人は誰でも悲しくなることはありますが、『悲しい』とは具体的にどのような感情なのでしょうか?悲しくなる原因や和らげる方法、逆効果になり得るNG行動についても紹介します。自分の心と向き合い、うまく悲しい気持ちを癒しましょう。
悲しいとはどんな感情?
『悲しい』とは、どのような感情を指すのでしょうか?『悲しい』の基本的な意味と、『哀しい』との違いについて解説します。
人間の負の感情表現の一つ
『悲しい』は、『心が痛んで泣けてくる』『嘆いても嘆ききれない』気持ちを表します。分かりやすく言うと、『つらくて心が痛み泣けてくるような気持ち』です。
感情には多くの種類があり、ある研究によればその数は8種類とも27種類ともいわれています。『悲しい』は『怒り』や『不安』などと同様に人間の負の感情表現の一つで、『ないもの』に心が向いている状態です。
日常的な例でいうと、大切にしていたアクセサリーを失くしてしまったときなどに感じる気持ちです。
また、感情の強さにも差があります。例えば、失恋してしまったときや家族を亡くしてしまったときなどは、深い悲しみに襲われてしまい『悲嘆』といえるほどですが、気に入っていたコップが割れてしまったときは、少しの悲しさで済むという具合です。
悲しいと哀しいの違い
『哀しい』も『悲しい』と同様の意味で用いられますが、主に『心に秘めたつらさ』を表現するときに使われます。
また、『哀惜』『哀愁』という言葉に使われている通り、哀れみの感情やかわいそう、失って惜しむというニュアンスを表現するときにも使われることが少なくありません。
ただし、『哀しい』は常用漢字ではないため、主に文学作品や個人的な文章などで使われています。
どんなときに悲しい気持ちになるのか
人はどのような状況で悲しくなるのでしょうか?主な原因やきっかけを見ていきましょう。
大切なものとの別れ
家族・恋人・友人・ペットなど自分にとって大切な存在の人との別れは、悲しみを伴います。特に相手が意に反して自分の元を去っていくような別れは、強い悲しみを感じる人が多いでしょう。
一緒に過ごした時間が濃く長いほど多くの思い出が心に刻まれているため、時間がたってもふとした瞬間に思い出してしまうこともあります。例えば、別れた恋人と何度も訪れた思い出のレストランの前を通るだけで、楽しかった時間を思い出し悲しくなることもあるでしょう。
また、長年使用していたお気に入りのアイテムなどにも愛着があるため、失くしてしまうと悲しくなることもあります。
裏切られたとき
自分の思いとは正反対の結果になったときも悲しみを感じます。例えば、信用していた人に裏切られたときなどです。
親友だと思っていた人が陰で自分の悪口を言っていた、恋人に二股をかけられていた、上司にミスの責任を押し付けられたなど、このような状況は信頼していた分深い辛さも感じます。
相手への信頼度が大きいほど裏切られたときのショックは大きく、トラウマになってしまうこともあるでしょう。
挫折したとき
思うような成果が出せないなど仕事で挫折したときは、挫折感や焦りとともに悲しい気持ちになることもあります。周囲の期待に応えられなかったことを後悔したり、自信を失くしてしまったりして、悲しみに暮れてしまうのです。
仕事に限らずプライベートでも夢や目標が達成できなかったときは、悲しみを感じます。
例えば、資格試験合格のために日々勉強を頑張ってきたのに不合格だった、ダイエットを続けてきたけれど挫折してしまったときなど、プライドも傷つけられた上に悲しみも感じるのです。
悲しみを和らげる四つの方法
悲しみが長引くと、心がふさぎこんでしまうようになります。悲しみを和らげる具体的な方法を四つ紹介します。
誰かに気持ちを打ち明ける
自分の感情を心に閉じ込めずに誰かに打ち明けることで、気持ちが軽くなることがあります。特に同じような経験をしたことがある人ならば、あなたの気持ちを理解して寄り添ってくれるでしょう。
「分かる」「そうだよね」と誰かに共感されるだけで安心感が得られることも多く、気持ちが楽になっていくのを感じられます。また、自分では気付かない客観的なアドバイスも得られ、心が前向きになれることもあるでしょう。
泣いて発散する
悲しみを心にとどめず思いっきり泣くことで心が開放され、気持ちがすっきりすることもあります。
映画を見ながら思いっきり泣いたら、気分が改善したという経験がある人もいるのではないでしょうか?ストレス発散のために、あえて泣ける映画を選んでみる人もいるでしょう。
実は、泣くことはストレス発散やリラックスにつながるといわれているのです。人前で涙を流すのは恥ずかしいという人もいますが、家で1人のときは周りの目を気にする必要がありません。心の赴くままに泣いて発散してみましょう。
自然や芸術に触れる
自然や芸術に触れることも心の癒しになるため、悲しみが和らぎます。自然豊かな絶景や風に揺れる木々の音、花の匂いなどによって視覚・聴覚・嗅覚などが刺激されることが癒しにつながっていると考えられています。
また、海や山など壮大な自然に触れると、悲しみそのものが小さなものに思え、前向きになれることもあるでしょう。
芸術に触れることも五感が刺激されるため、悲しみを和らげるおすすめの方法です。自然豊かな場所に足を運ぶ時間がない忙しい人でも、美術館であれば会社帰りに気軽に立ち寄れるのではないでしょうか?
キャンドルの炎などを見つめながらリラックスする
炎をぼうっと見つめる『ファイヤーセラピー』もおすすめです。たき火やキャンドルの炎の揺らぎには、人が本能的に心地よいと感じるリズムがあり、リラックスできるといわれています。
レストランやバーでテーブルにキャンドルが置いてあると、何となく落ち着くと感じたことがある人もいるでしょう。
たき火やキャンドルなどの動画を見るだけでもリラックスできるといわれているので、スマホがあればどこでも気軽に試せます。
逆効果になるNG行動は?
より悲しみを深めてしまう可能性のあるNG行動を紹介します。ついやってしまいがちな行動なので、把握しておきましょう。
1人で過ごして抱え込むこと
悲しいときは、できるだけ家族や友人と過ごすことが大切です。『周囲の人に気を遣わせたくない』『誰とも会いたくない』という思いから1人で過ごして抱え込んでしまう人もいるでしょう。
しかし、1人で抱え込んでしまうと、気持ちを切り替えるのが難しくなってしまうことも少なくありません。悲しみを長く引きずってしまうと、それだけつらさに浸ることになるため、意識して家族や友人とコミュニケーションをとるようにしましょう。
悲観的になってしまうこと
悲しいときは物事をポジティブに考えられず、全てにおいてネガティブな気分になりがちです。落ち込んだ気分を引きずってしまい、「やっぱり自分はだめなんだ」と考えてしまうのです。
悲しみを乗り越えるのには時間がかかるかもしれませんが、悲しみを感じた出来事は、その事柄を大切に思っていた証拠でもあります。自分の価値や気持ちを否定せず、認めてあげることが大切です。
例えば、仕事で失敗したときは『自分はだめな人間だ』と悲観的になるのではなく、『良い経験になった。次はうまくいく』と前向きに捉えて、自分を励ましてあげましょう。
まとめ
人は大切なものとの別れや挫折したとき、裏切られたときなどに『悲しみ』を感じます。自分の心と向き合い、原因やきっかけを見つけた上で、悲しい気持ちを癒していくことが大切です。
誰かと自分の気持ちを共有したり、自然や芸術に触れたりすることで、心が落ち着き癒されるように感じます。思いっきり泣く、炎を見つめることも癒しにつながるとされているので、試してみましょう。
1人で抱え込んだり、悲観的になったりしないように心掛けることも大切です。