に通うのが大事だな。
天野ひろゆき・投資の鉄則!
過去の失敗には成功の秘訣がある
投資した株が下落した時、その原因を考えるのが習慣に。「シャープは、技術はすごかったけど液晶テレビの需要を読み違えた、など。失敗の原因を自分なりに追究していけば、次の投資にその経験を生かせるはず。ただフェイスブック(現Meta)は2009年当時、買っておけばなあ(笑)」
情報収集は『WBS』で!
テレ東の『ワールドビジネスサテライト』は、金融経済情報がコンパクトにまとまっている。話題の企業の社長が出演することから、天野さんは投資する前から観てたそう。「テレビだと社長の人柄などが伝わるので、投資情報としては貴重だと思います」
天野ひろゆきが2022年下半期注目する業界
●旅行業
コロナ禍の影響が大きかった業界のひとつ。その分、需要回復で大きな恩恵を受ける可能性が高い。政策の後押しにも期待。
●AI・認証系
顔認証や声認証など、本人かどうかを識別するのが認証技術。実は、AIの中でも、日本の企業が競争力を持つ数少ない分野だ。
●外食産業
アフターコロナで本格化する〝新しいライフスタイル〟に合致するような新業態の飲食店が生まれれば大ヒットする予感。
【天野ひろゆきの2022年下半期資産運用プラン】
コロナショックとウクライナ危機が終わるまで売り買いもせず辛抱。その後の市場に向けて情報収集を欠かさない。
取材・文/松岡賢治
DIME7月号の大特集は「今こそ大チャンス!2022下半期・逆襲の資産運用プラン」
2022年上半期はオミクロン株の大流行やウクライナ情勢など波乱の幕開けとなった。年初から下落基調だった日経平均株価は依然として不安定な値動きが続いている。下半期に向けても円安や原油高など、先行き不透明な状況の中、今後の投資方針を決めかねている個人投資家も多いだろう。この先の資産運用はどうすればいいのか?
DIME最新号の特集では厚切りジェイソン、テスタ、天野ひろゆき、AKB48武藤十夢、里崎智也、投資系YouTuber、エコノミストなど15人の賢者たちに、2022年の下半期に着実に資産を増やすヒントを徹底取材。さあ、逆襲の時が来た!
豪華付録「Qi対応ワイヤレス充電器」はカバンに常備しておくと便利!
DIME最新号には豪華付録「Qi対応スマホのワイヤレス充電器」が付いてくる。しかも、USB端子のあるノートPCやモバイルバッテリーにつないで使えるので、外出先する時にカバンにしのばせておくと、電池残量が切れそうになっても安心だ。
文/DIME編集部