PHPはサーバーサイド言語の代表格として、主にWebシステムの構築に利用されている人気の言語です。これからPHPの学習を検討している人向けに、主な特徴や用途・習得のメリットを解説します。基本的な知識を身に付け、学習の参考にしましょう。
PHPはどんな言語?
PHPは1995年にカナダ人のプログラマーである、ラスマス・ラードフ氏によってリリースされたプログラミング言語です。オープンソースとして提供されており、現在ではサーバーサイド言語としての地位を確立するようになりました。
サーバーサイドのプログラミング言語
PHPはサーバーサイド言語の代表格として広く知られています。サーバーサイド言語とは、Webサーバー上で動作するプログラミング言語です。ブラウザ(フロントエンド)側のプログラムから指示を受け、求められた情報を提供するという役割があります。
JavaやRuby、Pythonなど、サーバーサイド言語に該当するものは他にも多くあります。その中でも特に、PHPはシンプルで記述がしやすい言語として世界中のプログラマーに親しまれています。
多くのWebサイトの開発に使われている
インターネット上に存在している数多くのWebサイトに、PHPが使われています。W3Techsの調査によれば、2022年5月時点で、約8割のWebサイトにPHPが使用されているようです。
近年は、ユーザーがアクセスした際の状況によって異なる情報を表示する『動的なWebページ』が当たり前になってきました。動的ページの作成にはPHPが欠かせません。
他の言語でも同じようなプログラムを組むことは可能ですが、この分野ではPHPが確固たる地位を確立しています。
言語としての特徴
数あるプログラミング言語の中でも、なぜPHPの人気が高いのかが分かれば学習の参考になるはずです。言語としての特徴の中で、代表的なものを三つ見てみましょう。
構文がシンプルで覚えやすい
PHPは基本構文が少し古いと評価されることはあるものの、シンプルで覚えやすい言語です。初心者も学習しやすい言語として知られています。
プログラムが読みやすく、どのような動きを実現したいのか、ある程度基本を押さえた人なら理解しやすいのが特徴です。
また、PHPはインターネット上には多くのサンプルがあるため、分からない点があっても検索すれば答えが出てくる可能性が高い言語でもあります。プログラミング言語自体を初めて学ぶ人にもおすすめです。
たとえ予期せぬエラーが起こっても、少し調べればピンポイントで解決法が見つかるケースがほとんどでしょう。
プログラムの動作確認が簡単
基本的にプログラミング言語は、記述したプログラムを実行するために『コンパイル』と呼ばれる作業をしなければいけません。プログラムをコンピューターが理解できる言葉に翻訳しなければ、命令を実行できないためです。
しかし、PHPは基本的に一括でコンパイルをせずに、1行ずつ機械語に翻訳する『インタプリタ言語』に該当します。すぐにプログラムの動作をチェックできるのが特徴です。
特に初心者の場合、記述ミスでエラーを出してしまうケースが少なくありません。動作確認が簡単なのは大きなメリットといえるでしょう。
HTMLと組み合わせて記述できる
PHPはHTML内にタグを埋め込み、直接コードを書き込めるのも特徴です。たった数行のコードでWebページに動きを付けられるので、HTMLを学ぶ延長線で動作を確認しながらPHPも学べます。HTMLをある程度理解している人ならば、最初に学ぶプログラミング言語としておすすめです。
ただし、HTML内に大量のコードを書き込むと見づらくなってしまいます。本格的にプログラムを作成する際は、PHPのファイルを別に作ってHTMLファイルに読み込ませる方がよいでしょう。
PHPで何ができる?
PHPは大量のデータを計算したりシステムの土台を作ったりするのは苦手ですが、Webページに動的な機能を持たせるのに優れた言語です。具体的にどのような機能を実装できるのか、確認しておきましょう。
問い合わせフォームの作成
Webページでよく見かける問い合わせフォームは、PHPで簡単に作成できます。PHPを学んでいる人の多くが、まず最初に問い合わせフォームの実装にチャレンジしているようです。
フォームの作成は、基本さえ押さえておけば誰でもできるようになります。具体的な手順はインターネット上にも数多く公開されているので、参考にするとよいでしょう。
オンラインショップ機能の実装
PHPは商品カートや決済など、Webサイトにショッピング機能を持たせるプログラムの作成も可能です。カートに商品をいくつ入れているのか、合計の金額はいくらかなど、訪問者に見やすく表示させる機能も実装できます。
さらに、会員情報やお気に入り商品の登録・商品の在庫管理を担うシステムの構築も、PHPで対応できるジャンルです。ECサイトの構築には欠かせない言語といえるでしょう。レストランや宿泊施設でよく使われる、予約管理システムの実装もできます。
ブログサイトや掲示板の作成
主にブログサイトやオウンドメディアに使われる『CMS(コンテンツマネジメントシステム)』には、PHPで作られているものが多くあります。CMSはHTMLを理解していなくても、直感的にWebページの作成や追加・編集ができるシステムです。
特に、世界で広く使われているWordPressでWebサイトの構築・運用を本格的に始めたい人は、HTMLやCSSに加えてPHPも習得しておくとよいでしょう。WordPressにもPHPが使用されており、PHPが使えれば自由にカスタマイズができます。
WordPressを使った案件は非常に多いため、フリーランスの収入源としてもおすすめです。
また、PHPではユーザーが自由に文章を書き込んだり、内容に返信したりできる掲示板の作成もできます。自社のWebサイトに掲示板機能を持たせたい人や会員制の掲示板サイトを作りたい人も、PHPを学ぶのがよいでしょう。
PHPを学ぶメリット
PHPは言語としても学びやすく需要も安定しているので、初めて学ぶプログラミング言語としてもおすすめできます。学習を始めるメリットを『需要の多さ』『学びやすさ』から考えてみましょう。
安定した仕事を得られる可能性が高い
PHPを使う案件はとても多く、一定レベルのスキルがあれば仕事を得やすい状況にあります。企業で担う案件はもちろん、フリーランス向けにも多くの案件があります。
PHP技術者認定機構の資料によると、2022年1月時点で大手求人サイト『Indeed』に掲載されていたPHP関連の求人は、82794件でした。他の開発言語の中でもトップの求人数となっているようです。
また、どの求人サイトでもWordPressを使う案件数は多く、使いこなせるようになれば安定した収入につながるでしょう。
※参考:PHP、WordPress市場動向|PHP技術者認定機構
学習に役立つ情報の量が多い
PHPは言語として20年以上の歴史があり、リリース当初から動的なWebサイトに必要な言語として重宝されてきました。そのため、学習に役立つ情報がインターネット上に多くあり、効率的に学習を進められるのもメリットです。
無料で閲覧・利用できる作成サンプルが多く言語自体もシンプルで学びやすいため、やる気次第ですぐにスキルを高められるはずです。頻繁に使用する機能をまとめたフレームワークも多くあるので、積極的に活用するとよいでしょう。
構成/編集部