『失礼します』はビジネスシーンでもよく使われるフレーズです。意味や適切な使い方を知ることで、状況に合ったやり取りができるようになるでしょう。具体的な使用シーン、依頼や断りに役立つ表現も併せて解説します。
「失礼します」が持つ意味と使い方
『失礼します』はビジネスシーンで幅広く使われている言葉です。意味とより丁寧に伝える方法をチェックしましょう。
許しを求める、おわびなどの意味
『失礼』は「礼儀を欠く」「礼儀をわきまえない」という意味の言葉です。『失礼します』は『失礼する』の丁寧語で、自身がする礼儀のない言動に対して使います。
「礼儀に欠ける言動をします」という意味で、非礼に対して許しを求めたりわびたりする場面で使うの本来の使い方です。しかしビジネスシーンでは、入室時など日常的なあいさつにも使われています。
『失礼します(しました)』は目上の相手に謝罪する場合には使えません。失敗や手違いで相手に迷惑をかけたときは、『申し訳ございません』『お詫び申し上げます』など、敬意を含んだ言葉を使いましょう。
「いたします」を使うと丁寧
『失礼します』と『失礼いたします』はどちらも同じ意味ですが、『失礼いたします』の方がより丁寧な印象を与えます。
面接や上司との面談・大事なプレゼンなどの場合は、相手に敬意を表する意味を込めて『失礼いたします』を使うとよいでしょう。
また『失礼いたします』の過去形『失礼いたしました』は、上司など社内の人に対する軽い謝罪にも使えます。例えば廊下でぶつかったときなど、失礼な振る舞いをしてしまったときです。
「失礼します」を使う場面の例
『失礼します』や『失礼いたします』を使うのは、具体的にどのようなシーンなのでしょうか?メールや電話・入室時のあいさつなど、使い方はさまざまです。『失礼』をクッション言葉に使う方法もチェックしましょう。
メールや電話のあいさつ、締め
メールでやり取りする際、『失礼します(いたします)』をどこに入れるかで意味合いが変わります。文頭に入れるとあいさつとなり、これから読む時間を頂くこと・対面でなくメールであることに対するおわびの気持ちを表せるのです。
・ご多忙のところ失礼いたします。
・メールにて失礼します。
文末に使う場合は「それでは失礼いたします」のように、締めの言葉として働きます。
電話の場合も話し始めに「お忙しいところ失礼いたします」と伝えれば、相手の時間をもらうことに対する謝罪の表現が可能です。
ただし電話の場合、こちらが目下の立場のときに「失礼いたします」と先に切らないよう注意しましょう。クライアントや取引先との電話では、相手が切るのを確認してからこちらも切るのがマナーです。
入室時、その場から去るとき
部屋に入るときや出るときにも、『失礼します』を使います。この場合の『失礼します』は、謝罪やおわびというより「あいさつ」の意味合いです。
入室時は『失礼します』・退室時は『失礼しました』と使い分けることもできますが、退室時に『失礼します』と言っても間違いではありません。
また職場で他の人よりも先に帰るとき、『お先に失礼します』という表現も使えます。その場から去ることを『失礼』として丁寧に伝える言い回しで、目上の相手にも問題なく使えます。
クッション言葉にも「失礼」を使う
『失礼』は本題に入る前に一呼吸おくための「クッション言葉」にも使われます。『失礼ですが』を最初に付けることで、ストレートに伝えにくい内容も柔らかく伝えられます。
・失礼ですが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?
他には『恐れ入りますが』『申し訳ないのですが』などが、似たニュアンスとして使えるクッション言葉です。スムーズなコミュニケーションのため、クッション言葉をうまく活用しましょう。
断りを入れるときに使える類似表現
ビジネスにおいて、断りを入れたりお願いをしたりするシーンは多くあります。角が立たないような言い回しを覚え、印象のよいやり取りを目指しましょう。依頼や断りに使えるクッション言葉やフレーズを三つ紹介します。
「恐れ入ります」より丁寧な「恐縮ですが」
『恐れ入りますが』は主に依頼のときに使うクッション言葉です。しかしややカジュアルな言い回しのため、取引先へのメールなどにはより丁寧な『恐縮ですが』を使いましょう。
『恐縮』とは文字通り「恐ろしくて身がちぢむ」さまを意味します。相手がしてくれる行為に対して、(身がちぢむほど)「申し訳ない」「ありがたい」という気持ちを表す言葉です。
・お忙しいところ恐縮ですが、明日までにご連絡いただけますでしょうか。
・恐縮ですが、ご検討をよろしくお願いいたします。
・ご迷惑をおかけして恐縮ですが、ご理解いただけますと幸いでございます。
さらにへりくだったニュアンスを出したいときには、強調する『大変』を付ける使い方もできます。
かしこまった印象の「僭越ながら」
『僭越ながら(せんえつながら)』は、かしこまった場やビジネスシーンで使えます。「身の程をわきまえず」「出過ぎたことをしますが」という意味があり、謙虚さを表したいときに使える表現です。
例えば上司に意見を述べるときや、目上の人も出席している会議などで提案をするときに使います。
・(上司に対して)僭越ながら私の意見を申し上げます。
・(会議で)僭越ながら私からも一つ提案がございます。
意見や申し出を謙虚に伝えたいときは、僭越ながらを使いましょう。
関係や状況によっては使える「すみません」
社内の人に対して簡単な連絡をとる場合は、『すみません』を使っても問題ありません。かしこまり過ぎずカジュアルな言い回しにすることで、コミュニケーションが円滑になる場合もあります。
ただ『すみません』は曖昧な表現であるため、社内の人であっても謝罪したい場合には避けた方が賢明です。相手との関係性やそのときの状況によって使い分けるようにしましょう。
まとめ
『失礼します』や『失礼いたします』は、幅広いシーンで活用できるフレーズです。どのような場面で生きる言葉なのかを理解し、正しく使うことが大切です。場合によっては他の表現を選ぶ必要もあります。
目上の人に何かを頼むときは『大変恐縮ですが』、謙虚に意見を伝えたいときは『僭越ながら』など、さまざまな言い回しがあります。バリエーションを増やし、場面に応じて使い分けましょう。