発見されたのはヒラタアブヒメバチの日本固有種か!?
花から花へとせっせと動き回るミツバチや羽音を聞いただけでゾッとしてしまうスズメバチなど、日本には4,000種類以上のハチが生息している。
そしてこの度、愛知県豊橋市の自然史博物館で資料整理ボランティアとして活動する森下俊介さん(38)が、神奈川県立生命の星地球博物館の渡辺恭平学芸員との共同研究により、新種のハチ2種を発見した。
ヒラタアブヒメバチの仲間としては、日本で34年ぶりの新種発見となる。森下さんらの研究論文は、昆虫学系では世界的に知られるドイツの学術専門誌に掲載されたので、詳しい内容を見ていこう。
〈研究論文掲載先〉
「Deutsche Entomologische Zeitschrift」
今回発見された新種のハチ
・ウォルドステドゥティウス・アルピコーラ
Woldstedtius alpicola Morishita&Watanabe,2022
後ろ足の付け根部分の節が長いことが特徴。
・ウォルドステドゥティウス・プンクタートゥス
Woldstedtius punctatus Morishita&Watanabe,2022
背中の小盾板(しょうじゅんばん)にある点刻という模様が強く出ていることが特徴。
森下さんと新種のハチの出会い
森下さんは宮城県で生まれ、農業を志して平成26年から豊橋市に移住。子どもの頃から昆虫が好きだったことから、自然史博物館の資料整理ボランティアに応募した。ボランティアとして4年ほど活動しており、20万以上の昆虫標本を分類ごとに整理している。
ハチの研究は、職場に飛んできた1頭のヒメバチの名前を調べ始めたことをきっかけとし、自然史博物館でボランティアをする中で知識を深めた。現在では家にハチの標本が1万点以上あるとのこと。
森下さんは、数年前からハチの研究活動で渡辺学芸員と交流を続けており、ヒメバチの標本調査のため渡辺学芸員の元を訪ねていたところ、神奈川県立生命の星地球博物館内に不明種として保管されていたヒメバチと出会った。森下さんは初めてそのハチを見た際、『新種だ』と直感したそう。
ヒラタアブヒメバチの仲間は、ヒメバチ科の中でも新種が見つかりにくく、日本固有の種が少ない中、今回発見された2種は日本の固有種であると考えられている。
今回の快挙について、「発見したときは狂喜乱舞した。」と喜びを語り、「地元に自然史博物館があったことが大きい。昆虫学を学んだことのない自分が、ボランティア活動を通して1から勉強することができ、研究者になれた。」と話した。
自然に関する様々な資料の収集を続ける自然史博物館では、現在84名のボランティアが昆虫のほかにも化石や魚類など、様々な分野で教育普及や資料整理、調査研究などを行っている。
自然史博物館の長谷川道明学芸専門員は、「ここでは、知を楽しむことができます。趣味でありながら、学術にも貢献できる場所。多くの人が博物館で活動することで、知が深まり、知識が市民に還元されていきます。色々な人が博物館を舞台として社会活動できることが重要です」と語った。
関連情報:https://www.toyohaku.gr.jp/sizensi/
構成/Ara