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人手不足や廃棄ロス削減など飲食店の課題解決貢献を目指すキリンの次世代小型サーバー「TAPPY」とは?

2022.05.30

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

次世代型サーバー「TAPPY」を全店に導入したペッパーランチ

昨年4月から全国展開をスタートしたキリンビールの業務用サーバー「TAPPY(タッピー)」は、ディスペンサーが2タップと1タップの小型サーバーで、「一番搾り」「キリンサワー」「陸ハイボール」を提供する。コンパクトで場所を取らないことから小規模店舗で導入しやすいのはもちろん、コロナ禍以降さらに顕著になった、飲食店が抱える課題解決が期待される「次世代」業務用サーバーとして注目されている。

通常のサーバーで使われる樽詰めビールの場合、一番小さいサイズでも7Lだが、TAPPYでは3Lペットボトル(300mlタンブラーで約10杯分)という小型容器を採用。少量なのでより早いサイクルでおいしい生ビールが提供できるほか、サーバー内のホースが短いため、サーバー洗浄時にホースに残ったビールの廃棄が減り、フードロスの削減、コスト削減にも貢献している。

メンテナンスや商品の持ち運びが通常に比べて簡単で、ワンウェイ容器であることから、樽回収の費用や手間もかからず、社会的に逼迫している物流負荷の低減に加え、物流費の抑制も実現できる。

TAPPYを導入しているのは、酒類の注文数が比較的少ない個人店や、食事メインの業態の店舗が多い。ペッパーライス、ステーキ、ハンバーグなどお肉メニューで人気の「ペッパーランチ」もそのひとつ。ペッパーランチでは全183店舗(2022年5月現在)でTAPPYを導入している。

5月20日にオープンしたばかりの「ペッパーランチ フレンテ明大前店」は駅のホームにある店舗。限られたスペース、短時間で食事を済ませる客が多い駅ナカという条件もあり、1タップディスペンサーのTAPPYを採用した。

ペッパーランチを運営しているホットパレット 社長室 経営企画課 渡邊祐理奈さんにTAPPY導入の経緯について話を伺った。

「弊社では10L樽のサーバーを使っていましたが、樽の場合、鮮度を保った状態でおいしく飲めるのは開栓後3日間。コロナの影響からアルコールの提供中止や提供時間の短縮により、おいしく飲める期間内に回転させることが難しくなってしまい、それに伴い期間を過ぎたビールを廃棄するフードロスが生じていました。清掃する際にも1日あたり約350mlの廃棄ビールが出るので、183店舗、365日の稼働を考えると相当な量の廃棄ロスになります。

また、10L樽は中味が入った状態だと約12kgの重量があることから、女性や年配のスタッフにとっては、樽の交換作業や、ホースの洗浄といったオペレーションの負荷が大きかったこともネックでした。

TAPPYは3Lのペットボトルなので、交換やメンテナンスの負担を軽減させ、さらに扱いやすさから、新人の教育においても、教える側、教わる側双方が簡単になり、仕事がしやすくなりました。

樽は常温保存ですが、TAPPYは冷蔵装置を搭載しており、開栓後も常に冷蔵していることからおいしく飲める期間が7日間あり、樽に比べると少量なので、1日4~5杯程度の回転率の低い小規模な店舗でも鮮度とおいしさを保った状態で提供できます。ビールの廃棄がほとんど出ないため廃棄ロス削減にもつながり、手間やコストが削減できています」(渡邊さん)

TAPPYを導入した店舗の約9割が改善を実感しているというデータもあり、営業担当のキリンビール 広域販売推進第2支社 営業3課 主任 山田あよんさんも、今後の導入店舗拡大に意欲を見せる。

「TAPPYは少容量で回転が早いため新鮮なおいしさが味わえ、軽くて洗浄の手間も減るので扱いが簡単、ロスが少なくコスト削減でお得になります。おいしい生ビールでお客様にも喜ばれ、店舗様の負担も削減し、弊社もおいしい生ビールを提供できる、三方良しの、キャッチコピーの通り“みんなハッピーサーバー”な商品だと自負しています。

お客様がお店でビールを飲むときは、家でも飲める缶ビールより、生ビールに価値を感じていらっしゃるので、店舗では生ビールが飲みたいという要望が強い傾向にあります。1日3~4杯提供の小規模店舗では、コロナでアルコール提供の制限があった時期は鮮度を保つために、瓶や缶ビールに変更されるところもありました。我々の調査では、生ビールから瓶や缶ビールに変更すると注文数が40~50%落ちるというデータも出ています。

その点TAPPYは大きな樽を必要としないサーバーなので、小規模店舗やペッパーランチさんのような食がメインの業態にはぴったりな什器です。チューブを洗浄するだけで、生ビールだけではなく、キリンサワーや陸ハイボールといった液種の交換も簡単にできるため、2タップで2種類のドリンクを提供したり、時期によって液種を変えることも可能です」(山田さん)

【AJの読み】フードロス、労働力不足、物流の課題といった問題解決に貢献

業務用サーバーを利用したことのない消費者にはわかりにくいが、一般的に使用されている「瞬間冷却式ディスペンサー」と呼ばれるビールサーバーは、樽詰めビールが常温で保管されており、ホースを通してサーバー内を経由することで冷却される仕組み。樽やホースは常温状態にあるため、残っているビールの風味の劣化や、汚れが溜まることを避けるためにもこまめな洗浄が必要となる。TAPPYはペットボトルとタップが近い位置にあるのでサーバー内のホースが短く、メンテナンスが従来のサーバーに比べてかなり楽。さらにTAPPY自体が冷蔵庫の役割を果たし、開封後も劣化を防ぐため7日間おいしさが担保される。

安定した品質を保って使い切ることができ、新人のスタッフでも扱いやすく、メンテナンスの負担が軽減されるので、少ないスタッフで店を回す小規模店舗や個人店では重宝されており、導入店の中には「TAPPYはこの時代にあった製品」と絶賛している店舗もある。

今回紹介した導入店舗の「ペッパーランチ フレンテ明大前店」は、京王井の頭線 明大前駅の吉祥寺方面ホームにある。ペッパーランチ初となる黄色をメインにした内装で、生ビールもおいしくいただけそうな、とても明るく入りやすい雰囲気の店舗だ。

「あつあつのお料理と生ビールの相性はとても良いので、ぜひTAPPYのおいしい生ビールを味わってください」(渡邊さん)とのことで、看板メニューの「お肉たっぷりビーフペッパーライス」(990円)と、野菜たっぷりで女性に人気の「ビビンバペッパーライス」(M・880円、L・990円)に、「一番搾り生ビール」(小・390円、中・500円)のおすすめメニューを写真で紹介!

お肉とビールの魅惑の組み合わせに、仕事で疲れて、お腹もペコペコ状態でホームにあるお店を見つけたら……思わず入ってしまう人続出かも。

注※株式会社ホットパレットは 2022年6月9日から一部メニューの価格改定を実施するため、6月9日以降は商品価格が異なります。

文/阿部純子

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