内容を理解した上で何らかの行動をしてほしいときなどに、『ご確認の上』と使うことがあります。当たり前のように使っていても、正しく理解できているか自信がない人もいるのではないでしょうか。意味を確認するとともに、関連語についても解説します。
「ご確認の上」とは?
ビジネスシーンでよく使用される言葉ですが、正確に意味を問われると自信がない人もいるのではないでしょうか?
お願いする際に多く用いられる『ご確認の上』について、その意味を再確認しておきましょう。
「確かめたのちに」の意味を持つフレーズ
『ご確認の上』は、『確認』と『上』の二つの言葉から成り立つ言い回しです。内容を理解・把握するための『確認』に接頭語の『ご』をつけて、丁寧な表現にしています。
そして、助詞の『の』を挟み、『上』と続けます。ここでの上は位置としての『上下』ではなく、『~したのちに』『~してから』という意味で使われています。
このように組み立てられた『ご確認の上』は、『確かめたのちに』という内容を示しています。相手に対して、理解してから何らかの行動を要請する際に用いる表現です。
「ご確認のうえ」と平仮名表記もできる
日本語では、漢字と平仮名のどちらを使用するべきか迷う表現があります。『ご確認の上』についても、ビジネスシーンでは『上』『うえ』のどちらを使用しても問題ありません。
新聞などでは誤読を防いだり難読を避けたりするために、平仮名表記することがあります。しかし、『ご確認のじょう』と読み間違えるケースはほぼないでしょう。
『上』『うえ』どちらを使用しても間違いではありませんが、平仮名が続くようなら『上』とし、漢字が並ぶときは『うえ』とするなど、前後の文章でバランスをとってもよいでしょう。
「ご確認のほど」との違い
『ご確認のほど』は、『ご確認するように』と解釈します。『~するように』という言葉は、何かを仕向けているようにも感じられます。しかし実際には、断定を避け、表現を柔らかくすることを目的に使われる言い回しです。
『ご確認お願いします』では、強制的で命令口調のように受け取る人がいるかもしれません。一方、『ご確認のほどお願いします』と伝えることで、ソフトな印象が生まれます。
「ご確認の上」を用いて連絡を取る
物事を前に進めるために、相手とやりとりをすることはよくあります。そのため、こちらの申し出を理解してもらったのちに、具体的に何かしてほしいと期待する場面も少なくありません。
『ご確認の上』を適切に使用して、確実なコミュニケーションにつなげましょう。
「ご確認の上ご連絡をお願いいたします」
相手に伝えた事柄に対して、可否の判断などレスポンスを求めるにあたって活用できる言い回しです。ビジネスシーンでは頻繁に用いられる表現でもあるでしょう。
認識するだけでなく、その後に何かしてもらう必要がある場合には、返答や回答を確実にもらわなければなりません。仕事上のやり取りでは頻繁に使われる表現なので、例文と併せて覚えておきましょう。
また『お願いいたします』は厳密には二重敬語だと考えられていますが、ビジネスシーンでも広く使われており、問題はないとされています。
・お忙しいとは存じますが、ご確認の上、内容に間違いがないかご連絡をお願いいたします。
・日時と場所をご確認の上、出欠についてご連絡をお願いいたします。
連絡を依頼した後の対応
メールの返信を求められた場合は、24時間以内に返すことがビジネスマナーとされています。それ以上時間が空いてしまうと、「忘れられているのかもしれない」と、相手側に不安を与えることになるためです。
しかし、メールを送ってすぐ確認の連絡を入れてしまうと、強く催促されているように感じ、相手が気分を害してしまう可能性もあるでしょう。 目安として数日程度の間隔を空けてから、受信確認のメールを送信しましょう。
確認メールは、できるだけ午前中に送信します。相手に、その日のうちに対応できる時間的な余裕を作るためです。また、返事についてはあらかじめ余裕を持った期限を設定しておくと、相手の気持ちも楽になります。
注意してから行動に移してほしい場合
『確認の上』という言葉は、『より注意を払ってほしい』と促す場合に使用することもあります。
『メール受信後の行動を間違えないように』『意味の捉え違いをしないように』と、念を押すような場面でも効果的な言い回しです。
「ご確認の上、お申し込みください」
例えば販促会やイベント、プレゼント企画の募集をする場合、希望者に参加や応募の意思を示してもらう必要があります。そのようなときに、募集する側と応募する側双方の認識が一致していないと、思わぬトラブルにつながりかねません。
主催者側には、希望者が申し込みをするときに間違いや行き違いが起こらないよう、慎重な対応が求められます。
募集要項の内容を理解し、必要な条件を満たした上で申し込んでほしいとお願いする際に使用できるフレーズを紹介しましょう。
・参加条件が限られておりますので、よくご確認の上、お申込みください。
理由や「必ず」を足して要望を正しく伝える
より強く理解・把握を促すために、手違いがあると問題が生じる理由を合わせて伝えることも有効です。背景が理解できれば、相手も慎重になろうと考えてくれることが期待できます。
・記入漏れがあると応募資格がなくなるため、記載内容をご確認の上、お申し込みください。
また、『必ず』など強い表現を足して注意喚起することも、相手に思いをしっかりと伝えることにつながります。
・費用は当選と同時に銀行口座より引き落とされますので、必ずご確認の上、お申し込みください。
「ご確認の上」の関連語
その他にも、理解してほしい旨を伝える表現はいくつもあります。幅広い言い回しを身に付け、状況に合った言葉を選びましょう。
「ご一読の上」
『ご一読(いちどく)』は、『読んでください』という意味です。一度読むことを指す『一読』に、接頭語の『ご』を付け、尊敬の表現になります。
ビジネスの場で目上の人に使える表現であり、自分自身の行為には使いません。相手にメールや資料を読んでもらうために使うので、後ろに丁寧な表現を付けることで、より適切に使うことができるでしょう。
・お時間があるときにご一読の上、ご意見を賜れれば幸いです。
「ご査収の上」
『査』には、目を通すということ以上に、『調べる』という意味が含まれています。単に中身を見るだけでなく、自分なりに調べ、検討することまで求める言葉です。
『収』は『おさめる』の意味なので、『ご査収の上』は『お受け取りになり、ご検討を加えた後に』という内容になります。
・本事業計画書案をご査収の上、先方への提出の可否をご判断いただきたくお願い申し上げます。
「ご参照の上」
『参』は『交わる・関わり合う』という意味、『照』は『照らし合わせる』という意味がある言葉です。そのため、『ご参照』は『二つ以上のものを突き合わせて確かめる』という意味で使われます。
例えばプレゼンの場で、スクリーン上の表だけでは説明不足になるため、別に配布した手元の資料も同時に見てもらう、というケースなどで使いましょう。
・このグラフをより詳しく理解していただくために、お手元の資料5ページの表をご参照の上、引き続き説明をお聞きいただければと存じます。
まとめ
物事を確実に進めていくには、相手との意思疎通や合意形成をしっかりと行い、業務を前に進めていく必要があります。
チェックとレスポンスを同時に求めるケースも多く、『ご確認の上』は使用する場面の多い言葉です。適切に使用して、良好なコミュニケーションに役立てましょう。