何となく分かっていても、『感性』を具体的に説明できない……という人もいるでしょう。ここではその意味と合わせ、感性豊かな人の特徴や、感性を養うメリットについても紹介します。
「感性」とは?
感性とは、どのようなものを指すのでしょうか?まずは意味から見ていきましょう。
感覚的に受け止める力
感性は、『心の動き』という意味の『感』と『生まれつきの本質』という意味の『性』が組み合わさった言葉です。さまざまな物事を『感覚的に受け止める力』という意味です。
具体的には、何かを見たり聞いたりしたときに心に湧き上がる感情を指します。『感受性』や『感覚』と同じような意味合いで使われることも多いでしょう。
物事を見聞きしたときに感じた気持ちを、音楽や絵などで形にする能力も感性に含まれます。
感性豊かな人の特徴
感性豊かな人とは、どのような人を指すのでしょうか?年齢・性別にかかわらず共通する主な特徴を紹介します。
優れた発想力がある
感性豊かな人は、人よりも『発想力』に優れている傾向にあります。一つの物事をただありのままに受け止めるだけではなく、そこから想像してどんどんイメージを広げていけるのです。
ほかの人なら気にも留めず流してしまうようなことでも、『違う色だったら、どうだろう?』『状況が違ったら、こうなるのでは?』と、さまざまな角度から想像できます。
また、新しく湧き上がったイメージを、独自の感性で形にするのが得意な人もいます。一般的なものには、絵・音楽・ファッション・文章・料理などがあります。
固定観念にとらわれない
感性豊かな人は、固定観念や先入観にとらわれず、自分の心に湧き出る感情に素直な人が多いでしょう。たとえほかの人には取るに足らない物事だとしても、自分にとってどうかという感覚を重視します。
理屈では『良い』と分かっていても感覚的に『違うな』と思うと、心の声に従ってしまうことも少なくありません。
そのため、周囲から自己中心的だと思われることもあるかもしれませんが、別の見方をすれば『自分に素直』だといえるでしょう。
また、独自の物差しでさまざまな視点から物事を見れるため、より深く考えられる傾向もあります。
例えば、人物が描かれた絵を見たときに、絵を描いているときの作者の心情を想像するだけでなく、描かれている人物の心情も想像する、という具合です。
あらゆる物事を五感で感じ取る
物事を感じ取るときに使われるのが、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の『五感』です。感性豊かな人は、あくまでもほかの人がどう感じるかではなく、自分自身の五感で感じ取ったことを重視する傾向があります。
多くの人が視覚だけで感じ取ることも、五感の全てを使って感じ取るため、ほかの人が気付かないささいなことも感じ取って、想像力を膨らませることができます。
料理であれば味だけでなく、美しい盛り付けや食欲をそそる香りなど、五感をフルに使って楽しめます。
感性を養うメリット
『感性豊かなほうがいい』といわれますが、それはなぜなのでしょうか?メリットを三つ紹介します。
思慮深い言動ができる
感性を養うと、他人の気持ちをより察することができるようになるため、心情に寄り添うような深慮深い言動ができることにもつながります。
例えば、つらいときに周囲に悟られまいと普段通りに装う人もいるでしょう。研ぎ澄まされた感性がある人は、相手のふとした表情や声のトーンなどから普段との違いを感じ取ることができます。
電話のように表情が見えなくても、相手の気持ちを察せられる人もいます。
また、共感する能力が高いのも特徴です。相手がなぜ、悟られまいとしているのかまで考えて行動できるのです。相手にとって心地よい状態を保てるように、気を配ることもできます。
表現力が豊かになる
豊かな感性があれば、あらゆる物事を五感を使い、独自の感覚で感じ取れるようになります。そのため、独創性のある感覚を身に付けることが可能でしょう。感性を養うことで、その独創性を表現する能力も鍛えられます。
例えば、新商品の企画やプロジェクトなどクリエイティブな分野で、ほかの人が思い付かないような斬新なアイデアを出すこともできるようになるかもしれません。
マーケティングや広報などの分野でも、豊かな表現力が役立つこともあるでしょう。また眠っていた才能が開花し、アーティストやデザイナーなど自分の感性そのものを形にして活躍できるかもしれません。
幸せを見つけやすくなる
感性が豊かな人は、取るに足らないようなささいなことにも『すごい』『楽しい』『うれしい』と感動できます。
例えば、おいしい料理を食べたときに、単においしいと感じるだけでなく、小さな幸せを感じられる、などです。日々の生活の中でたくさんの幸せを見つけられるため、心が満たされた日々を送りやすくなるでしょう。
本や映画にしても、より深く主人公の気持ちや状況を感じ取れるため、感動しやすい傾向にあります。つまり、ほかの人よりも何倍も作品を楽しめるということでしょう。
感性を磨くための三つの方法
では感性を磨くには、どうすればよいのでしょうか?日々の生活に取り入れやすい簡単な方法を三つ紹介します。自分の好みやライフスタイルに合う方法を試してみましょう。
芸術作品から新しい価値観を学ぶ
芸術作品に触れることで新しい価値観を学べるため、感性を磨くことにつながります。美術・音楽・映画・演劇など、さまざまな芸術に幅広く出合うことで、新しい価値観に触れることができるでしょう。
中には理解しがたいものもあるかもしれません。そういったときは頭から否定したり拒絶したりせず、『そういう考えや表現もあるのだな』と受け止めることが大切です。受け止めることで視野を広げられ、感性も磨かれていくでしょう。
まずは、興味ある分野の芸術作品に触れてみることから始めるのがおすすめです。
自然に触れて感覚を研ぎ澄ませる
壮大な景色や自然豊かな場所にいると、普段の生活では味わえないような感覚が湧き上がる経験がある人もいるのではないでしょうか?
風の強さや風に揺れる木の葉の音、花の香りなど、忙しい日々では意識していないようなことに気付けるため、自然と感覚が研ぎ澄まされていきます。
日本には自然を堪能できる場所が多くあるので、週末などを利用して足を運んでみるのもよいでしょう。忙しくて時間が取れない人は、普段の駅までの道を五感を使って、自然を意識しながら歩くだけでも違います。
好きな本を読んで想像力を働かせる
読書をしているときは、文字から得た情報を基に想像力を膨らませて、頭の中で場面をイメージするというプロセスを自然と行っています。そのため、読書は想像力を鍛え、感性を磨くのに役立つと考えられています。
さまざまなジャンルの本があるので、まずは好きな本を読んでみましょう。ジャンル選びに悩む人は、知見を広げ気付きを得られる『自己啓発本』もおすすめです。
自分とは違う人の意見や考えを吸収することで、感性を高めることにつながります。得た知識や気付きを仕事・プライベートで生かせるというメリットもあるでしょう。
また、『推理小説』も感性を磨くのに適しています。『この先はどうなるのだろう?』と、その後の展開を考えずにはいられないためです。思考すること自体が、感性を研ぎ澄ます上で大切なポイントになります。
まとめ
感性を養うと人の気持ちを察しやすくなったり、表現力が豊かになったりするだけでなく、幸せを見つけやすくなるという大きなメリットもあります。
仕事・プライベートに関係なく生かせ、日々の生活を豊かにしてくれるものといえるでしょう。
感性は、芸術作品や自然に触れることや読書などで磨くことも可能なので、自分に合う方法を試してみましょう。