海外出張最大の課題「帰国後待機」が大幅緩和
ようやく本格的に海外出張へ行ける環境が整った。アメリカやヨーロッパなどでは、新型コロナワクチン接種など一定条件を満たすことで、入国後の隔離や待機なしに自由に行動できたが、その一方で最大のネックとなっていたのが帰国後の宿泊施設での待機および自宅での自主待機だった。昨年9月までは最低でも帰国後14日間の自主待機が必要だったのだ。
それが、昨年10月以降はワクチン接種2回完了を条件に最短10日間に短縮。今年になって新型コロナウイルスの主流となったオミクロン株の潜伏期間が短いことから待機期間はさらに短縮された。
3月1日からはワクチン3回目接種が済んでおり、かつ空港到着後の抗原検査で陰性が確認されれば、ほとんどの国から帰国時に自主待機は不要となっている。2回以下であっても、帰国後3日目にPCR検査もしくは抗原検査を受けることで最短3日間の自主待機に短縮された。
さらに、日本入国後にこれまで認められていなかった公共交通機関の利用も現在ではOKとなった。地方都市に住んでいる場合には新幹線や国内線の利用も可能となったのである。公共交通機関の利用にワクチン接種回数は関係ないものの、3日間の自主待機対象の場合は入国時の検査から24時間以内の移動に限られるので注意したい。
出発前に必要な手続きや証明書類のチェックを忘れずに
帰国後の自主待機はなくなったが、海外出張へ出かける前の準備はコロナ前と比べて念入りにしなければならない。
チェックが必要なのは、国によって入国ルールが異なること。例えばアメリカへはワクチン2回接種以上が必須でワクチン接種証明書のほか、日本出発の1日前(24時間前ではなく、出発日の前日もしくは当日に)のPCR検査の陰性証明書が必要となる。また、コロナ前から要した2年間有効の電子渡航認証システム「ESTA」の取得も必須だ。ひとつでも手続きを怠ってしまうと、搭乗予定便に乗れなくなってしまう。
フランスやドイツへの入国は、ワクチン接種証明書だけあれば、日本出発前のPCR検査が不要となっている。ワクチン接種証明書は「マイナンバーカード」があれば海外渡航用をスマートフォンから専用アプリをダウンロードして登録できる。筆者も実際に入れてみたが、数分で接種証明書を取得できた。もし「マイナンバーカード」を持っていなければ、自治体の窓口で申請する必要があるだろう。
帰国便に搭乗する前も日本政府の入国条件として便出発72時間前を切った段階でのPCR検査が現地で必須となる。日本政府が指定したPCR検査方法での陰性証明書でないと飛行機に乗れないので注意が必要。欧米だけでなくタイ、フィリピン、オーストラリアなども入国可能となり、徐々にではあるが出張可能な国が増えている。
今年は海外出張や海外旅行に行く人が少しずつ増加しそうだ。
「マイナンバーカード」があれば、デジタル庁のアプリをインストールし登録することで数分で接種証明書が取得が可能だ。海外向けはパスポートも登録時に必要となってしまうので要注意。
押さえておきたい3つのポイント
【Point 1】まずはワクチン接種証明書を入手する
【Point 2】ワクチン接種回数でルールが異なる
【Point 3】常に最新の情報をチェックする
鳥海高太朗/航空・旅行アナリスト、帝京大学経済学部地域経済学科非常勤講師。
※本記事は「DIME6月号」に掲載されたものです。記事内に記載されている情報は2022年3月31日時点のもので変更になっている場合があります。あらかじめご了承ください。