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「何卒ご了承ください」をより丁寧に伝えるには?

2021.07.13

相手に何かを分かってほしいときなどに、『何卒ご了承ください』という表現を使うことがありますが、より丁寧な言い回しはあるのでしょうか。言葉の意味を再確認するとともに、クッション言葉を交えた使い方も知っておきましょう。

「ご了承ください」は丁寧さに欠ける?

『ご了承ください』は敬語としては間違っていなくとも、どこか素っ気ない感じに思えるため、目上の人に使用してよいか迷うこともあります。丁寧さが不足していると感じられることもある言い回しです。

敬意が込められている言葉ではありますが、正しい表現かどうか理解するためにも、まずは意味を正しく認識しておくことから始めましょう。

そもそも「ご了承」の意味は?

『了承』は、相手・他者からの申し入れなどに対して、理解し、受け入れることを指しています。

『了』は、終了や完了で用いられる場合は終わることを示し、『了とする』となると、分かる・悟ることです。『了承』では、後者の『分かる』として用いられています。

『承』は、高位の者から何かを授かる意味を備えた言葉です。両手で相手を抱き上げている様子からできた文字で、そもそも相手が自分より身分が高いという前提があります。

この二つが熟語となることで、『認める』『受け入れる』ことを表す言葉となっています。

「ご~ください」は注意したい敬語

『ご』を付けることで敬意を盛り込んだ尊敬語にできるため、『ご了承ください』に失礼はなく、敬語として成り立っています。

ただし、『ください』は何かすることを命じる意味のある敬語のため、指図する意味合いに不快感を抱いてしまう人もいます。このような点で、『ご了承ください』は注意したい敬語といえるでしょう。

また『ご了承ください』は、誰にでも丁寧に物事を伝えるという考えで、同僚や部下に使用する人もいますが、正しい用法とはいえません。なぜなら『承』には、既に相手が目上である意味が備わっているからです。

「~のほどお願い申し上げます」を使うとより丁寧

『ください』を避けるとなると、どう伝えたらよいか迷う人もいるでしょう。その場合に活用できるのが『のほどお願い申し上げます』を使う言い回しです。物事を受け入れてほしい場合に、より適した表現といえるでしょう。

『願い』に『お』を加えて丁寧な言葉とし、自分を下げ相手を高める謙譲語である『申し上げ(る)』と続けて丁寧語の『ます』で締めくくっています。こうすることで、指示や命令をせずに丁寧なお願いができます。

丁寧なお願いに必要なクッション言葉

丁寧なだけでなくソフトな印象を加味するために、クッション言葉を用いることは有効です。効果的なものについて紹介しましょう。

どうぞの意味を持つ「何卒」

特に強い気持ちでお願いする姿勢を伝えるために用いる言葉です。読み方は『なにとぞ』となります。

『どうぞ』という言葉と同様の意味を持ち、それを硬い表現としたものです。また、期待するニュアンスも備わっていて、相手に強くお願いし、よい方向に進む結果を願っている意味になります。

・何卒、ご了承のほどよろしくお願いいたします。
・何卒、お許しを賜りますよう深くお願い申し上げます。

このようにすれば、受け入れてもらってよい結果につながる期待や、どうしても許してほしい気持ちを失礼なく表現できます。

配慮の気持ちを示す「恐れ入りますが」

謝罪や感謝の意を表し、自分がへりくだり、相手を持ち上げるときや依頼するときに添える言葉です。相手に面倒や手間・心労を掛けるであろうことに対して、配慮を示す効果があります。

・恐れ入りますが、ご了承のほどお願いします。
・お時間がないところ恐れ入りますが、ご確認のほどお願い申し上げます。

このような表現で、相手に苦労や手間を掛け恐縮だという気持ちを添えられます。

了承を得たいときに使えるフレーズ

理解を得る表現は、他にどのようなものがあるのでしょうか。別の言い回しについて見てみましょう。

「何卒ご理解賜りますようお願いいたします」

『賜(たまわ)る』は、『もらう』の謙譲語です。高い位にある人や目上の人から、何かを授かる際に使用します。してもらうことを表す際に、より尊敬の念が含まれた言葉といえるでしょう。

了承の『承』も、相手が自分より高位にある意味を含んでいます。そのため、『ご了承賜る』とすると、ややくどい印象があります。

そのため、分かってほしい意を伝えるには、『何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます』と『ご理解』を使用するとよいでしょう。

まとめ

多くの人と接しながら仕事をしていると、確実に物事を伝えたい、分かってほしいと願う機会は多いものです。そして、その気持ちを正しい表現で伝えなければなりません。

そのため『ご了承』は使用機会の多い言葉の一つです。何の気なしに使いがちな『ください』を見直しながら、適切な活用法を身に付けましょう。

 

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