シャープは、2022年5月9日に、ハイエンドスマートフォンシリーズの最新モデル「AQUOS R7」を発表。ドコモとソフトバンクの2キャリアで取り扱うことが発表されており、発売は2022年7月以降を予定しています。
AQUOS Rシリーズといえば、2021年に発売された前モデル「AQUOS R6」にて、ドイツの老舗カメラブランドである「ライカカメラ社」と協業した、1インチセンサー搭載のカメラや、省電力性に優れた「Pro IGZO OLED」ディスプレイで注目を集めており、今回登場したAQUOS R7では、これらの特徴を踏襲しながら、より使い勝手が向上しています。
本記事では、AQUOS R7の進化したカメラや、刷新されたデザインなどを、実機の写真と共に紹介していきます。
新開発1インチセンサー搭載でシャッタースピード&AFスピードが大幅強化
AQUOS R7最大の注目ポイントは、やはりカメラ性能でしょう。前モデルのAQUOS R6と同様に、単眼の1インチセンサーを採用していますが、この1インチセンサーは新開発となっており、ピクセルサイズを3.2umに大型化。集光率が前モデル比で約1.8倍向上しています。画素数は約2020万画素から、約4720万画素にアップしました。
また、AQUOS R6ではToFを使ったレーザーAF(オートフォーカス)に対応していましたが、太陽光などの影響を受けてしまうこともあり、ピントがうまく合わないシーンが見られます。
一方、AQUOS R7では、1つの画素に8つの像面位相差センサーが付いている「Octa PD AF」に対応し、前モデル比でAFスピードが約2倍に向上。加えて、処理速度が1.5倍に向上したAI処理によって、人の顔や瞳を検出し、簡単かつ高速でピントが合うようになったため、ポートレート撮影の精度も向上しています。
発表会会場では、実際に人形を使ってAFスピードの速さを実演。体感としては、顔が出た瞬間に瞳を検出し、ピントを合わせられている印象で、動き回る子供やペットの撮影にも、十分活躍できる仕上がりでしょう。
また、AQUOS R7のレンズは、7枚のレンズを重ねた「ズミクロンレンズ」というもので、低反射処理を施すことで、AQUOS R6よりも約60%反射率を低減しています。
個人的に気に入っているのが、カメラアプリのUI(ユーザーインターフェース)も大きく刷新した点。シャッタースピードが高速化したほか、ズーム率の変更やマニュアル撮影時の調節がスムーズに行えるようにデザインされています。
今回試した実機は、カメラの最終調節中とのことで、実際に写真を撮影することが出来ませんでした。作例については、調節後に改めて別の記事で紹介する予定なので、続報をお待ちいただければと思います。
フラットディスプレイと握りやすいボディデザインを採用
ディスプレイは6.6インチの大画面で、AQUOS R6と同様に「Pro IGZO OLED」を採用しています。リフレッシュレートは、毎秒120回の表示更新に連動して、間に黒幕を入れることで、疑似的に240Hzの駆動が体感可能。画面が静止した状態では、1Hzまでリフレッシュレートを下げることで、省電力性の向上にも一役買います。
ピーク輝度は2000ニトとかなり明るく、2000万:1のコントラスト比に対応しているので、明るく鮮やかな映像を、滑らかに再生できます。ディスプレイ機能としては、粗い動画を精細に補正する「AI超解像」や、より滑らかな映像に補間する「フレーム補間」といった機能を搭載。特にフレーム補間は、目に見えて滑らかさが変わるほどの精度になっているので、ぜひ試してほしい機能です。こちらは、YouTubeといった一部動画コンテンツや、自身で撮影した動画にて利用できます。
最大輝度1000ニトのAQUOS R5G(左)と最大輝度2000ニトのAQUOS R7(右)の比較
ディスプレイで注目なのが、AQUOS R6で採用されたエッジディスプレイから、フラットディスプレイに刷新された点。エッジディスプレイは、画面の端までコンテンツを表示できるため、迫力が出やすいといった特徴があるものの、誤タップの原因になることもあるため、今回はより扱いやすい平面のディスプレイが採用されました。
どちらのディスプレイが良いかは好みの分かれる部分ですが、AQUOS R6ではソフトウエアアップデートを重ね、湾曲部分のコントロールをどんどん改善しているので、ここでフラットディスプレイに回帰するのは意外に感じています。とはいえ、わかりやすく扱いやすいデザインであることは間違いないので、好印象のユーザーも多いのではないでしょうか。
また、画面内には、AQUOS R6と同様に3D超音波式の指紋認証センサーを内蔵。高速で指紋を読み取ることができ、使い勝手に優れたセンサーなので、しっかりと踏襲されているのは嬉しいポイントです。
ボディはガラス調の独特な素材を採用。大理石のようなつややかな触り心地で、指紋も付きにくい仕上がりです。また、背面の両サイドがわずかにカーブしたデザインになっているので、大型ディスプレイを搭載したスマートフォンながら、握り心地も良好でした。また、本体の前面・背面共に、強度に優れた、「ゴリラガラス Victus」が採用されています。
側面はアルミフレームになっており、高級感も抜群。右側面に音量調節ボタンと電源ボタンを搭載しており、Googleアシスタントキーは廃止されています。また、本体はIP68の防水防塵に対応しています。
文句なしのハイスペックを搭載! ワイヤレス充電やeSIMにも対応
搭載CPUは、現行のハイエンドチップセットである「Snapdragon 8 Gen 1」を採用。メモリ12GB・ストレージ256GBの大容量で、バッテリーは5000mAhと、文句なしのハイエンド仕様です。
AQUOS R6からの進化点として、ワイヤレス充電に対応しました。近年は、ハイエンドスマートフォンだけでなく、ミドルレンジスマートフォンでも対応機種が増えてきている、メジャーな機能なので、しっかりと対応したのは、使い勝手を向上させるポイントでしょう。
少しマニアックな話ですが、5Gでより高速の通信が可能となる「ミリ波」に、AQUOSシリーズ初の対応。また、スマートフォン内にあらかじめ埋め込まれた、本体一体型のSIMである「eSIM」にも対応しています。
前モデルの弱点をストロングポイントに変えたAQUOS R7
初の1インチセンサー搭載スマートフォンとなったAQUOS R6では、高精細の写真が撮影できる特徴と引き換えに、シャッターラグやAF速度が弱点ともいわれていましたが、紹介してきた通り、AQUOS R7では、センサーの新開発やOcta PD AFへの対応といったアプローチで、これらを強みへと昇華しています。
高級感のある背面デザインや、扱いやすいフラットディスプレイなど、使い勝手も向上させながら、所有欲を満たす仕上がりが魅力。ハイエンドスマートフォンにふさわしいスペックになっています。
冒頭でも触れた通り、AQUOS R7はドコモ・ソフトバンクの2キャリアで発売予定。執筆時点(2022年5月中旬)では、価格は未定となっています。
取材・文/佐藤文彦