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「ご承認」はどんなときに使う言葉?申請依頼やお礼の例文も紹介

2021.06.29

相手に何かを認め許してもらうような場合に『ご承認』を使用します。『ご承認』は『ご了承』『ご承諾』と似ていますが、使い分けが必要です。意味を解説すると共に、言い回しや類語の使い方についても紹介します。

「承認」の意味や使い方は?

『承認』は、ビジネスシーンにおいて、比較的使用する機会の多い言葉といえるでしょう。自分の判断だけでは組織全体の決定とすることはできず、多くの人の合意がなければいけません。

しかし、『承』や『認』を用いた言葉は多数あります。一見すると同じように思えても、意味は異なります。そこで、『承認』の意味を再確認することから始めましょう。

正当であると認めること

『承認』とは権限を持っている側が、申し入れられた事柄が正当であると認めることを指している言葉です。上下関係のある組織体系においては、よく使用されるものといえます。

元来『承』には、高位の人から物事を授かるという意味があります。両手で偉い人を担ぎ上げている様子を表していることからも、人をあがめていることが分かります。

『認』は、その字の示す通り認めることです。二つの漢字を熟語として、自分より上の立場や権限のある側から、妥当であるとされることを表しているのです。

基本的には、相手からの申し入れや申請を『聞き入れる』ことに対して使用します。また、法的には国の関係性や独立性を国際法上の主体として認めることも指している言葉です。

「上司に承認を求める」のように使う

『承』の字には、そもそも高位の人を敬う意味が含まれていることから、上司や顧客など、自分よりも立場が上の相手に対して使用することが望ましい言葉です。

同僚と打ち合わせを進め、その内容を上司に認めてもらいたいときに、次のように使用します。

・部長に承認を求めよう。
・役員会での承認が得られた。

自分より目上の人とのやり取りに使うので、「君の承認が必要だ」というように同僚や部下との確認時に使用することは控えましょう。

承認を依頼するときの注意点

『承認』は使用頻度の高い言葉だけに、配慮を欠いた使い方をすると、相手の気分を害してしまう可能性もあるため、適切に用いることが大切です。

要点をわかりやすく記載する

承認を得る際の文書は、要点を分かりやすく簡潔に記載することが求められます。相手は忙しい身であることを理解し、不要な言葉を多用して、ダラダラとした内容を宛てることは厳禁です。

上司や大切なお得意様に何かをお願いする場合、慎重になり過ぎて、つい余計な言葉を交えてしまいがちです。しかし、そのことが内容を分かりにくくする原因にもなります。

大量の申請などを処理しなければならない立場の人にとって、要領を得ない内容は理解に時間が取られ困るものです。『何を』『いつまでに』『なんのために』など、必要なことを明確に記載するようにしましょう。

「ご承認ください」はやや一方的

『承認』は目上の人に認めてもらうことを意味しているため、接頭語の『ご』と『ください』を付けて敬意のある言葉にすれば、問題はないだろうとも思えます。

しかし、『ご承認ください』は目上の人に使うのは避けた方が無難です。相手に選択肢を提示するわけでもなく『聞き入れてください』という意味になるからです。

目上の人に使う場合は、『ご承認のほどお願い申し上げます』などとしましょう。

「ご承認」の言い回し

目上の人に対し『ご承認ください』という表現では、やや一方的な印象を与えてしまうのであれば、どのようなフレーズが望ましいのでしょうか?『ご承認』を用いて、問題なく使用できる言い回しについて紹介します。

「ご承認のほど」

『~のほど』とすることで、表現を和らげる効果が得られます。何かをしている状態を表しており、『ご承認のほど』とすることで、認めるための思案や検討をしている様子を指す言葉になります。

加えて、『よろしく』などのクッション言葉を交えたり、『する』の謙譲語である『いたす』を用いたりして相手の立場を持ち上げながら、フレーズ全体をソフトにすると効果的です。

・A顧客への新商品提案の企画書に対して、ご承認のほどよろしくお願いいたします。

「ご承認賜りますよう」

『賜る』には、『与える』ことを意味する尊敬語と、『授かる』ことを意味する謙譲語の二つの側面があります。

目上の人が厚意や意見、品物をくださるというシーンでは、尊敬語として用います。相手にお願いをする場合に使える、品位が漂う丁寧な表現といえるでしょう。

・ご検討のうえ、弊社サービスの導入をご承認賜りますよう心よりお願い申し上げます。

「ご承認いただき」

『いただく』を続けることで、相手との立場を明確にしながら使用することもよいでしょう。へりくだることで、相手が高位であることを前提としながら要請できます。

『いただく』は『もらう』の謙譲語です。「けっこうなお品物を頂きまして」というように使用します。

ただし『ご承認』をはじめ、『ご理解』『ご承諾』といった言葉と合わせて使う場合には、ひらがなで表記するのが一般的です。『頂く』を補助動詞として用いるときは『ご承認頂く』ではなく、『ご承認いただく』とします。

・この度は、私の提案をご承認いただけたことに深く感謝申し上げます。

承認の類語とビジネスで使えるフレーズ

何かを認めてもらうための言葉として、似たようなものがいくつかあります。ときとして、活用法に迷う場合もあるでしょう。

仕事でよく使う同様の言葉として『ご了承』『ご承諾』があります。これらの意味と活用例について見てみましょう。

目上の人が受け入れる「ご了承」

『了』には、完了などで使用する場合に見られるような、『終わる』という意味があります。合わせて、物事の意味を『悟る』『知る』といった意味も備えています。

『承』は、相手からの意図や願いを引き受けることや、上位から下位へ伝える・受け継ぐことを指しています。

そのような字が熟語となっていることから、『ご了承』は提案や要請について受け入れた様子を示す言葉といえます。

・訪問日時の変更に関しまして、ご了承いただき誠にありがとうございます。

進んで受け入れる「ご承諾」

『諾』は、『だく・諾なう(うべなう)』と読み、返事をする、願いや要求を引き受けるという意味があります。一方、相手からの要請を積極的に引き受けることも示すものです。

『積極的に』という点に特徴があり、そこが『承諾』と『了承』の違いにもなっています。

『了承』が、相手の判断や印象を加味せず、単に認めてほしいというニュアンスであることに対して、『承諾』は全てを納得したうえで受け入れることです。より深い同意を示しているといえます。

・弊社の要望をご承諾いただけましたことは、この上ない光栄と存じます。

承認を得るときに使えるやわらかい表現

相手に理解や同意を求める場合には、できるだけソフトにアプローチすることが肝心です。承認を求めるにあたって使用できる、やわらかい表現について紹介しましょう。

「伺いたく存じます」

『伺う(うかがう)』は、どこかに行く・訪問することを指すと同時に、様子を見るという意味合いも持っています。これが転じて、相手の気持ちを確かめることを指す謙譲語としても位置づいているのです。

そちらに行くことや、目上に確認する意味があることから、承認をもらうことを求めるにはふさわしい言葉といえるでしょう。

・先日お届けしました提案書についてご承認を賜りたく、後ほど伺いたく存じます。
・弊社を指名企業としてご承認いただけるかどうか、伺いたく存じます。

「ご検討をお願いいたします」

相手に検討してほしいときに使う言葉で、ビジネスシーンではよく登場する敬語です。検討に『ご』を付けて敬意のある言葉とし、謙譲語の『いたす』で締めくくることで、相手の優位性を示しています。

『ご承認いただきますよう~』といきなりお願いにつなげるよりも、『ご検討』を入れることで「ぜひじっくりとご考慮ください」という雰囲気が加味されます。ワンクッション入れることで、ソフトな印象を与えられるでしょう。

・商品の入れ替えをご承認いただけますよう、ご検討をお願いいたします。

まとめ

ビジネスシーンでは、上司や取引先との合意を丁寧に取りつけながら仕事を進めることが不可欠です。意思形成の順序や方法を間違えると、後で大きなトラブルになりかねません。

『ご承認』は、理解・納得してもらいながら仕事を前に進める上で、使用する機会が多く大切な言葉の一つといえます。正しく使って、的確に業務を行いましょう。

 

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