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「存じます」の意味は2種類ある!言い回しや使い方のコツを解説

2021.04.05

『存じます』は『思う』『知る』という二つの意味によって、使い方が変わる敬語です。それぞれの意味での用法をチェックし、正しく活用しましょう。よりスマートなやり取りを実現する使い方のコツも併せて紹介します。

「存じます」の一つめの意味と言い回し

『存じます』には二つの意味があります。それぞれの意味によって使う場面も変わるため、意味と用法を正しく理解しましょう。まずは一つめを紹介します。

「思います」という意味

『存じます』には『思います』という意味があります。『存じます』の元の形である『存ずる』は『思う』の謙譲語です。『存ずる』と丁寧語『ます』から、『存じます』というフレーズが成り立っています。

この意味で使う場合『存じます』単体ではなく、『〜と存じます』の形で「何を思っているのか」を伝えるのが通常です。

・おっしゃる通りだと存じます。
・この件に関しては、さらなる検討が必要かと存じます。

謙譲語は自身の動作を低めて相手を立てる敬語のため、単なる丁寧語である『〜と思います』より表す敬意の程度は高くなります。基本的に目上の相手に対して使う表現です。

「いただきたく存じます」

何か依頼したり許可を求めたりするときにも、『存じます』を使うと丁寧な言い回しになります。「〜していただきたいと思っています」と言うより「〜いただきたく存じます」の方が、相手への敬意が伝わるでしょう。

例えば目上の相手に資料の内容を確認してもらいたいときは、「資料の内容をご確認いただきたく存じます」と伝えます。

取引先から新しい提案を受けた場合は、「ご提案いただいた件、ぜひ前向きに検討させていただきたく存じます」と伝えると好感を持ってもらえるでしょう。

ただし『(さ)せていただく』の形は、相手からの依頼や許可がないときには使えない点に注意が必要です。

「〜と存じますが」

こちらから依頼をするシーンで謙虚さを出したい場合は、『〜と存じますが』という言い回しが効果的です。

例えば打ち合わせの日時を提案したいとき、忙しい相手に時間を割いてもらうときなどに用います。

・今週の金曜に打ち合わせのお時間をいただきたく存じますが、いかがでしょうか。
・ご多忙のことと存じますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

「いただきたいと思いますが」「ご多忙のことと思いますが」より、へりくだった印象で丁寧に伝えられる言い回しです。

「存じます」の二つめの意味と使い方

『思います』の他にはどのような意味があるのでしょうか?二つめの意味と使い方を理解した上で、対象による使い分けも覚えましょう。

「知っています」という意味

二つめの意味は『知っています』です。目上の人から言われたことや取引先とのやりとりの中で、すでに自分が知っている場合に用います。

・はい、その案件につきましては存じております。
・ご連絡いただきました件、存じております。

反対に知らない・分からない場合は、『存じておりません』を使いましょう。

「その件に関しましては、存じておりません」「大変申し訳ございませんが存じておりませんので、一度確認した後のご連絡でもよろしいでしょうか」と表現します。

より丁寧な「存じ上げます」は人に使う

『存じます』は知っている対象を限定しないのに対し、似た言葉の『存じ上げます』は人に対して用いる言葉です。『上げる(あげる)』は謙譲のニュアンスをプラスする表現で、『存ずる』に加えると『存じ上げます』になります。

『存じます』よりも丁寧になるため、目上の相手のことを知っていると伝えたいときに活用しましょう。

・御社の社長のことは存じ上げております。
・ご担当者様は存じ上げております。

すでに知っている会議の日程を伝えられたときに「その件は存じ上げております」とは言わないため、混同しないよう注意が必要です。

「存じます」を上手に使うコツ

『存じます』はビジネスシーンにおいて便利な表現の一つですが、『思う』の意味で使う際に注意すべき点があります。どのような点に気を付けると、『存じます』を上手に使いこなせるのでしょうか?

同じ文章内で多用しない

『存じます』にはとても丁寧な印象がある分、同じ文章内で何度も使うとしつこく感じられてしまいます。文章が不自然になり、読みにくくなってしまう点もデメリットです。

メールを書いたら、送る前に一度文章全体を見直してみましょう。『存じます』が多く違和感を感じる場合は、一部を『思います』に変えて対処するのがおすすめです。

『思います』には『存じます』ほどの丁寧さはないものの、正しい敬語であり代用しても失礼には当たりません。

シンプルで柔らかい表現と使い分ける

『思います』を使うと柔らかい印象に、『存じます』を使うとかしこまった印象になります。表現一つで印象が大きく変わるため、相手や状況に合わせて使い分けることが大切です。

目上の人や取引先に対しては敬意を示すために『存じます』を、同僚や部下・距離が近い上司に対しては、堅くなり過ぎない『思います』を用いるのがよいでしょう。

まとめ

『存じます』は丁寧な言葉であり二種類の意味を持っているため、正しい使い方や言い回しを知っているとビジネスシーンで役立ちます。

目上の人や取引先に対して『〜してほしい』と伝えるときに適切なのは、『〜していただきたく存じます』という言い回しです。

物事や人をすでに知っていると伝えたい場合は、『存じております』『存じ上げております』と言うと角が立ちません。

ただしビジネスメールで多用すると不自然な文章になったり、同僚や部下との簡単なやりとりで使うと堅くなり過ぎたりする場合もあります。使う頻度や相手に気を付けて活用しましょう。

 

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