自分の名前に使われている漢字の成り立ちや意味を知らない人もいるのではないでしょうか?『弥』はどのような漢字なのか、意味・成り立ち・イメージを紹介します。『弥』を使った言葉や名前にも触れるので、名付けの際の参考にも。
「弥」はどんな漢字?
『弥』は、どのような漢字なのでしょうか?意味や成り立ちとともに、イメージについても紹介します。
意味と成り立ち
常用漢字である『弥』は、音読みで『び・み』、訓読みで『や』です。表外読みでは、『あまね(し)・いや・いよいよ・つくろ(う)』などとも読みます。
もともとは『彌』と書かれ、『ゆみへん』と音を表す『璽』の省略形である『爾』を組み合わせた漢字です。
弓が緩む様子を表しており、それが『わたる』『すみずみまで』『どこまでも広がる』といった意味になりました。他にも、『ますます』『おさめる』『ひさしい』など多くの意味があります。
「広い」「行き渡る」イメージ
『弥』の漢字の意味から、『広い』や『行き渡る』というイメージがあります。広いという意味からは、『心の広さ』『大らかさ』『洞察力』などが連想できます。
行き渡るからは、『発展』『成長』『豊かさ』などが感じられ、力強さを感じるポジティブなイメージがあるでしょう。
名付けに使うときには、『心の広い人になってほしい』『優れた洞察力で、社会で活躍する人になってほしい』『豊かな人生を送ってほしい』など、一文字に多くの願いを込められるのも魅力です。
「弥」を使った言葉と意味
『弥』が使われている熟語や表現を意味と合わせて紹介します。知識を深めることで、よりイメージがつかみやすくなるでしょう。
「弥栄」
『弥』に栄えるという意味の『栄』を組み合わせた『弥栄』という熟語があります。『いやさか』と読み、『さらに栄えること』という意味です。
日常生活では耳にすることが少ない言葉ですが、フォーマルなお祝いの席や格式張った文書で使われます。
・ご家族皆さまの弥栄と健康をお祈り申し上げます
・新郎新婦並びにご両家の皆さまの弥栄とご多幸を祈念いたします
また、ボーイスカウト用語の一つとしても用いられている言葉です。発音は多少異なるものの、日本のみならず世界各国でも祝声として『弥栄』が使われています。
「弥が上にも」
『ますます』という意味の『弥が上にも(いやがうえにも)』という表現もあります。ある状態から、さらにその状態が生じたことを強調する表現です。
『嫌が上にも』と書き間違えたり、ネガティブな意味に捉えたりする人もいるようですが、ポジティブな意味のある表現になります。
また、『承知でも不承知でも』『なにがなんでも』という意味の『否でも応でも(いやでもおうでも)』と混同しがちです。間違えて用いてしまうと、ニュアンスの全く異なる解釈になってしまうため、注意しましょう。
・長年のライバルとの決勝戦は、弥が上にも闘志が湧いた
・世界的に有名なミュージシャンの登場で、会場は弥が上にも盛り上がった
「弥」が含まれる名前
『弥』は、名付けに使われることの多い漢字です。どのように使われているのでしょうか?男の子と女の子両方の名前を紹介するので、名付けの参考にしましょう。
「や」と読む止め字として人気
『弥』は、名前の最後に付く『止め字』として使われる人気の漢字の一つです。例えば、『尚弥(なおや)』『優弥(ゆうや)』『和弥(かずや)』『拓弥(たくや)』『達弥(たつや)』などがあります。
その他の代表的な男の子の名前の止め字は、『太』『人』『平』『介』『之』など多数あります。女の子の場合は、『子』『乃』『菜』『美』『里』などです。
漢字一文字で古風に
『ひさし』もしくは『わたる』という読み方で、『弥』一文字の名前もあります。見た目が古風な印象になり、『続いていく』『広く行き渡る』『伸びていく』というポジティブなイメージの名前です。
一文字で3音のオーソドックスな名前は、もともと漢字が持っている意味が伝わりやすく、スマートな印象を与えられるのもメリットでしょう。
女の子の名前にも使われる
女の子の名前に使われるときは、『や』だけでなく『み』と読むことも多いです。
『や』と読む場合は、『沙弥(さや)』『真弥(まや)』『弥生(やよい)』などがあります。『み』と読む場合は、『弥月(みつき)』『恵弥(めぐみ)』『琴弥(ことみ)』などです。
『弥(あまね)』と一文字や、『亜弥乃(あやの)』など三文字の名前もあります。組み合わせはいく通りもあり、使い勝手の良い漢字と言えるでしょう。
まとめ
『弥』は『彌』の新字体で、弓が緩む様子を表す漢字です。『わたる』などの意味がり、『広い』や『行き渡る』というポジティブなイメージがあります。
漢字のイメージから男の名前の止め字として人気です。女の子の名前の頭文字や止め字としても用いられています。さまざまな組み合わせが考えられるため、使いやすい漢字と言えるでしょう。
『弥栄』や『弥が上にも』などポジティブな意味を持つ表現もあるので、使い方に注意して実際に使ってみましょう。