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「お世話様でした」はビジネスシーンでの使用はNG?

2021.04.02

『お世話様でした』は日常的に耳にすることのある言葉ですが、目上の人やお客様に対しては失礼に当たります。ビジネスシーンでは別の表現に言い換えて、相手に対する敬意を示しましょう。「お世話様」と言われた場合の返し方も紹介します。

何気なく使う「お世話様でした」とは

仕事やプライベートで誰かにお世話になったとき、「お世話様でした」と声をかける人も多いでしょう。相手へのねぎらいや感謝がこもった言葉ですが、目上の人や取引先の相手に使っても問題はないのでしょうか?

「ご苦労様」や感謝の意味がある

宅配便を届けてくれた配達員や回覧板を持ってきてくれた近所の人に対して、「いつもお世話様です」「お世話様でした」とあいさつをする人は多いでしょう。

『お世話様』は『ご苦労様』と『ありがとうございました』の両方の意味を含んだ言葉で、何かをしてくれた相手に感謝やねぎらいの気持ちを込めて使います。

会社でも耳にすることはありますが、どちらかといえば日常生活でよく使われる表現でしょう。一部の地域では、普段の軽いあいさつ代わりに使われているようです。

・「〇〇さん、お届け物です。」「(受け取った後)お世話様でした。」
・「回覧板を持ってきました。」「(受け取った後)お世話様でした。」

「お世話様」は目上の人に使わない

『お世話様でした』には丁寧・尊敬の接頭語『お』と丁寧語の『です』が付いていますが、目上の人や大切なクライアントに対して使うのは好ましくありません。

「お世話になりました」「ありがとうございました」を省略した表現のため、やや丁寧さに欠けるためです。目下の相手から「お世話様でした」と言われれば、あまりいい気はしないでしょう。次のように言い換えるのがベターです。

・(上司に対し)昨日はお世話様でした。→昨日はお世話になりました。
・(電話でクライアントに対し)お世話様です。→いつもお世話になっております。

「お疲れ様でした」も類語といえる

『お世話様でした』の類語として『お疲れ様でした』が挙げられます。相手の労をねぎらう意味があり、目上の人が目下の人に使うのが元々の使い方です。

本来部下が上司に対して「会議、お疲れ様でした」と言うのは好ましくありませんが、近年は社内ではあいさつ代わりに用いられることも多いようです。

上司に対しては「お疲れ様でございます」や「ありがとうございました」とあいさつするのがベターでしょう。

同じく労をねぎらう言葉に『ご苦労様』があります。こちらはあいさつ代わりに広く使われている「 お疲れ様でした 」と違い、目下が目上に使うのはNGです。

お世話になっている相手に使う敬語表現

『お世話様でした』は、同僚や知人の間で使えるフランクな表現です。目上の人に対してはより丁寧な表現を使いましょう。ビジネスでも問題なく使える敬語表現を二つ紹介します。

「その節はお世話になりました」

相手のサポートを受けたときや目上の人からよくしてもらったときは、しっかりと感謝の気持ちを伝えましょう。

『その節はお世話になりました』は、過去に付き合いのあった相手と再会した際に用いる表現です。『その節』とは、自分と相手の両方が関わっている「過去のある事柄」を指します。

プライベートの関係や近しい間柄であれば「その節はどうも!」で構いませんが、目上の人や取引先に対しては「その節はお世話になりました」と省略せずに伝えましょう。

「いつもお世話になっております」

毎回お世話になっている相手に対しては、『いつもお世話になっております』という表現が適しています。

『お世話様です』との大きな違いは、ねぎらいのニュアンスが含まれていないことです。目上の人や取引先にも問題なく使える表現で、電話口での一般的なあいさつとしても定着しています。

『おります』の『おる』は、動作の継続を表す補助動詞です。『いつも』という言葉があるとおり、1回や2回お世話になった人ではなく関係が継続している相手に対して使います。

覚えて活用したい、日頃の感謝を伝える表現

目上の相手に対しては、ねぎらいではなく感謝の言葉を伝えましょう。相手を立てる正しい敬語表現を使えると、印象がグッとよくなります。

「お引き立てくださりありがとうございました」

過去にお世話になった相手に使う表現です。『引き立て』には、『贔屓(ひいき)』『愛顧(あいこ)』『支援』などの意味があり、主に商店や企業が顧客に使う言葉として定着しています。

『くださる』は『与える』の尊敬語で、『お(ご)~くださる』の形で相手への敬意を示します。社内の人に対しても使えますが、やや硬い表現のため相手とシーンを選んだ方がよいでしょう。

ビジネス文書では「平素より格別のお引き立てを賜り、ありがとうございます」という表現が使われます。

「ご愛顧いただきありがとうございます」

『愛顧』には『目をかけ引き立てること』という意味があります。元々は芸人や商人が得意客に対して使う言葉でしたが、現代ではビジネスシーンでも重宝されています。

一般的に、お世話になっている『取引先』や『顧客』に使える表現と考えましょう。身内である上司に対して「ご愛顧いただきありがとうございます」とは言いません。

ビジネスメールでは、冒頭のあいさつとして「平素より弊社サービスをご愛顧賜りまして、誠にありがとうございます」という表現が用いられます。

「お世話様」と言われたときの返し方

「お世話様でした」と相手から言葉をかけられた場合、どう受け答えをしたらよいのでしょうか?相手との関係性や立場を考慮した言葉を選びましょう。

自分からも感謝の気持ちを伝える

『お世話様でした』は、「お世話になりありがとうございました」や「ご苦労様でした」という言葉を省略した言い回しです。相手から声をかけられた場合は、こちらも感謝の気持ちを伝え返しましょう。

同格の相手に対しては「こちらこそお世話様でした」と返します。相手が自分の顧客であった場合は、「ありがとうございます」「またよろしくお願いいたします」と言うのがベターです。

まとめ

社内や日常生活において『お世話様』の意味を深く考えずに使っている人は多いものです。しかしねぎらいの意味が含まれている言葉は、本来目上の相手に対しては使えません。

ビジネスシーンで使うときは、「お世話になりました」「いつもお世話になっております」などに言い換えましょう。

取引先の相手や顧客に対しては「ご愛顧」や「お引き立て」という言葉が使えます。

 

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