HDMI端子とは、音声や映像をデジタル信号で送受信できるインターフェースです。ケーブル1本で多量の情報を送受信できるため、従来型のように『音声用』『映像用』の複数のケーブルを必要としません。HDMIの特徴やケーブルの選び方・接続方法を紹介します。
今や欠かせないHDMI技術
日常生活のあらゆる場面でデジタル化が進む昨今、接続端子のインターフェースもデジタル対応に進化しています。AV機器・PC・デジタルデバイスを活用する上で欠かせない、HDMI技術について紹介します。
1本のケーブルで映像と音声を出力
HDMIとは『High-Definition Multimedia Interface』の頭文字を取ったものです。日本語では『高精細度マルチメディアインターフェース』と訳され、ゲーム機やオーディオ・テレビ・PC用のディスプレイなどで使える、情報出力用のインターフェースとして認識されています。
HDMIの特徴は、デジタル対応のインターフェースという点です。HDMIでの情報送信は情報劣化が少ない上、従来の規格よりもはるかに多くの情報を送受信できるという特徴があります。大容量の音声情報・映像情報をまとめてやり取りできるため、ケーブル1本のみで接続が可能です。端子そのもののサイズも縮小されており、AV機器を省スペースで接続できるでしょう。
HDMI端子の形状は3種類ある
HDMIは、コネクタの形状によって『タイプA』『タイプC』『タイプD』に分類されます。タイプAはテレビやゲーム機・パソコン・Blu-rayレコーダーなどに使われるコネクタです。一般に『HDMI端子』『HDMIコネクタ』という場合、タイプAだと考えれば間違いありません。
タイプCは『ミニHDMIコネクタ』とも呼ばれる小さめなサイズのコネクタです。ビデオカメラやラップトップなど、小さな電子機器の接続で使用されます。タイプDはタイプCよりさらに小さく、『マイクロHDMI』とも呼ばれます。スマートフォンやタブレットなどを別の機器と接続する際に使用されるコネクタです。
なお、端子ポートはメス・ケーブルなどを挿す側はオスと呼びます。
機器同士の接続はHDMIケーブルを使う
HDMIで映像・音声を送受信したい場合は、HDMIケーブルで機器同士を接続します。ただしケーブルには『バージョンの違い』と『タイプの違い』があるため、機器との相性のチェックが必要です。HDMIケーブルを選ぶ際に注意したいポイントを紹介します。
バージョンの違い
HDMIはケーブルによって対応する解像度や機能、伝送速度が異なります。接続する機器とケーブルのスペックがミスマッチにならないよう注意しましょう。HDMIケーブルには、以下の4種類がありますが、2012年以降、利用者に混乱を与えるという理由で、バージョン表記が廃止されているため、パッケージなどと合わせて確認することをおすすめします。
- ウルトラハイスピード(HDMI 2.1):8K/60Hz、4K/144Hz対応
- プレミアムハイスピード(HDMI 2.0):4K/60Hz、HDR対応
- ハイスピード(HDMI 1.3~1.4):高解像度、3D(1.4)、4K/30Hz対応(1.4)
- スタンダード:なし
例えば8K対応のディスプレイで8K画質の映像を見たいのであれば、HDMIケーブルも8Kに対応していることが必要です。スペックの足りないケーブルを選ぶと画質が低下します。
現在のところ8K対応のHDMIケーブルは『ウルトラハイスピード』しかありません。パッケージに『ウルトラハイスピード』または『HDMI 2.1』と書かれたものを探しましょう。
パッシブタイプ・アクティブタイプ
HDMIケーブルのうち、IC(映像調整用イコライザー)を内蔵していないものが『パッシブタイプ』、内蔵しているものが『アクティブタイプ』です。ごく一般的な接続では、パッシブタイプが使われるケースが多いでしょう。ICの役割は、信号強度を調整することです。何らかの理由で信号強度が低下した場合には、ICが信号強度を増幅させて情報伝達をスムーズにします。
アクティブタイプが使われるのは、主に接続する機器間の距離が5m以上ある場合です。すぐ近くにある機器同士を接続するという場合はパッシブタイプで問題ありません。
なおアクティブタイプは、信号の流れる方向が決まっています。接続の向きを間違えると映像・音声が伝わらないため、情報の送信側・受信側にどちらのコネクタを挿すのか確認しましょう。
別の端子からの変換は可能?
HDMI接続端子がないデバイスから映像・音声を出力したい場合、どのような方法があるのでしょうか?HDMI端子を持たないデバイスでHDMI出力する方法を紹介します。
USBからHDMIへの変換
出力したい機器にUSBポートしかない場合は、変換アダプターの使用によりHDMI端子を利用できます。変換アダプターとは、端子の形状・規格が異なる機器同士の間を取り持つ装置です。端子の形状や信号形式などが異なる機器を中継し、相互に適した規格に変換します。
ただしUSB端子には種類があり、規格が異なるものは使えません。例えばUSB Type-Aは、主にPCで使われる規格です。USB Type-CはiPadやAndroidスマホなどに使われています。
USB-HDMIの変換アダプターを選ぶ際には、機器のUSB規格にマッチするものを選びましょう。
ドッキングステーションを使う
ドッキングステーションとは、PCの接続ポートを拡張するために使われる装置です。本体にはUSBやLAN、HDMIポートなどが備わっており、PCと接続したい機器をスムーズにつなげられます。
ドッキングステーションを選ぶポイントは、PC側のUSB規格と合うモデルを選ぶことです。PCにはType-Aが多く見られますが、新しい製品ではType-Cが主流となっています。USB端子が平べったければType-A、楕円形ならType-Cの可能性が高いでしょう。
またドッキングステーションには、据え置き型とモバイル型があります。場所を変えたり持ち歩いたりしないなら据え置き型、携行する機会があるならモバイル型がおすすめです。
iPhone、iPadは純正変換アダプターを
iPhoneやiPad(2018年発売以降のモデルはType-C採用)などのApple社製品は、『Lightning』という独自の規格を採用しています。iPhoneやiPadの画像・動画をテレビ・ディスプレイに映したい場合は、LightningとHDMIそれぞれのポートを持つ変換アダプターが必要です。
変換アダプターはApple社から純正品が発売されているので、チェックしてみましょう。純正変換アダプターを使えば、デバイスの画像や映像を最大1080pのHD画質でテレビやディスプレイにミラーリングできます。
困ったときに便利なアイテム
HDMI端子の接続に関して、「ポート数が足りない」「すぐにケーブルが抜ける」「機器同士が離れている」といった悩みが出てくる場合があります。HDMIに関するさまざまな「困った」を解決するためには、どのような方法があるのでしょうか?HDMI接続で困ったときに便利なアイテムを紹介します。
HDMI切替器で複数デバイス利用を便利に
HDMI切替器とは、HDMIポートを複数搭載し、接続先を自由に切り替えられる機器です。例えばテレビに複数のデバイスを接続したいとき、ポート数が不足する場合もあるでしょう。そんなときにHDMI切替器を使えば、一つのポートで複数のデバイスを接続できます。
どのデバイスと接続させるかは、ボタンやリモコンで選択が可能です。接続先の選択はデバイスを接続したままで行えるため、いちいちケーブルを抜き差しする必要がありません。切替器を導入すれば、切替の手間が大幅に省けるでしょう。
ケーブル抜けを防止する製品
HDMIポートの向きによっては、ケーブルがすぐに抜けてしまうケースがあります。抜けたケーブルをまた差して、という動作にストレスを感じている人は、接続部に設置してケーブル抜けを防ぐ製品を活用しましょう。接続部分に部品を取り付けることで接続が強化され、引っ張ったり動かしたりしてもケーブルが抜けにくくなります。
また部品を取り付けるのが面倒な場合は、抜けにくい工夫がされている延長ケーブルの使用もおすすめです。接続部にラッチが内蔵されていて、軽く引っ張ったくらいでは抜けません。
延長ケーブルを差しっぱなしにしておけば、本体のポートに直接触れる回数も減ります。ケーブルを取り付けて使うことで、機器側のポートの劣化防止にもつながるでしょう。
接続しづらいTVのコネクタに延長ケーブル
テレビとHDMIポートを接続するときに「微妙に長さが足りない」ということもあるでしょう。このような場合は延長ケーブルを使えばスムーズな接続を行えます。
ケーブルの長さは10cm・20cmと短いものから、1~2mと長いものまでさまざまです。ニーズに合致したものを見つけやすく、テレビ周辺の通信環境を改善できます。
またHDMIケーブルを頻繁に差し替える場合、いちいちテレビの裏に手を伸ばす必要があるとストレスがたまります。テレビのポートに延長コードを付けて、テレビの前面で切替作業を行いましょう。接続を切り替えるたびにテレビの裏をのぞく必要がなくなり、ケーブルの切替作業が快適になります。
ワイヤレスHDMIで無線接続
接続したいデバイス同士が離れている場合や、コード類を整理したい場合は、無線でHDMI接続が可能な『ワイヤレスHDMI』の導入を検討しましょう。
ワイヤレスHDMIとは、信号を無線で送受信することで音声・映像をやり取りできる装置です。送信機と受信機間は無線でのやり取りのため、物理的に離れた機器同士でもデータのやり取りを行えます。
例えばワイヤレスHDMIなら、1階のBlu-rayレコーダーからの情報を受け取って、2階のテレビで視聴するということも可能です。
構成/編集部