代替肉、フェイクミート、大豆ミート、プラントベースフードなどなど、呼び方がいろいろあるが、動物由来ではないパティを使ったハンバーガーが、全国チェーンのファストフードチェーンで定番化が進む。今年はグルメバーガーにも進出中だ。代替肉バーガー、どこまでおいしくなるか? 食べてみた!
先発ファストフードの植物性パティが進化中
日本では2020年に大手の加工肉・食品メーカーから続々と大豆原料の、いわゆる大豆ミート製品が発売され、“代替肉元年”と呼ばれた。ハンバーグやチキンナゲットは、それを使った代表的な加工食品だ。
ファストフード業界ではモスバーガーやロッテリア、バーガーキングなどが先行していたが、フィッシュネスバーガー、ドトールコーヒーショップなどでも大豆ミート使用のメニューを導入し、話題を呼んだ。
はじめに先行チェーンを見てみよう。モスバーガーの植物性パティへの取り組みは早く、2015年から使用。2020年には動物性原料だけでなく、ネギ、タマネギ、ニラ、ニンニクなど、においの強い野菜を使わない大豆肉パティ使用の「グリーンバーガー<テリヤキ>」を発売。レギュラー商品の中では高価格に入る580円だが、「健康志向の高い人、フレキシタリアンにも好評」(モスバーガー広報)ということで、すでに定番化している。
緑がかったバンズはほうれん草ピューレを練り込んだもの。2種のソース(動物性食材不使用のテリヤキソースと、卵を使わず枝豆使用のグリーンマヨソース)もヘルシー志向。モスらしいたっぷりのソースはそのままだが、他のモス製品と比べると、後味はさっぱりしている。340kcalとカロリー的にもヘルシー。
ロッテリアは2019年5月にオリジナルの大豆肉パティのハンバーガーをメニュー化している。
「ソイ野菜ハンバーガー」(430円)は、あっさりめの味つけで、パティは弾力ある噛みごたえ。パティだけでなく、ソースはカロリー50%カット、ノンコレステロールのマヨドレッシングとケチャップを使用し、約260kcalのヘルシー設計だ。ふっくら膨らませて粒状に仕上げた大豆を使用することで、食感を肉に近づけているという。
定番のビーフパティを大豆肉で変更して食べる時代
フレッシュネスバーガーは、2020年に日本の大豆肉メーカーDAIZ社の発芽大豆由来「ミラクルミート」使用のSOYパティをはさんだ「THE GOOD BURGER」を発売した。今年3月から、レギュラー製品のビーフパティバーガー5種を、無料でSOYパティに変更できるサービスを始めた。
「レギュラーメニューであるフレッシュネスバーガーやチーズバーガーに、SOYパティを合わせたいというユーザーからの声」(フレッシュネス広報)に応えたものだ。
フラッグシップ「フレッシュネスバーガー」もSOYパティを選べるようになった。大豆由来のパティにココナッツオイルを配合し、大豆独特の香りを少なくし、肉に近い食感、食べごたえを追求。
世界的バーガーチェーンのバーガーキングは、アメリカで2019年8月から植物性パティを使ったハンバーガー「Impossible Whopper」(インポシブルワッパー)を発売。名前から明らかなように、アメリカの代替肉ベンチャーImpossible Foods社の植物性パティを使用している。日本では2020年12月に「Plant-Based Whopper」(プラントベースワッパー)を発売、翌年3月から定番化している。こちらはImpossible Foods社の植物パティではなく、オーストラリアを拠点とする植物肉メーカーv2food社の植物性パティを使用している。「日本で約2年間の試行錯誤を重ねた結果」(バーガーキング広報)だという。
「プラントベースワッパー」(540円)は、バーガーキングらしい直焼きの焼き目がついた植物性パティ。直径15センチほどのボリューム。トマト、レタス、オニオンがからみ、かつ、ソースが濃すぎず、スモーキーな香りと、いい意味で植物性ミートの味が活かされている。
以上、おなじみのファストフードチェーンの植物性パティのバーガーを食してみたところ、2020年時より大豆肉特有の味や、つくねのような食感は改良されているように感じた。
いずれのファストフード店も、代替肉メニューの導入の理由には、牛などの畜産が環境に及ぼす負荷、世界的な食糧不足のリスク軽減をあげている。そうした世界規模の問題への取り組みに加え、高まるヘルシー志向に応える。これをファストフードの代表格であり、高カロリーは当たり前と思われていたハンバーガーが追求しているのがおもしろい。次回は代替肉を使ったグルメバーガーも食べ比べてみよう。
→グルメ店で欠かせないメニューに? 代替肉バーガー食べ比べ<2>
取材・文/佐藤恵菜