完璧主義は三つのタイプに分かれるため、完璧でいることにこだわりすぎて悩んでいる人は、自分がどのタイプなのか知ることが大切です。完璧主義の特徴やどのようなときにつらいと感じるのか、改善方法についても紹介します。心穏やかに過ごせるようになりたいですね。
完璧主義とは?
『完璧主義』とは、どのような状態を指すのでしょうか?人によって捉え方にズレがあるため、最初に言葉の意味を確認しておきましょう。
何事も完璧を求めてしまうこと
言葉の意味は『何事も完璧を求めてしまうこと』で、考え方や性格を表すときに使われます。すべてにおいてパーフェクトな状態でないと気が済まないような人も含まれます。
例えば、作成したプレゼン資料に対して周囲が十分だと判断しても、少しでも自分が納得いかないと、とことんこだわってしまうような人です。
最終的に質の高いものに仕上がるとしても、こだわり過ぎるあまり周り、人のペースを乱してしまい、反感を買うこともあるでしょう。
このように完璧主義にはよい面と悪い面があるため、ポジティブな意味だけでなくネガティブな意味にも使われています。
完璧主義は3タイプに分けられる
一見、同じように見える完璧主義ですが、実は三つのタイプに分かれます。自分がどのタイプなのか確認しましょう。
自分が完璧であろうとする「自己指向型」
『自己指向型』は、自分に厳しく常にパーフェクトであろうとする志の高い人のことです。そのためには努力を惜しまない人が多く、追い込み過ぎてしまうこともあります。
思うような結果につながらないと、過度に自分を責めたり落ち込んだりしてしまうことも珍しくありません。
例えば、テストでは常に満点を取ることを目標にして勉強に明け暮れ、満点以外では納得がいかないような人が該当します。99点だったとしても自分を強く責めてしまう人もいるでしょう。
他人が求める理想を追う「社会規定型」
『社会規定型』は他人が求める理想を追い、完璧であろうとする人です。
意識が自分のみならず周囲にも向いている状態で、人の目を気にして見栄を張ってしまい、自分を追い詰めてしまうことも少なくありません。
例えば、「自分が率いるプロジェクトは目を見張る成果を上げ、高く評価されなければならない」「教育者だから常に正しい言動をし、尊敬されなければならない」のように考えてしまう人です。
責任ある立場の人ほど、周りから「すごいと思われたい」「尊敬されたい」という気持ちが強くなり『社会規定型』になる傾向があるようです。
他人に完璧を求める「他者指向型」
他人にパーフェクトを求める『他者指向型』というタイプもあります。
例えば、部下の作成したプレゼン資料に誤字があるといった小さなミスさえも許せず、イライラしてしまったり、声を荒らげたりするような人です。
自分を取り巻く環境にパーフェクトな状態を求めてしまうため、人にも厳しくなってしまうのが原因と考えられています。
欠点がある人を蔑むことや威圧的な言動でマウンティングを取る傾向もあります。自分の価値観を押し付け、身勝手な言動を繰り返すため、敬遠される人も多いでしょう。
完璧主義な人に見られる特徴
では、完璧主義の人には、どのような言動が見られるのでしょうか?主な特徴を見ていきましょう。
理想が高く自意識過剰ぎみ
完璧主義の人は、理想が人一倍高く、限りなくパーフェクトに近い状態を目指すのが特徴です。そのため、妥協せずに並々ならぬ努力を持続できる向上心の高さや真面目さも持ち合わせています。
すぐに目に見える成果がでなくても粘り強く取り組めるため、最終的に周りの期待以上の成果を上げられることもあるでしょう。
ただし、自意識過剰ぎみの人も多く、周りの人に「認められたい」「すごいと思われたい」という気持ちが根底にある場合が珍しくありません。
そのため、成果など本来第一に考えるべきことよりも、周囲に認められることが最優先になってしまうこともあります。
責任感が強く柔軟性に欠ける
仕事など任されたことに対しては、常に責任をもって取り組み、周囲の期待以上の結果が残せることも珍しくありません。そのため、「〇〇さんに任せれば、安心」と頼りにされることも多いでしょう。
しかし、臨機応変な対応が苦手で柔軟性に欠ける面もあり、周りから敬遠されることもあります。
例えば、急を要する仕事でも柔軟に対応できず、通常の手順通りに進めてしまい、「融通が利かない」「面倒くさい」と思われ、孤立してしまうこともあります。
失敗を恐れてチャレンジできない
必要以上に失敗を恐れ、新しいことにチャレンジできない人もいます。失敗を過剰に恐れる理由は、周囲の目を気にしがちなためです。
「失敗すれば評価が下がる」と恐怖にすら感じてしまい、チャレンジする勇気も持てないのです。慎重に物事を進めることで成功する確率は上がるかもしれませんが、成長のチャンスを逃しているともいえるでしょう。
また、小さなミスを軽く指摘されただけで、自分を否定されたかのように過剰に反応してしまうところもあります。
完璧主義がつらいと感じるとき
完璧主義だと、どのようなことがつらいと感じるのでしょうか?主な理由や状況を紹介します。
イライラすることが多い
パーフェクトでないことに対してすぐにイライラしてしまい、ストレスがたまってしまう点をつらいと感じる人が多いようです。
理想と現実がかけ離れていることは珍しくなく、職場などでは自分一人の力ではどうにもならないこともあります。思い通りに進まないことも多いため、苛立ちを感じやすくなるでしょう。
また、職場にはさまざまなタイプの人がおり、いい加減な人もいます。自分だけでなく他人にも厳しいところがあるため、いい加減な人や自分の期待通りにならない状況に対してもイライラしてしまうでしょう。
細か過ぎて仕事が遅れがち
細かいところまで妥協を許さないため、仕事が遅れがちで周囲の人に迷惑を掛けてしまうこともあります。
ほぼ仕上がっていても、「もう少しこうした方がいいかも」「まだ足りないのでは」と考える傾向があり、全体的なスケジュールの遅れにつながってしまうこともあるでしょう。
また、物事に取り掛かるときには「うまくいかないかもしれない」という恐れから、過度に慎重になりがちです。つい先延ばしにしてしまい、仕事の遅れにつながることもあるでしょう。
一つのミスで全てが嫌になる
取るに足らないことでも、ミスを一つでもしてしまうと、途端に全てが嫌になってしまう傾向があります。理想と現実が異なることを受け入れられず、
一つでもミスがあると自分の目指す理想ではないと考え、一気にモチベーションが下がってしまうのです。
また、職場ではチームで一つの業務を成し遂げることが多く、臨機応変に対応することが求められます。途中で想定外なことが起き、やり方を変える必要が出てくることもあるでしょう。
そうなると、思い描いていた理想像からかけ離れてしまうと感じ、やる気をなくすこともあります。
完璧主義から解放されたいなら
完璧を求めることにはプラス面もありますが、つらいと感じることも多いのが現実です。改善するための大切なポイントを紹介するので、実践してみましょう。
自分と他人の理想のギャップを知る
つらいと感じる原因の一つに、 理想と現実との差があります。
自分の理想を客観的に見て、他人の理想と比べてみましょう。さまざまな物事に対して他人はどう捉えるのか知ることで、自分の理想や常識とのギャップに気付くでしょう。
また、ギャップを知ることで、他人に厳し過ぎたり求め過ぎたりしていることに気付けることも少なくありません。
自分と他人は違うということが分かれば、誰かがミスしたり、思うような結果が出せなかったりしても、寛大に受け入れられイライラすることも減るでしょう。
結果より頑張れた部分に注目する
仕事などでは結果を出すことが大切ではありますが、自分を追い込んでつらくなってしまいがちです。
そのため、結果よりも頑張れた部分に着目するように心掛けることが大切です。「この部分は満足できた」というように、よいと思えたことに目を向けましょう。
また、少しつまずいただけでもモチベーションが下がり、やり遂げることが難しくなってしまうこともあります。
そのようなときは、「今日はこの部分だけ終わらせよう」「10分だけ取り組んでみよう」というように少しでも手を付けることにフォーカスし、過程を大切にするとよいでしょう。
「何とかなる」を口癖にする
考え方を変えるためには『何とかなる』を口癖にするのがおすすめです。楽観的な言葉を口に出し、自分自身に言い聞かせることで、気持ちが楽になることがあります。
完璧主義は少しでも自分の思い通りに物事が進まないと、「ダメだ」と落ち込んだりストレスを抱えたりする傾向があります。
しかし、意識して楽観的な言葉を繰り返し発するうちに、自然と習慣化して考え方そのものが変わることもあります。
他人に対して苛立つことも少なくなり、よい人間関係を築きやすくなるというのもメリットです。
『何とかなる』というフレーズにこだわらず、『大丈夫』『まっ、いいか』など、自分が心地よく感じるポジティブな言葉を使いましょう。
まとめ
完璧主義は、理想が高く責任感が強い反面、自意識過剰で柔軟性に欠ける面があります。失敗を恐れてチャレンジできないことやイライラすることが多いのも特徴です。
少しのミスでモチベーションが下がったり、詳細にこだわるあまり仕事が遅れたりして、周囲の人に迷惑を掛けてしまうこともあるでしょう。
改善するには、自分が3タイプのどれに当てはまるのか把握することが先決です。その上で、他人の理想とのギャップを知ることや結果よりも頑張れた部分に目を向けるように心掛けましょう。意識して楽観的な言葉を口にするのもおすすめです。
つらい気持ちを少しでも楽にして、心が安定した毎日を過ごせるようになりましょう。