打倒アップルを掲げてハイエンドで勝負するXiaomiの完全ワイヤレスイヤホン「XiBuds 3T Pro」
2022.05.22シャオミ(Xiaomi)といえば、Androidスマートフォンをはじめ、コスパに優れたデジタルデバイスを多く展開するメーカー。2019年12月に日本市場に参入し、圧倒的なコスパを武器に、急速に知名度を伸ばしています。
低価格路線のイメージが強いシャオミですが、最新の技術を盛り込んだ上位モデルのスマートフォンやイヤホン、スマートウォッチも販売しています。今回紹介するのは、Amazonや楽天市場、各家電量販店に加え、シャオミ公式オンラインショップ「mi.com」にて取り扱われている「Xiaomi Buds 3T Pro」。販売価格は2万3800円となっています。
2万円台前半の完全ワイヤレスイヤホンとなると、決して安いとはいえない価格帯でしょう。実際、シャオミには4666円で販売されている「Redmi Buds 3」といった、安価なオーディオ製品もあるため、約2万円の差に、どれだけの進化・特徴があるのかが気になるところです。
また、本製品は、スマートフォンメーカーから販売される完全ワイヤレスイヤホンの代表格「AirPods Pro」と同じく、ノイズキャンセリング機能を搭載したスティック型を採用しながら、販売価格はAirPods Proより1万円ほど安くなっています。価格以外の性能において、どのように差別化を図っているのかも注目ポイントでしょう。
では、Xiaomi Buds 3T Proを実際に試しながら、音質や装着感、機能について紹介していきましょう。
デザイン・装着感
Xiaomi Buds 3T Proは、耳に装着する筒の部分に棒状のパーツを備えた、スティック型の完全ワイヤレスイヤホン。パッと見た印象は、AirPods Proにかなり近くなっています。
スティック部分は、つまむ動作で音楽の再生・一時停止といった操作が行えるセンサーが内蔵されています。ちょっと触るだけでは反応せず、しっかりとつまむ必要があるため、髪の毛に触れて誤作動してしまうといった心配がないのがうれしいポイントです。また、音楽再生中にイヤホンを外すと自動的に一時停止になる、装着検知機能も搭載されています。
耳にはめる筒状の部分は、比較的ふくらみが大きく設計されているので、耳の穴をすっぽりと覆い、カナル型らしい密閉感が味わえます。筆者の場合は、少し圧迫感が強く感じたので、同梱されている3サイズのイヤーピースから、一番小さいものに付け替えて使用しています。
充電ケースは楕円形で、薄型なのが特徴。ポケットに入れて持ち運ぶ際にも、必要以上に膨らまないので快適です。
今回使用した「グロスホワイト」は、滑らかな手触りが特徴の、つやつやとした質感ですが、「カーボンブラック」はマットなフロスト加工になっているようです。
バッテリーはイヤホン単体で最長6時間、充電ケース併用で最長24時間となっており、充電ケースはQi規格のワイヤレス充電にも対応しています。
また、イヤホン本体は、IP55の防塵防水に対応しているので、ワークアウト中の着用でも、汗や雨で故障する心配はほぼないでしょう。
音質
音質としては、メリハリのある低音域に注力している印象で、ズンズンと迫力のある音楽が楽しめます。バンドミュージックを聴く際には、パキっとしたドラムとベースの響きが印象的でした。
また、ボーカルも厚みを持って再生できているので、歌詞もしっかり耳に残ります。中・高音域は、やや控えめながらも明瞭な輪郭を持って耳に届くので、低音重視ながら全体的なバランスが損なわれていないのもポイントでしょう。
各楽器がどの位置で鳴っているのかがはっきりとわかるため、立体的な音楽が再生できるのも特徴の1つ。オーケストラのように、複数の楽器から音が出る音楽でも、違和感なく楽しめました。
本製品の大きな特徴に、高音質・低遅延が特徴の「LHDC 4.0」というBluetoothコーデックに対応している点が挙げられます。ただし執筆時点(2022年4月中旬)では、再生デバイス(スマートフォンなど)側でこのコーデックに対応している製品が少なく、残念ながら実際に試す機会が少ないのも事実。この先、再生デバイスの多くがLHDC 4.0に対応すれば、Xiaomi Buds 3T Proの真価が発揮されていくでしょう。
ANC(アクティブノイズキャンセリング)
ハイエンド完全ワイヤレスイヤホンの標準機能にもなりつつあるANC機能。本製品は最大40dBのノイズが除去できるようになっており、ANCをオンにしておけば、装着した瞬間から周囲の雑音がカットされていることがわかるレベルになっています。
また、スティック部分を長めにつまむことで、外音取り込みモードへの切り替えができるのも大切なポイント。外を歩いている時や、会計時には、周囲の音が聞こえたほうが安全で便利なので、ANCモードから簡単に切り替えられるのがありがたかったです。
また、シャオミのスマートフォンなど、一部の製品と接続する場合には、ANCの強さを3段階に調節可能。シャオミのスマートフォンであれば、初めてペアリングする際にポップアップが表示され、ワンタップで接続できるなど、自社製品同士の連携力も、特筆すべきポイントでしょう。
なお、シャオミのイヤホンと接続することで、ANCレベルの調節や外音取り込みモードとの切り替えができる「Mi Buds M8」アプリは、執筆時点ではXiaomi Buds 3T Proに対応していません。
そのため、シャオミのスマートフォン以外の製品とペアリングする場合は、操作はすべてイヤホン本体から行うことになります。アプリへの対応は、アップデートに期待したいところです。
アップデート次第では超コスパ製品にもなり得るXiaomi Buds 3T Pro
密閉感が高く安定した装着感が得られる本体デザインや、しっかりと周囲の雑音を除去するANC機能の搭載、低音重視の迫力のある音質が特徴のXiaomi Buds 3T Pro。今後、LHDC 4.0に対応したデバイスが増えたり、Mi Buds M8アプリへ対応すれば、もう1グレードが上の体験ができる製品に化ける期待感もあります。
また、シャオミスマートフォンとの連携力などを見ると、iPhoneとAirPodsシリーズを彷彿させる快適さになっています。今後シャオミがどのようにアップデートをしていき、“格安”だけでないブランドイメージを確立していくのかに注目です。
取材・文/佐藤文彦