『人間性』とは、どのようなものなのでしょうか?意味と併せて、人間性が高い人の特徴や日常生活でできる高める方法も紹介します。人間性を疑われる人の特徴や見抜くポイントについても解説します。
人間性とは?
『人間性』という言葉の意味は何となくイメージできても、漠然としていて説明できないとう人もいるのではないでしょうか?まずは意味や『人柄』との違いについて解説します。
生まれ持った本質のこと
『人間性』は『生まれ持った本質』のことです。容姿などの外見ではなく内面を意味しており、その人の『本性』を指します。高学歴であることや役職といった社会的なステータスも関係ありません。
具体的には、『思いやり』『気遣い』『愛情』など人間として生まれ持っている内面のことを指します。このような内面的要因をどの程度持ち合わせているかは、人によりさまざまです。
常に周囲の人を気遣い、思いやれる人ほど人間性が高いとされ、好かれる傾向にあります。
「人柄」との違い
人間性は、『人柄』と同じ意味だと思われがちですが、厳密には異なります。
人間性は『生まれ持った本質』で、他人の主観で変わるものではありません。そのため、本来は優れている、劣っているといった評価は付けられないものですが、言動などから評価されているのが現実です。
一方、人柄はその人に『備わっている性質』を表す言葉で、他人によって優劣を付けられるという違いがあります。
人柄は生まれ持ったものではないため、『なりたい自分』を演じることもできます。上辺だけ取り繕うことで、他人からの評価を得ることもできるでしょう。
人間性が高い人の特徴
どのようなタイプの人が、『人間性が高い』とされるのでしょうか?主な三つの特徴を見ていきましょう。
感情をコントロールできる
人は喜怒哀楽などさまざまな感情を抱くものですが、人間性が高い人はうまく感情をコントロールできる人が多いようです。
特に、コントロールするのが難しい『怒り』を感じたときの対応が、評価の判断材料になることも少なくありません。
感情に任せて声を荒らげてしまったり、露骨な態度を取ってしまったりする人がいるなかで、怒りを感じても冷静に対処できる人は、周囲から一目置かれているのではないでしょうか。
どのような状況でも冷静に対応できる人は、自分の置かれている状況を客観的に見られる能力も持ち合わせているといえるでしょう。
過ぎたことは水に流せる
過ぎたことを根に持たず、水に流せる寛大さも特徴の一つです。頭では完璧な人はいないと分かっていても、他人のミスなどで迷惑をかけられたときなどは、許すのが難しいこともあるものです。
しかし、ミスやトラブルに巻き込まれたときこそ、その人の真価が問われることもあります。『何で私がこんな目に遭わなくちゃいけないの』『〇〇さんのせいだ。許せない』と怒りが収まらない人もいるでしょう。
一方で、人間性の高い人は理不尽だと感じたとしても、『誰にでも間違いはある』『自分にも非があったのかもしれない』と寛大に考えられるのです。
過ぎたことを水に流せるので、仕事でもプライベートでも好かれ、幅広い人間関係を築けることも多いでしょう。
価値観の違いを受け入れられる
人間性の高い人には、人それぞれ考え方や意見が違って当たり前というように、価値観の違いを受け入れられる人が多いのも特徴です。
それぞれの価値観は、生まれ育ってきた環境など長年の経験から築き上げられたものです。そのため、多様性を理解して受け入れるというのは、簡単なようで難しい場合もあります。
例えば、親子であっても価値観が違うことは珍しくありません。しかし、子どもに自分の価値観を押し付けてしまう親もいます。
自分と違う意見を持つ人に対して『あの人の考え方はおかしい』と否定的になったり、卑下したりする人もいるのが現実です。
しかし、人間性の高い人は、『人は人、自分は自分』と分けて考えられます。自分の意見は意見として持ちつつ、他人の意見も受け入れられるのです。
人間性を疑われる人の特徴
では、人間性を疑われるようなタイプはどういった人を指すのでしょうか?紹介する特徴が自分に当てはまる人は、少しずつでも改善するように努めてみましょう。
基本的なマナーを守れない
法律で定められていなくても、社会で生きていくには最低限守らなければいけない基本的なマナーがあります。マナーを守れない人は常識がないと思われ、人としての本質を疑われることにつながります。
例えば、電車やバスで優先席を必要としている人がいるのに席を譲らない人や、タバコやゴミのポイ捨てをする人などです。友人との約束に毎回のように遅れたり、ドタキャンしたりといったこともマナーに欠けます。
また、プライベートだけでなく、職場でのマナーも含まれます。例えば、きちんとあいさつをしない、無断欠勤をするなどです。休憩時間ではないのにスマホでSNSをチェックするなども、職場でのマナーに欠ける行為でしょう。
イライラを表に出す
イライラを表に出すなど機嫌の悪さが態度に出てしまう人も、人としての本質を疑われるでしょう。気持ちに余裕がなくイライラしてしまったり、機嫌が悪くなったりしてしまうことは、誰にでもあるものです。
しかし、特に職場などでそのような態度を頻繁に取ってしまう人は、周囲に与える影響を考えていない自己中心的な人といえるでしょう。
イライラを表に出すと、その場の空気が悪くなり居心地も悪くなります。『聞きたいことがあるけれど、話しかけづらい』と感じる人もいるでしょう。人としてのキャパシティのなさが見えてしまい、人間性が低いと思われます。
責任をなすり付ける
自分の非を認めず責任を他人になすり付けるのは、人間性を疑われる行為です。縦社会の職場などでは、上司のミスを押し付けられる部下もいるでしょう。逆に『指示の出し方が曖昧だったから』と、部下が責任逃れすることもあります。
『でも』『だって』と言い訳をしてかたくなに非を認めず、不機嫌な態度で周囲に不快感を与えることも珍しくありません。
そういった人は、自分を正当化するために、人を傷付けることもいとわないことも多いでしょう。人としてどうかと思われるだけでなく、敬遠されてしまいます。
人間性を見抜くポイント
その人の人間性は、日頃の言動の端々に垣間見えることが少なくありません。人間性を見抜くポイントを三つ紹介します。
話を聞くときの態度
分かりやすいポイントの一つが、話を聞くときの態度です。親身になって話を聞いてくれる人であれば、人間性が高い可能性があります。
人の話を親身に聞けない人は自己中心的で、自分にとって得になるような話題でない限り、他人の話を聞こうとしない傾向にあります。
相手が話しているときに周囲の出来事に意識がいって注意散漫だったり、スマホを見ながらだったりと、話を上の空で聞いていることが多いでしょう。
目線を合わせていても、ほかのことを考えていて相づちがずれていることもあります。
また、このようなタイプの人は、人の話は聞かなくても自分の話は親身に聞いてもらえないと不機嫌になる人も少なくありません。
愚痴や悪口の頻度
愚痴や悪口の頻度でも、その人の本質を見抜けるでしょう。たとえ内容が本当のことであったとしても、ネガティブな話を聞かされる方はうんざりしてくるものです。
特に、その場にいない人の陰口は、その人の人となりが見えるだけでなく、周囲の人からの評価を下げ信頼性を失う原因にもなります。
愚痴や悪口を言う理由はさまざまで、ストレス発散のはけ口の場合や、悪いという認識がない場合もあります。
いずれにしても、愚痴や悪口の対象となっている人の気持ちや、不愉快な話を聞かされる人の気持ちを考えていない自己中心的な行為といえるでしょう。
周囲の人への対応
人によって態度を変えるなど、周囲の人へどういった対応をしているかも判断材料になります。例えば、職場で目上の人と目下の人への態度があからさまに違うような人は、周囲からの信頼が薄い傾向にあります。
逆に、部下や後輩に対しても態度を変えずに接する人は、評価が高いのではないでしょうか。
特に、何らかの理由で周囲から煙たがられている人は、みんなから素っ気ない態度を取られがちです。そのような人に対しても態度を変えず普通に接することができる人は、人間性の高い人だと思われるでしょう。
また、イケメンや自分好みの異性の前ではガラッと態度が変わることも、その人の本性がうかがえるものです。人間性を見抜くポイントといえるかもしれません。
人間性を高めるためにできる行動
人間性を高めるには、何をしたらよいのでしょうか?日常生活で無理なくできる習慣を二つ紹介します。
生活習慣を整える
日頃の生活はその人の内面に影響しやすいため、生活習慣を整えることが大切です。不規則な生活をしていると、心も荒みがちになることも少なくありません。
栄養バランスのよい食事を取る、早寝早起きをする、適度な運動をするといった基本的なことを心掛けましょう。
掃除をしたり、身の回りを整理整頓したり、生活環境を整えることも大切です。生活空間を整えると気分もすっきりし、ポジティブな気持ちで心地よく暮らせるでしょう。
一度にあれもこれもと手を出してしまうと負担になって続かないことも考えられるため、できることから少しずつ変えていくようにするのがおすすめです。
人の意見に耳を傾ける
人それぞれ価値観が違うことを理解し、他人の意見に耳を傾けるようにしましょう。たとえ自分とは真逆の意見だとしても、頭ごなしに否定するのではなく、まずは受け入れる姿勢が大切です。
『そういう捉え方もあるのか』と新しい価値観を受け入れることで、視野が広がり寛大さも身に付くでしょう。
また、会話でも自分の価値観を押し付けるのではなく、「なるほど。そういう考え方もあるのですね」と、一歩引いて客観的に対応できるようになると人間性も高まり、よい人間関係も築きやすくなります。
内面を意識して人間性を高める
内面から人間性を高める方法もあります。どのような点を意識したらよいのでしょうか?
ポジティブ思考を意識する
人を許せる寛大な人や誰に対しても態度が変わらない思いやりのある人には、ポジティブ思考の人が多いと考えられます。
『自分にできるはずがない』『どうせ私なんて』とネガティブに考えがちな人は、ポジティブ思考を意識するようにしましょう。
効果的な方法は自分を客観的に見つめ直し、マイナス面をプラスに変えることです。例えば、短気でついイライラ感が出てしまうのが短所だとしたら、感情に身を任せず、一呼吸置いて冷静になるように心掛けるという具合です。
人の価値観を受け入れられない人は、すぐに反論するのではなく、『なるほど』とひとまず受け入れる癖を付けるのもよいでしょう。
思いやりの気持ちを持つ
相手の気持ちを考え行動できる、思いやりの気持ちを持つことも大切です。人間性の高い人は、その時々で相手がどのような気持ちを抱いているのか察し、人の気持ちに寄り添うことができます。
簡単なことではありませんが、ささいなことでもいいので、『今、どう思っているのだろう』『どうしてほしいのだろう』と、相手の立場に立って考える癖を付けることで磨くことが可能です。
相手の話を親身に聞くことや、『もし、自分だったらどう思うか』『どうしてほしいか』を意識することで気付きやすくなります。
相手の立場に立って考えられるようになると、周囲への気配りもできるようになり、相手が望むことを自然とできるようになっていくでしょう。そうなると、周囲からの評価も高まります。
感謝の気持ちを忘れない
どのようなときでも、感謝の気持ちを忘れないことも大切なポイントです。日常生活では『特に感謝するようなことはない』と感じる人もいるかもしれませんが、当たり前だと思っているささいなことでも感謝するようにしましょう。
例えば、実家暮らしの人は、毎日食事の支度をしなくてもおいしい料理が食べられたり、洗濯をしてもらえたりすることもあるのではないでしょうか。
身内だからといって感謝しなくてよいというわけではありませんし、自分のために何かをしてもらったのであれば、「ありがとう」と伝えましょう。
職場でも同様です。例えば、電話を取り次ぐのが新人の仕事の一つだとしても、取り次いでもらったら「ありがとう」と感謝の気持ちを口にすることで、次第に周囲からの評価も高まっていくでしょう。
まとめ
人間性の高い人は、どのような場面でも感情をきちんとコントロールでき、多様性を受け止められ、人を許せる寛大さがある人です。話を聞くときの態度や周囲の人への対応などで、人間性を見抜けます。
基本的なマナーに欠ける人や責任逃れをするような人は、人としての本質を疑われるため、改善する努力をすることが大切です。
人間性を少しでも高めるために、生活習慣を整えたり、思いやりや感謝の気持ちを持つように心掛けたりしてみましょう。