Javaは汎用性の高さに定評があり、さまざまな場面で使われているプログラミング言語です。1990年代に開発が始まって以来、世界中で利用されており、特に有名な言語として知られています。Javaの特徴や実現できること、Javaを学ぶメリットを知っておきましょう。
Javaはどういう言語?
Javaは数あるプログラミング言語の中でも、特に知名度が高く人気の言語です。まずはJavaの概要と、一般的に混同されがちな『JavaScript』との違いを見ていきましょう。
Google三大言語の一つ
Javaは『C++』や『Python』と並んで、Googleが認める三大言語として知られている言語です。『三大』と称される理由はその汎用性の高さにあり、企業のシステム開発やアプリの開発など、多くの分野で積極的に利用されています。
どのような環境でも利用できるほか、言語としての応用性も高いのが特徴です。Javaをもとに別のさまざまなプログラミング言語が開発されている点も、人気の高さを証明しています。
オブジェクト指向言語の代表格
Javaはいわゆる『オブジェクト指向』言語の代表格とされています。
オブジェクト指向とは、あらゆる事象や事柄を『オブジェクト(モノ)』として捉え、制御・操作の方法をプログラムで表現するという考え方です。簡単にいえば、開発したいものを部品に分け、それを組み合わせることでさまざまな挙動を実現するということです。
オブジェクト指向の言語には、ほかの言語に比べて効率的に開発を進められるというメリットがあります。
例えば、車はエンジンやハンドル・タイヤなどの部品に分解でき、一部に不具合が生じても、そこを交換すれば車としての役割を果たし続けられます。
プログラムの場合も、一部のオブジェクトに変更や修正を加えれば、新たな機能を加えたりバージョンアップしたりすることが可能です。カスタマイズがしやすいため、多くの開発現場で採用されています。
名前が似ている「JavaScript」とは別物
Javaと名前が似ていて混同されやすい言語に『JavaScript』があります。しかし、両者は全く別の言語であり、使われる領域も違っています。
Javaは企業の業務システムやWebアプリの開発などに使われる一方、JavaScriptは主にWebサイトに動きを付けるために使われる言語です。
また、Javaはどのようなハード環境でも動作する言語として開発されていますが、JavaScriptは特定の環境において、いかに手軽に開発できるかに重きが置かれています。さらに、文法やコンパイルの要否にも違いがあり、あらゆる面で別物の言語という点に注意しましょう。
Javaを使ってできること
Javaの概要を押さえたところで、具体的にどのようなことができるのか、代表的な開発分野を知っておきましょう。Javaを使ってできることはとても多く、言語が利用される領域は現在も広がっています。
業務システムや組み込みシステムの開発
企業の各種業務システムや『組み込み型』のシステム開発は、Javaが活躍している領域です。
例えば、金融機関や証券会社などの取引システムやEC企業の決済システム、アクセス解析ツールなどの開発に利用されています。行政機関の管理システムや情報閲覧システムなどにも、主にJavaが使われています。
また、家電やカー用品などに組み込むシステムの開発は、Javaのルーツとして知られている分野です。
テレビや冷蔵庫・洗濯機などで動いているプログラムの多くはJavaによって開発されており、いわゆる『IoT(モノのインターネット)』の領域でも、開発言語の中心はJavaとされています。
Web・モバイルアプリの開発
大規模なWebアプリやスマートフォンやタブレット端末で動かすモバイルアプリの開発にも、Javaが多く利用されています。
例えば、日本でも2017年時点で月間アクティブユーザーが4500万人を超えたTwitterは、もともとRubyという言語で開発されていました。しかし、現在は安定した動作が可能なJava、Javaの後発言語であるScalaに移行しています。
Javaは開発期間が長いものの、Twitterのように大規模なWebサービスやアプリの開発に向いている言語です。
モバイルアプリの開発においては、そもそも二大OSの一つである『Android』がJavaで開発されているため、そこで起動させるアプリにもJavaが広く使われています。
ゲームやCGの開発
ゲーム開発もJavaが活躍している分野です。コンシューマーゲームからソーシャルゲームまで、幅広く対応可能です。
例えば、世界的に有名な『Minecraft』はJavaで開発された作品として知られています。Javaがゲームの分野で活躍していることがよく分かるでしょう。
Javaにはゲーム開発に特化した開発環境がないため、初心者には難易度が高いといわれています。ただ、クオリティーの高いゲームを開発できる言語として、世界中のゲーム会社がJavaを採用しています。
主な特徴や魅力
Javaは言語として、どのような魅力を持つのでしょうか?これから学習を始めたいと思っている人は、特徴を押さえておきましょう。代表的なものを三つ紹介します。
「どこでも実行できる」がコンセプト
Javaの開発元であるサン・マイクロシステムズ社は、『Write once, run anywhere(一度書いたら、どこでも実行できる)』を言語のコンセプトにしています。
そのコンセプト通り、JavaはOSやコンピューターの環境に依存することなく、ソフトウェアの開発が可能な言語として有名です。WindowsとMac OS間の互換性だけでなく、Linux環境でもJavaで組んだプログラムを動かせます。
メモリの自動管理が可能
Javaの大きな特徴として、メモリの自動管理ができる点も知っておきましょう。これは『ガベージコレクション』と呼ばれる機能によるもので、不要になったメモリ領域が自動的に解放され、再利用できるようになるのです。
ソフトウェアの開発においてメモリを解放せずにいると、メモリリークと呼ばれる不具合(バグ)が発生してしまう可能性があります。コンピューター自体が動作を停止してしまう場合もあるので、定期的にメモリを解放しなければいけません。
しかし、Javaはほかの多くのプログラミング言語と違って、手動でメモリ管理をする必要がありません。自動でメモリ開放を実行してくれるので、よりスピーディーに開発を進められます。
処理速度が速くライブラリも豊富
高い処理速度や豊富なライブラリも、Javaの特筆すべき強みです。安定して処理を実行できるので、大規模な基幹システムやWebサービスなどの運用に耐えられます。さらにセキュリティーも担保できるので、機密性が高い情報を扱うシステムの開発にぴったりです。
開発に必要な機能を整理し、簡単に利用できるようにしたライブラリが多いという特徴もあります。必要な機能を適宜組み込むことができ、効率的に開発を進められるのは大きな魅力でしょう。
Javaを学ぶメリット
Javaはその汎用性の高さと知名度から、さまざまな分野で利用されており、学ぶ価値の高い言語です。これからプログラミング言語を学ぶ人が、積極的にJavaを習得するメリットを紹介します。
需要が高く多くの分野で活躍できる
言語としての需要が高いので、Javaを習得すれば企業の大規模なシステム開発やアプリ開発に携われる可能性が高まります。
さまざまな分野で活躍できるプログラマーやエンジニアになれれば、就職や転職でも有利になるでしょう。ほかの言語を習得しているエンジニアでも、活躍できる場を広げるためにJavaを学び始める人は少なくありません。
学習しやすく参考になる情報が多い
Javaはほかの言語に比べて、初心者にとってハードルが高いといわれる向きがあります。ただ、言語としての歴史が長いので、効率的に学習を進めるノウハウが豊富にあり、参考にできる日本語の情報も多いのが特徴です。
無料で学べるサービスがあるため、独学でもやり方によっては十分に高度なスキルを身に付けられます。コミュニティーサイトも多く、熟練のプログラマーに不明点を質問すれば、有益な回答をもらえるでしょう。
構成/編集部