自分の考えを、正しく周りに言葉で伝えられるスキルを『トーク力』といいます。トーク力が高い人は、どのような話し方や聞き方をしているのでしょうか。トーク力を磨くコツと効果的な練習方法を、あわせて解説します。
トーク力とはどんなスキル?
トーク力があると、対人関係が円滑になるだけではなく、ビジネスシーンでもメリットがあります。具体的にどのようなスキルなのでしょうか?
自分の考えを正しく伝えられる力
『トーク力』とは会話において、自分の意見を正しく伝えるスキルです。ビジネスからプライベートまで、対人関係に大きく影響します。
対人関係において、会話は重要な要素です。相手に誤解を与えることなく、自分の考えを正しく伝えられるトーク力があれば、ビジネスシーンでの交渉や説得で非常に役立ちます。
話を理解して聞くことができる力
自分の考えを正しく伝えられる『話す力』だけでは、会話は一方通行となってしまいます。相手の話を理解しながら聞くことができる『聞く力』もあわせて『トーク力』なのです。
「何を話そうか?どう伝えるべきだろうか?」と自分が話すことばかり考えていると、相手の話を上手に聞くことができません。まずは相手の話を聞いて理解し、適切な相づちで話を広げることが『トーク力』の基本です。
トーク力が高い人の話し方とは
トーク力が高い人は、聞き手を飽きさせず、自分の言いたいことをしっかり伝えることができます。トーク力が高い会話をするためのテクニックを解説します。
話の要点がまとまっている
トーク力が高い人は、話の要点がまとまっているのです。一番伝えるべきことは何か、相手が知りたいことは何かを把握しているため、簡潔に説明できます。
例えば、「今日の夕方、雨降るかな?」と聞かれた場合、「天気予報を見てみるね!えーっと、今は晴れてるけど、昼から曇りだって。16時から降水確率が70%になってるから、降るかもしれないよ」では、要点がまとまっていません。「降るかも!夕方の降水確率は70%だって」と、相手の質問に簡潔に伝えることが重要です。
結論を先に話すことで、相手が一番知りたいことをわかりやすく伝えることができます。
言葉の選び方が的確で具体的
トーク力が高い人は語彙が豊富です。相手やシチュエーションに合わせて的確な言葉を選び、スマートに説明できます。例えば、『折衝』という言葉を『話し合い・協議・交渉』などと言い換えられれば、聞き手の印象を変えることが可能です。
ビジネスシーンでは専門用語の使い分けも重要です。トーク力の高い人は、専門用語を理解している相手の場合、ためらわずに用語を使います。しかし、専門用語を聞いたときに相手がピンとこない表情をしていたら、わかりやすい言葉に噛み砕くのです。
聞き手の反応によって的確な言葉を選べるため、会話が止まったり、相手に理解してもらえなかったりという状況は起こりにくくなります。
声・表情・ジェスチャーで伝える
いくら内容がよくても、無表情で淡々と話す人は相手に興味を持たれません。トーク力が高い人は声のトーンを内容に合わせ、表情やジェスチャーで感情を表現しているのです。
嬉しいことや楽しいことを話すときは、明るい声のトーンと笑顔で、喜びが伝わるような大きいジェスチャーを取ります。悲しい話や残念な内容のときは、沈んだ声や表情、がっくりと肩を落とした姿勢で感情を表します。
しかし、ミーティングやプレゼンテーションなどのビジネスシーンでは、大げさなジェスチャーはできません。その場合は話し方に抑揚をつけ、違和感がない程度のジェスチャーで、主張したい内容を強くゆっくりと発音します。
トーク力が高い人は聞き方もうまい
人の話を聞くのが上手なことも、トーク力が高い人の特徴です。話を上手に聞くコツを紹介します。
相手の話に丁寧に耳を傾ける
良い話し手であるトーク力が高い人は、同時に良い聞き手でもあります。話し手の邪魔にならないタイミングで、適切な相づちを打てるのです。
無表情で「うん、そっか、へえ」と返すだけでは、熱心に聞いているとはいえません。話し手は「興味を持って聞いてくれている」と感じることで安心するため、相づちのトーンや表情も大切です。
相手の話に丁寧に耳を傾けているかどうかは、自然と相づちに表れます。「ええ!?それからどうなったの?」や「うわあ、大変だったね…。大丈夫だった?」など、感情のこもった言葉が出てくるのです。
適切なタイミングで質問をする
自分が話し手となって意見を述べているときも、トーク力が高い人は相手に質問をして話を振ります。適切な質問を挟むことで、自分が話しっぱなしにならず、会話のキャッチボールができます。
また、相手の性格によって質問の仕方を変えることも可能です。例えば、口数が少なく会話が得意ではない相手は、「〇〇さんは、映画鑑賞はお好きですか?」のように、イエスかノーで答える形式の質問をします。その方が、相手が答えやすいと分かっているためです。
意見が食い違う相手に対しても、「なるほど、○○さんはそう考えるんだね。どうしてそう思うの?」と、いったん受け止めてから質問します。そうすることで、相手は「自分の意見を否定せずに聞いてくれた」と安心し、話しやすくなるのです。
トーク力を磨くコツと練習方法
トーク力は練習次第で磨くことができます。人によっては面倒だと感じる作業もありますが、トーク力が格段に上がるため、チャレンジしてみましょう。
自分の話し方をチェック
トークの内容も大切ですが、聞きやすい話し方を心がけることも重要です。トーク力を磨くためには、今の自分がどんな話し方をしているのか、知る必要があります。
ミーティングやプレゼンテーションのときなど、自分が話しているところを録音して聞いてみましょう。ボイスレコーダーがなくても、スマートフォンの録音アプリを使えば簡単にできます。
自分が話しているところを聞くのは、非常に恥ずかしいものです。しかし、話す速度や声のトーン、どんな口癖があるかなどを把握でき、気になるところを直すのに役立つ方法ですので、頑張って聞きましょう。
トーク力が高い人をお手本にする
身近にトーク力が高い人がいる場合は、その人と積極的に会話をしてお手本にしましょう。話す内容や声のトーンなど、参考になることがたくさんあります。
また、テレビやラジオでもトーク力の勉強ができます。トーク番組やバラエティー番組でのタレントやお笑い芸人のやり取りを、コミュニケーションの参考にしましょう。
お手本になるのは、メインで話している人だけではありません。メインで話している人に対し、周りのタレントやお笑い芸人がどのように話を振り、広げているのかも参考にできます。
「要約力」を鍛える
自分の考えを正しく相手に伝えるためには、話の要点をまとめる必要があります。言いたいことすべてを勢いのままに話すと、冗長になり、聞き手は苦痛を感じるためです。また、何を一番伝えたいのかがはっきりせず、話した内容を理解してもらえません。
トーク力を磨くためには、伝えることをまとめる『要約力』を鍛える必要があります。効果的なトレーニング方法は、本や新聞の内容をまとめることです。本はボリュームが多いため、まずは新聞から始めるのがおすすめです。
トレーニングのやり方は、文章を段落で分け、各段落の中から話題の中心となっている文(中心文)を見つけます。次に、中心文の要点を自分の言葉でまとめてみましょう。
要約力が身に付いたら、次はプレゼンテーションの練習です。普段は10分程度で説明する事柄を、5分でまとめる訓練をしましょう。内容と言葉を精査する特訓になるため、無駄を省いたトーク力が身に付きます。
まとめ
『トーク力』とは、自分の考えを正しく人に伝えられるスキルです。話すだけではなく、人の話を理解して聞く力も含まれます。
トーク力が高い人は言葉選びが的確で、話の要点がまとまっています。声・表情・ジェスチャーでも内容を伝えるため、聞き手を飽きさせない上に内容が伝わりやすいのです。
自分のトーク力を磨くためには、自分が話しているところを録音し、口癖や話す速度など、聞きにくいと感じるところを直す練習が有効です。話の内容が伝わりやすくなるように、『要約力』も鍛えましょう。