LTE回線と組み合わせてリモートワークに使いたいソフトバンク「Lenovo 300e Chromebook Gen3」の実用性
2022.05.20Windows、Macに次ぐパソコン向けOSとして登場した「Chrome OS」を搭載したノートパソコンシリーズ「Chromebook」。児童生徒向けに1人1台のパソコン端末と、高速大容量の通信ネットワークを整備する「GIGAスクール」によって、一気にシェアを拡大しています。
Chromebookは、ほぼすべてのデータをクラウドで管理し、作業はブラウザ上で行うという性質上、端末スペックに大きく依存しない操作性が特徴。これに伴い、一般的なWindows PC、Macシリーズよりも安価に購入できるので、ビジネス用のサブ端末や、プライベート用のPCとして購入を検討している人もいるでしょう。
実は、2022年4月22日には、国内の通信事業者としては独占で、ソフトバンクから「Lenovo 300e Chromebook Gen3」という製品が発売されています。
ソフトバンクから発売されていることからもわかる通り、本製品はLTE通信に対応。SIMカードを挿入すれば、Wi-Fi環境を気にせずに、手軽に屋外でデータ通信を行えるのが魅力となっています。
筆者は、普段から仕事のサブ端末兼プライベート用にChromebookを使用していますが、LTE通信に対応していないモデルのため、使用用途に制限があるのも事実。そこで本記事では、ソフトバンク版のLenovo 300e Chromebook Gen3を実際に1か月ほど試して分かった利便性を、Chromebookの特徴と共に紹介していきます。
データ通信が出来てこそ真価を発揮するChromebook
冒頭でも紹介した通り、Chromebookはデータをクラウドで管理し、ブラウザ上で作業を行うことに特化した製品。もう少しかみ砕いて紹介すると、Googleドライブといったクラウドサービスにてデータを保存し、Chromeなどのブラウザアプリを使って、GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントを動かせるデバイスです。
Googleドライブへファイルをアップロードしたり、Googleスプレッドシートの同期を行う際には、インターネット環境が必要になります。PC上で一度作業を行い、後ほどインターネットに接続した際にデータを更新するといった使い方も可能ですが、簡単にデータの同期を行えるGoogle系サービスの利点を若干損なう使い方ともいえるでしょう。
このことからもわかるように、Chromebookの使い勝手はインターネット環境が大きく左右します。Chromebookは、Wi-Fi環境のある自宅での使用がメインという人であれば、大きな問題ではありませんが、屋外に持ち出して使いたいという人は、スマートフォン回線でテザリングをしたり、Wi-Fi環境が整っている場所を探す必要があります。
筆者も、普段愛用しているChromebookを屋外で使う場合には、スマートフォンでテザリングをして利用していますが、いちいちスマートフォンを操作してからPCの作業を行うのはやや不便。また、スマートフォンのバッテリーを消耗するのも気になります。
あらかじめLTE通信に対応していれば、これらの問題はすぐに解決できます。ソフトバンクからLenovo 300e Chromebook Gen3が発売されているのも、理にかなっているといえるでしょう。
スペックに依存しないスムーズな動作性が魅力
ここからは、具体的にLenovo 300e Chromebook Gen3の操作性、使用感を紹介していきましょう。
本製品は、CPUにAMD 3015Ceを採用し、メモリ4GB・ストレージ32GBという構成。外部メモリは最大2TBに対応しているものの、Windows PCに置き換えて考えると、パワー不足にも感じますが、実際に使用した感想としては、“これで十分”です。
繰り返しになりますが、Chromebookはスペックに依存しない操作のスピーディーさが魅力になっており、本製品も起動やアプリの操作はかなり高速。データ通信の速度は環境によって変わるので明言できませんが、個人的にストレスを感じるシーンはありませんでした。
PCライクに、2つ以上のアプリを同時に起動したり、多数のブラウザを表示していても、動作が不安定になるシーンは見られません。ディスプレイはタッチ操作に対応しているので、マウスがないシーンでも、直感的に操作できるのが魅力です。
また、Google Playストアからアプリをインストールできるのも、Chromebookの特徴。Androidスマートフォンで利用しているアプリとほぼ同じものが、Chromebookでも利用できます(一部アプリは非対応)。
ビジネスシーンで考えると、GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントではなく、Officeソフトを使用したいという人も多いはず。その場合は、アプリ版のExcel・Wordを使用するか、クラウドで利用できる「Microsoft 365」といったサービスが利用できます。
ただし、アプリ版のExcel・WordといったOfficeソフトは、PC版から一部機能を制限されており、普段の使用感とは違う部分も見られます。簡単な表計算や文書作成であれば問題ないので、自身の用途を鑑みて、どのアプリを使うのかを検討すると良いでしょう。
Windows PC、Macシリーズと大きく違う特徴として、Chromebookでは、アプリやフォルダなどを、デスクトップ上に配置できないというものがあります。ダウンロードしたデータは、「フォルダ」アプリから閲覧し、Googleドライブにて保存するといった使い方がメインになるので、写真データを一度デスクトップに置いておく、といった使い方ができない点には注意しましょう。
動作が軽く、比較的安価なのが特徴のChromebookですが、セキュリティ性能も強みの1つ。Chromebookでは、個々のウェブページやアプリが、「サンドボックス」と呼ばれる環境で動作しており、仮に1つのページでウイルスに感染したとしても、他のアプリやタブに影響することなく、情報を保護してくれます。
コンパクトでかわいいデザインと豊富なインターフェース
Lenovo 300e Chromebook Gen3のディスプレイサイズは約11.6インチで、解像度は1366×768。本体サイズは約289×202×19.9mm、質量約1.34㎏となっており、ディスプレイサイズを考えると、やや分厚く、ずっしりとした重みを感じます。
天板は、右上にChromebook、左上のLenovoのロゴがある以外は装飾がなく、すっきりとした印象。縁の部分を大理石で囲ったようなデザインがアクセントになっています。
バッテリー駆動時間は約10.8時間で、一日屋外に持ち出して使用しても、電池切れの心配はほぼありません。
インターフェースは左側面にUSB Type-C、USB Type-A、イヤホンジャック、SDカードスロット、右側面にHDMI、USB Type-Aを搭載。Chromebookの一般的な用途を考えれば、かなり豊富といえる拡張性です。また、本体右側面には、電源ボタンと音量調節ボタンも搭載されています。
インカメラは、ディスプレイ上部にHD 720pのシングルレンズを搭載しており、物理的なシャッターが備えられているので、セキュリティ面も安心でしょう。一見不思議なのが、キーボード側にも約500万画素のカメラが搭載されている点。本製品は、ディスプレイを回転させ、タブレットのようにも使える、2in1タイプになっているので、タブレットモードで使用する際にも、外側の写真が撮れるように配慮されているのでしょう。
キーボードはフルサイズのJIS配列なので、入力は一般的なWindows PCとほぼそん色なく行えます。ただし、WindowsキーやFinキーは搭載されていないので、一部ショートカットの使用には慣れが必要になります。
ソフトバンクではPCの使い方に合わせた料金プランも用意
Lenovo 300e Chromebook Gen3では、LTE通信が行えるため、屋外での作業も便利と紹介しましたが、単体でLTE通信をするためには、当然回線の契約が必要。ソフトバンクでは、使い方に合わせたPC・タブレット用の料金プランも用意されています。
「データ通信専用3GBプラン」は、基本料金1408円/月で3GBまでのデータ通信が利用できる料金プラン。「5年おトク割」を適用すれば、5年もの間、基本料金から毎月418円が割引されます。また、契約した翌月から3か月間は、「3か月基本料無料特典」が適用でき、0円/月での運用も可能です。
加えて、1時間110円から、「時間制ギガ無制限オプション」を利用できます。基本料金が安く、オプションを購入することで一時的に使い放題になる、おトクな料金プランです。
スマートフォンを、ソフトバンクの使い放題プランで契約しているのであれば、データ通信量をシェアできる「データシェアプラン」もおすすめ。こちらは1078円/月で利用できます。
Lenovo 300e Chromebook Gen3のみで大容量のデータ通信が欲しいという人は、5280円/月で50GBの利用が可能な「データ通信専用50GBプラン」が適しているかもしれません。Chromebookの使い方に合わせ、契約する料金プランを検討してみると良いでしょう。
取材・文/佐藤文彦