人間関係の中で話が通じない人がいるとストレスが溜まり、疲れるものです。話が通じない人の特徴や、その理由を解説します。話が通じない人への対処法と話し方のコツを理解しつつ、自分の伝え方にも問題がないか、振り返ってみましょう。
話が通じない人の特徴
自分が話していても話の腰を折られてしまい、会話が成立しない人は、残念ながらどこにでも存在します。話が通じない人には、どんな特徴があるのでしょうか。
人の話を聞かない
自分のことばかり話したがるタイプは、人の話を聞きません。他の人が話をしていても、自分の話にすり替えてしまいます。
話し手は最後まで話をさせてもらえず、会話が成立しません。そのため、「この人、話が通じないな」と感じるのです。
人の話を聞かない人は、自分のことだけ考えています。他人に興味がないため、会話が成立していないことや、「話が通じない人だな」と思われていることに気が付かないのです。
思い込みが激しい
話が通じない人は、人の意見やアドバイスに耳を傾けません。自分の考えを曲げたくないと思っているためです。
例えば、「そのやり方より、こっちのやり方のほうが効率がいいよ」と言われても、「私はこれがやりやすいから」と試すこともなく突っぱねます。「この服、あなたに似合いそうだよ。試着してみたら?」とすすめられても、「私はそういうの着たことないし、絶対似合わないから無理」と受け入れません。
話が通じない人は、自分の考えと違う意見を人から言われると、頭ごなしに否定します。思い込みが激しいため、周囲から何を言われても響かないのです。
プライドが高い
自分は優れていると考え、負けず嫌いなプライドが高い人は、話が通じない傾向があります。自分より下に見ている人の意見を受け入れてしまうと、負けた気分になるためです。
プライドが高い人は、ミスを指摘されると逆ギレすることがあります。そのため、「間違ってるのはあの人なのに…話が通じないな」と周りに思われるのです。
また、プライドが高い人には冗談が通じません。冗談を言われるとムキになって否定したり、話の腰を折ったりして会話を終了させます。会話が成立しないため、ますます周りの人に敬遠されてしまうのです。
話が通じない理由とは?
一見すると話を聞いてくれているようですが、実は話が通じていないタイプの人もいます。その理由を見ていきましょう。
理解力が低い
自分がどれだけ一生懸命説明しても、聞き手の理解力が低い場合は話が通じません。そういう人は「大丈夫?わかった?」と確認すると、理解していなくても「わかったよ」と返事をします。
内容が難しかったり、真剣に話を聞いていなかったりと、理解できない理由はさまざまです。
理解力が低い人は、説明された内容について興味がない場合、理解できたフリをして話を終わらせようとします。理解できないことは、覚えておくことができません。そのため、説明したにもかかわらず、いつまでも話が通じないのです。
知識や語彙が足りていない
会話の途中で「それってどういうこと?」や「え?何それ?」など、わからないことに対する質問を挟んでくる人も、話が通じません。一般的な常識や礼儀、時事ネタなどの知識が薄いため、話の腰を折ってしまうのです。
語彙力も足りていないため、自分の知らない単語が出ると、「どういう意味?」と会話を中断させてしまいます。会話のテンポを崩して話の腰を折るため、周りには『話が通じない人』と思われるのです。
一般的な知識や語彙を知っていないと、話の内容が頭に入ってきません。疑問点ばかりで話の中身がわからないままなので、会話は見ているだけの状態になってしまいます。
最後まで話を聞いていない
話を最後まで聞かない人を相手にすると、会話をしようと思っていたはずが、いつの間にか相手の話を延々と聞かされる羽目になります。相手が最後まで話を聞かない理由は、大きく分けて二つあります。
まず一つ目は、自分のことばかり話したがるためです。自分の話にすり替えるために、人の話を最後まで聞かず、相手の話の腰を折って話し始めます。
二つ目は、話の途中で相手の伝えたいことを理解した気になるためです。相手が話し始めると、「こういうことでしょ?」と結論づけ、話を終わらせてしまいます。
話が通じない人への対処法
ストレスが溜まって疲れるからといって、話が通じない人を避けるわけにはいきません。相手別の対処法を見ていきましょう。
職場の上司の場合
指示を受けたり質問の回答をもらったりする場合、話が通じない上司が相手では、イライラやストレスが溜まるものです。上司への対処法のコツは、言い回しにあります。
上司が何を言っているのかわからない場合は、同じ言葉を繰り返しつつ、先を促すと効果的です。「〇〇ということだよ」と言われた場合、「○○、とおっしゃいますと?」や「○○、ですか」と返しましょう。こちらが話を聞いていることをアピールできる上に、上司が次の説明に移りやすくなります。
逆に、話が通じない上司に対して『しかし』や『でも』など否定的な言い回しをすると、上司は気分を害します。コミュニケーションが取りづらくなり、お互い嫌な気分になるでしょう。いったん「はい」と受け入れてから自分の意見を述べるようにすると、角が立ちません。
同僚や友人の場合
話が通じない相手が同僚や友人で、仕事や業務と無関係の内容は、『スルー』で対処しましょう。
自分が話しているときに相手の話にすり替えられ、言いたいことが中断されてしまった場合は、肯定的な相づちを打って相手の話が終わるのを待ちます。ここで自分の話に戻そうとしたり、否定的な意見を述べたりしてしまうと、話が長引いて余計ストレスが溜まるためです。
「それってどういう意味?」と話の腰を折られた場合は、聞かれた意味について説明し、適当に会話を終わらせます。
どちらの場合も、自分の精神状態が良好なときは、また話を戻してもよいでしょう。しかし、疲れたり弱ったりしている状況で、話が通じない相手との会話を続けると、余計にイライラしてしまいます。自分が疲れないためにも、相手との関係を壊さないためにも、スルーすることを覚えましょう。
話が通じないタイプと話す時のコツ
話が通じない相手でも、工夫すれば言いたいことを伝えることができます。コツを掴んで、スムーズに話を進めましょう。
最初に話のテーマを共有する
話が通じないと感じる理由の一つは、お互いの話がかみ合わないためです。最初に会話のテーマを共有することで、何のための会話を始めるのかが分かりやすくなり、論点がずれることを防げます。その後、具体的な会話内容に入っていきます。
ダイエットを目的として会話する際の具体例を見てみましょう。
- 5㎏痩せるための方法について話したいことを伝える
- そのためには有酸素運動と筋トレが効果的なことを説明する
- マイナス5㎏を実現するためには、通勤時に1駅歩き、帰宅後10分でも筋トレをすることが必要であることを伝える
上記のような会話の流れなら、話がそれても軌道修正しやすくなるでしょう。
結論から先に話す
「話の腰を折られてしまったから、伝えたいことが言えなかった…」という経験は、話が通じない人が相手だとよくあります。話が通じない人に対し、伝えたいことがはっきりしている場合は、結論から先に話すことがコツです。
例えば、「○○さんのデスクが散らかっていて、隣のデスクまで書類が積みあがっている。業務に支障が出るため、整理して欲しい」と言いたい場合、「○○さん、デスクの書類を整理してください」と伝えます。
相手の返事によって、理由を説明するかしないかを判断しましょう。万が一、説明しているときに話の腰を折られても、結論を最初に話しているため、大きな問題はありません。
相手が理解しているか確認する
話が通じない相手に説明事項がある場合は、相手が理解しているかどうか、その都度確認しながら話を進めることがコツです。「ここまでで不明点はありますか?」や「○○については大丈夫ですか?」と、相手が質問しやすいように声をかけましょう。
資料を用意し、メモを取ってもらうようにすると、話がスムーズにできる上に相手も理解しやすくなります。「一度説明したから理解してもらえただろう」と思わず、何度も繰り返し説明することも有効です。
自分の伝え方も振り返ってみよう
相手に話が通じないのは、自分の話し方にも原因があるかもしれません。自分が『伝わらない話し方』をしていないか、振り返ってみましょう。
順序立てて論理的に話しているか
一度にいろいろなことを伝えようとすると、あれもこれもと情報を盛り込みがちです。情報量の多い話は聞き手の記憶に残りにくく、内容がぼやけてしまいます。情報量を増やし過ぎず、伝えたいことを明確にして要点を絞りましょう。
自分がわかっていることを話すときは、5W1Hがおろそかになりがちです。全て盛り込む必要はありませんが、説明する内容に合わせて取り入れましょう。特に、『What(何が)』と『Who(誰が)』の主語は明確にする必要があります。
人に伝わりやすく話すコツは、要点を絞って5W1Hを取り入れ、順序立てて論理的かつシンプルに話すことです。
回りくどい表現になっていないか
気を使う相手に対しては、失礼のないようにと意識するものです。要点を絞って端的にまとめた話し方は冷たい印象になるため、できるだけ丁寧に話そうとするでしょう。しかしその結果、回りくどい表現になってしまうことがあります。
その場合、先に「○○の件で相談させていただきたいのですが、お時間よろしいでしょうか」と、声をかける時点で目的を話すとよいでしょう。
また、カタカナ用語の使い過ぎも、回りくどい表現にあてはまります。『ケイパビリティ』などの耳慣れないカタカナ用語は、話が理解されにくくなる原因です。『組織としての強み』や『株主資本』など、耳馴染みの良い日本語で説明しましょう。
まとめ
話が通じない人は、人の話を聞かないため会話が成立しません。自分の話ばかりしたい人や思い込みが激しい人、プライドが高い人などタイプはさまざまです。
話が通じない人への対処法は、相手によって変えましょう。職場の上司には、否定的な言い回しをしないよう注意が必要です。同僚や友人が相手の場合、自分がイライラしてしまいそうなときは、スルーで対処することを覚えましょう。
自分が相手に伝わるように話しているか、振り返ることも必要です。伝えたいことを盛り込みすぎず、順序立てて論理的に話しているか考えましょう。また、回りくどい表現や、馴染みのないカタカナ用語の使い過ぎにも注意が必要です。