
『茉』は、名前に使われることもある漢字です。漢字の意味や成り立ちとともに、どのように使われているのかを紹介します。ポジティブなイメージもあるので、名前に『茉』が使われている人は、自己紹介の話題の一つにするのもおすすめですよ。
「茉」の漢字の成り立ちや意味は?

『茉』の漢字の成り立ちを見ていきましょう。意味についても解説します。
「くさかんむり」に「末」と書く
音読みで『まつ・ばつ』と読む『茉』は、『くさかんむり』と『末』が組み合わさった漢字です。現在の『くさかんむり』の原型は『艸(くさ)』で、くさが並んで生えている様子を表した字になります。そのため、くさかんむりは植物に関する漢字に使われていることが多いです。
『末』は多くの意味を持つ漢字で、『枝先』や『こずえ』『草木の上方の末端』など植物に関する意味もあります。
ジャスミンを表す「茉莉花」
『茉』はモクセイの科の植物で、ジャスミンの花の一種である『アラビア・ジャスミン』を指す『茉莉花(マツリカ)』の意味を持ちます。茉莉花は真っ白の美しい花を咲かせ、香りが高いのが特徴です。香りを生かして、香水・ハーブオイル・お香・ジャスミン茶などさまざまな用途に使われています。
ジャスミンは、ペルシャ語の『ヤースミーン』が語源という説があり、ギリシャ語では『神からの贈り物』という意味になると言われています。フィリピンやインドネシアでは国花に定められている花です。
「茉」はどこで使われている?

ジャスミン以外では、どのようなものに『茉』が使われているのでしょうか?同じ意味を持つ漢字についても紹介します。
「紫茉莉」「紅茉莉」などの花
『茉』は、オシロイバナの別称の『紫茉莉(ムラサキノマツリ)』や『紅茉莉(ベニマツリ)』などの花の名前に使われています。
オシロイバナは、花径3cmほどの赤・オレンジ・ピンク・黄色・白の花が咲きます。開花期は6~10月で、夕方から翌朝に咲き、午前中にしぼんでしまう『一日花』なのが特徴です。
種子の中に白い粉質のものがあり、おしろいと似ていることからオシロイバナという名前が付きました。
ベニマツリは、夏に花径1cmほどのかわいらしい花を咲かせます。花びらが紅色で中央部が黄色いのが特徴で、茎の先端に10~30ほどの花が集まって咲きます。メキシコやキューバが原産で、明治時代に渡来しました。
子どもの名付け
『茉』を『ま』と読むことで、子どもの名前に使われています。ジャスミンの花を連想させる漢字で、かわいらしさや清らかさ、気品のあるイメージがあるため、女の子の名前に使われています。
例えば、『頼る』という意味のある『依』と組み合わせた『茉依(まい)』や、『優しい』『優れている』という意味のある『茉優(まゆ)』などです。
『茉莉(まり)』や太陽の意味を持つ『日』を組み合わせて『日茉莉(ひまり)』という名前もあります。
「莉」も同じ意味を持ち人気が高い
『莉』も同じ意味を持ち、『り』と読む漢字の中でも高い人気です。毎年、企業が発表している女の子の名前人気ランキングでも『莉』を使った名前が頻繁にランクインしています。
例えば、『莉子(りこ)』は2020年度の『たまひよ赤ちゃん名前ランキング』で3位でした。漢字の持つ気品のあるイメージや『子』と組み合わせることで誰でも発音しやすいことが理由でしょう。
また、頭文字にも止め字にも使える便利さも人気の理由です。例えば、ランキングの100位以内に入っている名前で頭文字に使われている名前には、いずれも『りお』と読む『莉緒』や『莉央』、『莉愛(りあ)』があります。
止め字として使われている名前は、『あかり』と読む『朱莉』『明莉』『愛莉』がランクインしています。
「茉」はどんなイメージ?

『茉』には、どのようなイメージがあるのでしょうか?ジャスミンの持つイメージや花言葉を紹介します。
香りに癒されるイメージを持つ
ジャスミン(茉莉花)に使われている漢字のため、『茉』にはジャスミンの花のイメージがあります。ジャスミンは、茶や香水、お香として使用される、優雅な香りが特徴です。
香りには気持ちを明るくする効能があり、香りに癒されるイメージもあります。クレオパトラがこよなく愛した花としても知れているので、高貴なイメージを抱く人もいるでしょう。
名前に使うときは、凛とした気品がありながら、人を癒すような穏やかさや包容力のあるすてきな人になってほしいという願いが込められています。
ジャスミンの花言葉からのイメージ
ジャスミンの花言葉は『愛らしさ』や『愛想の良い』です。見た目のかわいらしさにぴったりの花言葉ではないでしょうか。
花の色別の花言葉もあり、白は『温和』『従順』で、黄色は『優雅』『優美』です。それぞれの色の持つイメージにマッチしていると言えるでしょう。いずれの花言葉も人に愛される人物像が浮かび上がり、ポジティブなイメージがあります。
まとめ
『茉』は『茉莉花』と書いてジャスミンを意味します。女の子の名前に使われることもあり、ジャスミンの見た目や香りの高さ・花言葉などのイメージから、高貴で心穏やかというポジティブなイメージがある漢字と言えるでしょう。