仕事の場でよく使われている「お疲れ様です」は、目上の方が相手でも使えるのでしょうか?「お疲れ様です」が本来持っている意味や、シーンに合わせた言い換え表現などを紹介します。
ビジネスでの「お疲れ様です」の意味
「お疲れ様です」は仕事に行くと、必ずといっていいほど耳にする言葉です。身近な言葉を正しく使えているか再確認するためにも、意味や一般的な使われ方をおさらいしましょう。
相手をねぎらう際にかける言葉
1日仕事をすると、帰宅するときには疲れている人が多いでしょう。職場で会う人に対して仕事の疲れをねぎらうとき、「お疲れ様です」を使います。
目下から目上に対しては「お疲れ様です」、目上から目下に対しては「お疲れ様」と敬語を付けずに言うケースが多いでしょう。
一緒にプロジェクトや作業をやり遂げたメンバー同士で、「お疲れ様」と声をかけ合うこともあります。
あいさつ代わりに使うのも一般的
「お疲れ様です」は本来持っているねぎらいの意味合いが薄れ、あいさつとして用いるのも定着しているフレーズです。職場では廊下ですれ違うときや用事があって声をかけたい場合などに、「お疲れ様です」と声かけします。
ただし本来の意味を考えると、仕事が一段落したタイミングや1日の仕事が終わるタイミングで使うのが適切です。
特に出社してこれから仕事を始めようというときのあいさつに「お疲れ様です」を使うと、違和感を覚える人も多いでしょう。
「お疲れ様です」は敬語として正しい?
日常的に使うことが多い「お疲れ様です」は、目上の相手に使っても問題のない表現なのでしょうか?丁寧さをプラスできる言い回しも見ていきましょう。
目上の人にも使える表現
先輩や上司から「お疲れ様」と声をかけることも多いため、こちらから目上の相手へ使うと失礼に当たる言葉なのではないか?と考えている人もいるかもしれません。
ビジネスマナーを試す秘書検定では目上の人に対して使ってよい表現としているため、先輩や上司に「お疲れ様です」と言うのは問題ないといえるでしょう。
相手によってはより丁寧な言い方を
現代では「お疲れ様です」を目上へのあいさつとして慣例的に使っていますが、ねぎらいの言葉は本来目上から目下にかけるものであるため、失礼と感じる人もいます。
社内でも気にする相手には『です』を『ございます』に変え、「お疲れ様でございます」と伝えましょう。「お疲れ様です」に比べて丁寧に伝えられます。
聞き慣れないと誤用のように感じられるかもしれませんが、正しい敬語表現のため問題ありません。かしこまった言い回しで、かなり目上の相手へも使える表現です。
ただし取引先やお客様など社外の人に対しては、『お疲れ様』自体を使わないのが適切です。いくら丁寧な言い回しにしても、本来目下に対してかけるねぎらいの言葉であることは変わりません。
「お疲れ様です」の言い換え表現をチェック
「お疲れ様です」は社内なら上司にも使えて便利なフレーズですが、状況によっては別の表現をした方がよい場合もあります。相手や時間帯・シチュエーションなどに合わせ、適切な言葉を選びましょう。
来客には「ご足労をおかけしました」
お客様が来たときのあいさつとしては、「ご足労をおかけしました」が適切です。「来ていただきありがとうございます」という感謝の気持ちや、交通機関を乗り継いだり運転したりといった道中の疲れへのいたわりを表せます。
遠方から足を運んでくれたお客様に対しては、「本日は遠いところご足労をおかけしました」と伝えましょう。「ご足労いただきありがとうございます(恐縮です)」なども同じように使えるフレーズです。
「お越しいただき〜」や「ご来訪いただき〜」なども、「ご足労をおかけしました」と同じく、お客様が来たときにのあいさつに使えます。
出社時のあいさつは「おはようございます」
疲れをねぎらう意味で使われる「お疲れ様です」は、出社したときやまだ仕事が始まって間もない時間帯のあいさつには不向きです。通勤途中や始業開始直後のタイミングであれば、「おはようございます」と伝えましょう。
職場に限らず日常的に使う表現ですが、『ございます』を使った敬語表現のため目上の相手に使っても失礼に当たりません。
出勤後すぐでなくても、その日午前中に初めて会うときには「おはようございます」を使います。ただし昼近くになると「おはようございます」では違和感を覚えるかもしれません。
先に帰るときは「お先に失礼します」
目上の人が残っている職場で先に帰るときには、「お先に失礼します」を使います。先に帰るときに「お疲れ様です」を使う人もたまに見受けられますが、現在進行形で仕事をしている人にかける言葉としては違和感があるでしょう。
「お疲れ様です」は疲れをねぎらう言葉です。本来の意味を考慮するのであれば、帰るときには「お先に失礼します」・帰る人への返事には「お疲れ様です(でした)」が適切といえます。
まとめ
「お疲れ様です」は疲れへのねぎらいやあいさつとして、日常的によく使うフレーズです。正しい敬語表現のため、目上の相手に対して使っても問題ありません。
丁寧さに欠けると感じるときには、「お疲れ様でございます」とすれば丁寧です。ただし本来ねぎらいは目上から目下へするものという認識を忘れず、社外の人には使わないよう注意しましょう。
相手や状況に合わせて「ご足労をおかけしました」「おはようございます」「お先に失礼します」と使い分ければ、周囲に与える印象がよくなるでしょう。