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「Gパン」と「デニム」の違いとは?ヴィンテージデニムのプロに学ぶデニムの基本

2022.05.22

原宿のヴィンテージショップ「ベルベルジン」でディレクターを務めている藤原裕氏は、これまでヴィンテージものを中心に何万本ものデニムに接してきた。

その経験を活かしてYouTubeで「ヴィンテージデニムCH」を配信したり、国内だけでなく海外ブランドのデニムアイテムの素材選びや、デザインの提言などを行っている。デニム産業全般にわたって大活躍中だが、その目的はひとつ、「多くの人にデニムの魅力を伝えたい」からだと言う。

そんな藤原先生に、4刷目の重版が決定し大好調な一冊『教養としてのデニム』について特別に教えていただいた。まずはデニムの呼び方である、「Gパン」と「デニム」「ジーンズ」の違いはどこにあるのだろう。

デニムの基本知識「Gパン」は日本が生んだ呼称

藤原先生 「デニム」と「ジーンズ」あるいは「Gパン」と呼び方がありますね。それぞれを解説すると、「デニム」というのはもともと生地の名称で、フランス語の「serge de nimes(セルジュドニームス)」、ニーム産の綾織物、から来ているというのが一般的です。布のことを意味するので、パンツだけでなく、ジャケットや女性のスカートやワンピースも、デニムのスカートやデニムのワンピースなどと呼ぶことがあります。

一方、「ジーンズ」ですが、19世紀後半、アメリカでは屈強な綿織布で作られた労働着を総称してジーンズと呼んでいました。後で歴史のところでも触れますが、金鉱労働者のためにタフで敗れない頑丈な労働着が求められていました。こうした労働を行っている人々が好んで履いたのがジーンズです。

「Gパン」という呼び名は、日本に終戦後、来日した米軍兵士・Government issue(ガバメントイシュー)が履いていた「GIPant」(ジーアイパンツ)からきています。よく、Jean Pant(ジーンパンツ)のスペルを間違えてGパンになったという話が広まっていますが、間違いです。

――Gパンは日本が生んだ言葉だったのですね!では藤原さんが買い付けで海外に行った先ではGパンでは通じませんか?

藤原先生 「Gパン」「Gジャン」は日本独自の呼び名で、よほど日本のヴィンテージデニム文化に精通した相手でない限り、残念ながら海外では伝わりません。海外では、「ジーンズ」「デニムパンツ」「デニムジャケット」が一般的ですね。

――最近は若い人の間では、Gパンやジーンズではなくデニムと呼ぶ人が多いようですが、いつ頃からデニムという言い方に変わったのでしょうか?

藤原先生 「デニム」という言葉が日本でよく使われるようになったのは、いわゆる第1次ヴィンテージブームの1995~98年頃です。当時『Boon』などの人気ファッション誌で頻繁にデニム特集が組まれ、「Gジャン」「Gパン」を上下そろえて着用することを「デニムのセットアップ」と紹介されるようになります。

前述したように、海外では「デニムパンツ」「デニムジャケット」の呼称が一般的ですので、海外通販がこれだけ浸透した現在は、日本人でも「デニム」と呼ぶ方のほうが増えました。

デニムの由来はゴールドラッシュにあり

藤原先生 続いてデニムの歴史ですが、みなさんご存じの通り、1850年頃にアメリカの金鉱労働者の作業着がルーツです。カリフォルニアで金の採掘ブームが起き、ゴールドラッシュと呼ばれ、一獲千金を狙う採掘労働者が西海岸に殺到します。

過酷な労働条件の下で、長時間の作業に耐えられる服が求められました。頑丈で岩や尖った石から身を守ってくれる強い服。寒くても体温を逃さず、同時に汗をかいても蒸れない服が必要だったのです。

ドイツからサンフランシスコへ移民してきたリーバイ・ストラウス(Levi Strauss)氏はこうした労働者のためにタフな素材を使ったパンツを作成し、1853年に販売しました。発売当初はブラウンダック地とデニム地の2種類があり、インディゴ染めが施されました。

リーバイ・ストラウス氏が創業したリーバイス社と取引を行っていたヤコブ・デイビス氏は、ワークパンツの欠点だったポケットのほつれやすさを防ぐために、リベットを打ち付けて補強する技術を開発し、リーバイス社に持ち込み、会社と共同で特許を申請します。

1973年、リベットを使ったデニムの特許が下り、サンフランシスコでデニムが誕生しました。この時にアーキュエイト・ステッチと呼ばれるカモメ型のカーブのステッチも採用されています。

ヴィンテージデニムアドバイザー藤原 裕 CH
極上!1937's 501xx バックルバック】より
ヴィンテージデニム糊づけ】より

トレードマークとなったツーホースマーク

藤原先生 さらにその後、リーバイスのパンツは二頭の馬が引っ張っても破れない強靭さをもつという意味の「ツーホースマーク」が後ろのベルト通し部分に入るようになります。正確にいつからマークを入れるようになったのかは所説あります。リーバイスのトレードマークだったポケットのリベットの特許が1890年に切れることから、同じようなリベット付きのデニムが出回ることになり、リーバイスの特徴を打ち出すためにツーホースマークがつけられたのではないかと考えられています。

また、デニムを必要とする労働者の中には英語が読めない人も多く、一目見ただけでリーバイスの製品であることがわかるツーホースマークが求められたのではないか、とも言われています。

ヴィンテージデニムアドバイザー藤原 裕 CH【 リーバイス501XX 革パッチ leather patch 】より

藤原先生 ツーホースマークのパッチ自体は1800年代に誕生しました。当時は労働者の作業着としての需要が高かったので、2頭の馬が両方向から引っ張っても破れないくらい頑丈だぞというタフさを象徴するイラストでした。

リーバイスが馬をモチーフにしたことで、ワークブランドでは動物が両方向から引っ張って破れないことを証明する手法は当時の表現のトレンドでした。例えば、「THE BOSS」というブランドの場合は象が引っ張ります。他にも、2匹の豚だったり、屈強な男たちが綱引きするように引っ張り合うものだったりジョークのように、ある種ネタ化していて、そういったところもデニムのディテールの面白さであると私は思います。

さらにデニムはなぜ青いのか、その理由は蛇除けのためだったという言い伝えがあります。天然インディゴには、炭鉱に頻出するガラガラ蛇が嫌がるピレスロイドという成分が含まれている、という説です。染色技術の進化と薬事的な観点でも改良されていますので、現在のインディゴブルーにピレスロイドは含まないとされます。

カリフォルニアキングスネーク

――毒蛇がいなければ、労働者階級のことがブルーカラーと呼ばれることもなかったと思うと感慨深いです。最初に発売された時はデニムだけでなくブラウンダック地というのがあったそうですが、これはどういった生地ですか?

藤原先生 ブラウンダックはキャンバス地のような織りで、デニムよりも先に誕生したと言われています。デニムの綾はブラウンダック地と織り方が異なり、さらにインディゴに染めるので生地としての違いがあります。デニム特有の美しい色落ちが我々を惹きつけてやまない理由は、生地特有の頑丈な織り方によるものなのです。

歴史的作品でもある「501」の誕生

藤原先生 そして1890年は、デニムの記念すべき年となります。デニムの商品ロット番号がつけられた「501」が誕生します。現在でも根強い人気を誇るリーバイスの501が、今から130年以上も前に登場し、さらに進化し続けていることに感動を覚えます。

ちなみにこの時代はベルトループがありません。サスペンダーボタンとシンチバックが取り付けられており、ヒップポケットも一つだけなので、今のデザインとはかなり異なります。

――501は何か特別な魅力がありますね。

藤原先生 1890年頃に501が誕生します。その後、201や401など頭の数字が異なるロット番号のモデルも多数あり、実はなぜ最初が5から始まったのかは現在も謎のままです。

語呂が良かったのかもしれませんし、リーバイ・ストラウスかヤコブ・ジェイブスのラッキーナンバーだったのかもしれませんが、古代文明発掘のようにミステリーが残ることで好奇心をくるぐられます。現代人にとって、501は耳に聞き慣れていますし、私の場合は自分の車のナンバープレートも501にするくらい究極の数字です。501の魅力、それは原点であり頂点であり続けることに他なりません。

ヴィンテージデニムアドバイザー藤原 裕 CH【極上!1937's 501xx バックルバック】より

上の写真はシンチバック付きの501です。興味のある方は、店頭におりますので、よかったら遊びにきてください。

BerBerJin(住)東京都渋谷区神宮前3-26-11 03-3401-4666
https://www.instagram.com/berberjin_harajuku/

――デニムの歴史はリーバイスとともにありました。知って身に付けるとより愛着の湧くデニム。次回はデニムハンターと呼ばれる人々について教えていただきます。

藤原 裕(ふじはら・ゆたか)
1977年、高知県生まれ。原宿の老舗古着屋「BerBerJin(ベルベルジン)」ディレクター。別の名を「デニムに人生を捧げる男」。店頭に立ちながらも、ヴィンテージデニムアドバイザーとして人気ブランドの商品プロデュースやセレブリティのスタイリング、YouTubeチャンネルの配信、ファッションメディアでの連載など、多岐にわたりデニム産業全般に携わる。コアなマニアからの信頼も厚い、近年ヴィンテージブームの立役者。
https://youtube.com/c/v-d-a-f-501xx
https://www.instagram.com/yuttan1977/
教養としてのデニム 日本人が見出したヴィンテージの価値
服が売れない時代に、なぜヴィンテージデニムが1千万円で取引されるのか?
〝デニムに人生を捧げる男〟が起源から未来予測まで解説する新しい入門書。

文/柿川鮎子

編集/inox. 

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