LGエレクトロニクス・ジャパンは、5月19日に「2022年テレビ新製品発表会」を開催。今年は新製品として有機ELテレビ4シリーズ12モデルと液晶テレビ3シリーズ11モデルを発表した。LGは、2013年に世界初の有機ELテレビ(55インチ)を発表して今年で10周年を迎える。日本では2015年から市場展開をスタートさせ、2019年には日本初の8K有機ELテレビを発売。2021年には、色の再現性と明るさを向上させた次世代有機ELテレビ『LG OLED evo』を発表した。最近では、コロナ禍でテレビの需要が増えて、集荷台数も大幅に増加したという。
「世界の実績として、2020年以降の在宅需要が後押しとなり、2021年には約400万台という過去最高の出荷数を記録し、販売シェアも62パーセントに成長しました。有機ELテレビの購入者のうち、6人に1人が2021年のLGのスタンダードモデルである『C1』シリーズを購入しており、それだけ生活者にとってLGの有機ELテレビが身近になっていることがわかります。LGは9年連続で有機ELテレビの世界シェアナンバーワンブランドになっており、『CES Innovation Awards』ほか世界的な権威のあるさまざまな賞をいただいております」(LGエレクトロニクス・ジャパン/宇佐美夕佳さん)
発表会でプレゼンテーションを担当したLGエレクトロニクス・ジャパン/マーケティング統括責任者の宇佐美夕佳さん。国内のテレビ市場についても変化が見えると説明。「液晶テレビを含む4Kテレビの出荷台数の構成比をインチ別にみると超大型テレビ市場が成長しています。65インチ以上の構成比が2019年の18パーセントに比べて2021年は29パーセントに増加。さらに有機ELテレビでは50~60インチの大型市場だけでなく、50インチ以下のテレビでも構成比が増加しています。大画面が求められる広いリビングだけではなく、書斎や寝室などプライベートルームにもプレミアムなパーソナルテレビを求める家庭が増えたということではないでしょうか」
高画質化した有機ELテレビやよりプライベートに使える42インチモデルの投入などが発表されたが、新たに追加された機能として個人アカウントの設定が可能になった。これは個人ごとに視聴パターンからオススメ番組を提案したり、ホーム画面のカスタマイズなどができるというもの。
「時代の変化に対応し続けるテレビとして、どんな体験を届けることができるのか。LGがたどり着いたのは個人アカウント機能の追加です。アカウントごとにテレビの視聴パターンにもとづきAIプロセッサーがオススメのコンテンツを表示したり、コネクテッドテレビのホーム画面に表示するアプリ一覧も自分仕様にカスタムできます。スポーツ好きに好評いただいている『スポーツアラーム』もアカウントごとの管理が可能です。日本市場向けには番組表のUIも改善し、自分がいつも見ているチャンネルを集めた個人番組表も可能になりました。『お気に入り』に登録するだけで、いつでも自分だけの番組表を確認できます。より視聴傾向に合わせた自分だけのテレビライフが実現します」(LGエレクトロニクス・ジャパン/宇佐美夕佳さん)
有機ELテレビでは42インチモデルを初投入!
今年の有機ELテレビは、『G2』、『C2』、『B2』、『ART90』の4シリーズを展開。2021年8月に発売した8K有機ELテレビ「Z1」も継続販売し、LGとしては初となる有機ELテレビの42インチモデルも投入。42インチから88インチまで過去最大の合計7サイズとなる豊富なラインナップを用意。さらに昨年の『LG OLED evo』をグレードアップした最高画質モデル『LG OLED evo Gallery Edition』も『G2』シリーズに投入する。新しい発光素材を採用し、赤、青、緑の波長を改善しながら新しいカラーレイヤーと放熱板を追加することで色の再現性を向上させ、ピーク輝度は高い明るい絵を実現。LGの有機ELテレビでもっとも明るく高輝度方向の表現に深みが増したテレビになっているという。新たな画質機能も搭載する。『G2』シリーズには、「Brightness Booster MAX」技術を新たに採用。放熱性を高めながら進化したアルゴリズムを適応させることでWRGB方式でさらに明るくなり、素材変更によるピーク輝度の高いRGB単色の濃さとグラデーションの豊かさをもたらすという。暗部の豊富な色数は維持しながら高輝度の色表現に深みをもたせた絵作りを実現。『C2』と『ART90』には「Brightness Booster」を搭載し、2021年の『C1』シリーズと同じ明るさと色表現の豊かさと色の再現性の広がりで繊細な色彩と明暗表現を実現。色再現性においては「Intertek」の認証を100パーセントクリア。液晶テレビも斜めから見ても美しい映像を楽しめるという。
LG独自開発の映像エンジンは第5世代となるプロセッサー「α9 Gen5 AI Processor」を搭載。解像感と色彩表現が進化したことでピーク輝度の高いシーンでの再現力が増している。さらに日本人の肌の色がより自然に見えるようなアルゴリズムを取り入れているので、地上波放送、4K放送、VOD、映画などさまざまなコンテンツを高画質で楽しめる。昨年モデルからの進化点として「オブジェクト型リアルタイム映像処理」と「ダイナミックビビット処理」も搭載。「オブジェクト型リアルタイム映像処理」は、それぞれの被写体ごとにコントラスを増してよりリアルな映像に解像感をアップグレードする。「ダイナミックビビット処理」は、肌の色をナチュラルに保ちながら細部までの鮮やかな色再現を行うことで暗部が引き締まりつつ階調豊かな映像を視聴できる。コンテンツの映像ソースをAIがリアルタイムに識別して最適な画像処理をする「AI映像プロ」、臨場感あふれる「バーチャルサウンド7.1.2ch/5.1.2ch」に変換する「AIサウンドプロ」、AIが映像ジャンルを分析してサウンドの種類をジャンルに合わせて最適化する「アダプティブサウンドコントロール」、さまざまなコンテンツの音声を一定にキープしてくれる「オートボリュームレベリング」、『Dolby VISION IQ』と『Dolby ATMOS』や製作者の意図を再現することを目的とした『FILMMAKER MODE』など画質やサウンドに関するさまざまな機能も搭載している。
最新ゲーム機に対応してFPSやレースゲームでも快適にプレー!
LGの有機ELテレビは、いち早く最新ゲーム機に対応したHDMI端子を搭載し、HDMI2.1に指定されたeARC、VRR、 ALLMをサポート。8K60Hz、4K120Hzに対応に対応することでゲーム本来のスペックを余すことなく発揮することでゲーマーにも支持が高いという。『OLED』シリーズは、応答速度1ms以下でゲーム用HDR規格「HGiG」にも対応。さらにゲーム環境を一目で確認できるLG専用インターフェイス「ゲームダッシュボード」やプレー環境やゲーム内容に合わせて画質モードを自由に設定できる「ゲームオプティマイザ」といった機能を搭載。昨年からNVIDIAとのパートナーシップでクラウドゲーム『GEFORCE NOW』のテレビ向けアプリも搭載。ゲーム機器を使わないで本格的な1000タイトル以上のゲームを楽しめるようになった。
本体デザインでは『ART90』シリーズが注目だ。デンマークを代表とするファブリックメーカー「kvadrat(クヴァドラ)」と協業して開発。65インチの大画面でありながらテレビを見ていない時は、スタンド部分を上部にスライドさせてキャンバスオブジェのようにデザインを変化させることでインテリアフィットしやすいことを開発思想に置いた製品。画面の一部をライン上で表示して、時刻や天気予報のインフォメーションボードとして使用したり、80Wのフロントスピーカーを活用して手元のモバイルミュージックを再生するなどテレビ視聴以外の使い方も可能だ。
設置用アクセサリーにもこだわり、これまで展開している専用金具で壁面にぴったり設置して壁掛けができる「ギャラリーデザイン」と部屋の中央でも部屋寄せにもスタイリッシュに置くことができる「ギャラリースタンド」に加えて、プライベート空間にも最適なサイズに適応したシンプルな4本足の「フロアスタンド」も追加。部屋の雰囲気に合わせた置き方も提案するという。
『OLED G2』シリーズ
史上最高画質と高輝度高発色の有機ELテレビ「OLED evo Gallery Edition」。付属スタンドは±10度のスイーベル機能で見やすい角度に調整可能。リアルタイムAI プロセッサーの「α9 Gen5 AI Processor 4K」搭載。サイズは、77型(写真)/オープン価格(予想実売価格83万円前後)、65型/オープン価格(予想実売価格55万円前後)、55型/オープン価格(予想実売価格40万円前後)。5月下旬発売。
『ART90』
北欧デンマークを代表するファブリックメーカー「kvadrat(クヴァドラ)」と協業したデザインを採用。ラインビューで時計や音楽再生など映像視聴以外の使い方もできる。「OLED evo」とリアルタイムAI プロセッサー「α9 Gen5 AI Processor 4K」搭載。65型(写真)/オープン価格(予想実売価格99万円前後)。6月中旬発売。
『OLED C2』シリーズ
さまざまな部屋で4K有機EL画質が楽しめる豊富なサイズラインナップが特徴。「OLED evo」と「α9 Gen5 AI Processor 4K」搭載。サイズは、83型(写真)/オープン価格(予想実売価格99万円前後)、65型/オープン価格(予想実売価格45万円前後)、55型/オープン価格(予想実売価格32万円前後)、48型/オープン価格(予想実売価格25万円前後)、42型/オープン価格(予想実売価格24万円前後)。5月下旬発売。
『OLED B2』シリーズ
Dolby VisionIQとDolby Atmosに対応した高画質・高音質な有機ELスタンダードモデル。「α7 Gen5 AI Processor 4K」を搭載し、最新ゲーム機のスペックにも対応。サイズは、77型(写真)/オープン価格(予想実売価格60万円前後)、65型/オープン価格(予想実売価格39万円前後)、55型/オープン価格(予想実売価格27万円前後)。6月中旬発売。
液晶テレビは輝度とコントラストが大幅向上した新モデルが注目!
液晶テレビでは、2021年に発表したMiniLEDバックライトに量子ドット技術とNanoCell技術を組み合わせた「QNLED MiniLED」をさらにアップデート。独自の調光技術によって正確なバックライト制御が可能だが、従来より輝度とコントラストが大幅に向上。AIプロセッサーには「α7 Gen5 AI Processor 4K」を採用し、「AI映像プロ」、「ダイナミックトーンマッピング」、「ダイナミックビビット処理」、「AIサウンドプロ」などLGの画質やサウンドに関する機能も搭載している。液晶テレビの新カテゴリーとなる「QNED」をさらに拡大し、2021年に発売した『QNED99』と『QNED90』に加えて、『QNED85』と『QNED80』を新たにラインナップ。4K液晶テレビ『UQ9100』も追加し、今年3月に発売したフルハイビジョン液晶テレビ『LX7000』も継続販売していく。43インチから86インチまで幅広いサイズを展開する。
『QNED85JQA』シリーズ
進化した新基準の量子ドット4K MiniLED液晶テレビ「LG QNED MiniLED」。高精細直下型エリア駆動で理想的なコントラストを再現し、斜めから見ても美しいLG独自のIPSパネルを採用し、「α7 Gen5 AI Processor 4K」搭載。サイズは、86型(写真)/オープン価格(予想実売価格66万円前後)、75型/オープン価格(予想実売価格44万円前後)、65型/オープン価格(予想実売価格35万円前後)、55型/オープン価格(予想実売価格28万円前後)。6月中旬発売。
『QNED80JQA』シリーズ
進化した新基準の量子ドット4K液晶テレビ「LG QNED」。量子ドットとナノセルで純度の高い色彩表現と毎秒120フレーム表示でなめらかな動きを実現。AIプロセッサーは「α7 Gen5 AI Processor 4K」を搭載。サイズは55型(写真)/オープン価格(予想実売価格17万円前後)、50型/オープン価格(予想実売価格15万円前後)。6月中旬発売。
『UQ9100』シリーズ
43インチから75インチまで、どんな部屋にも置きやすいエントリーモデル。AIプロセッサー「α5 Gen5 AI Processor 4K」を搭載。サイズは、75型(写真)/オープン価格(予想実売価格22万円前後)、65型/オープン価格(予想実売価格17万円前後)、55型/オープン価格(予想実売価格13万円前後)、50型/オープン価格(予想実売価格12万円前後)、43型/オープン価格(予想実売価格10万円前後)。5月下旬発売。
今年のLGのテレビは、最高画質モデルや42インチモデルの投入などに加えて、部屋との調和を考えたインテリアとしてのデザイン性や個人アカウント機能など、個人のライフスタイルにこれまで以上にきめ細かく対応していく多様性あるラインナップと機能だと感じた。
取材・文/久村竜二