両替機とは「逆」の機能をもつ
2022年1月17日から、ゆうちょ銀行ATMでは、硬貨入金に、最大、税込み330円/回(預け入れ上限100枚の場合)の手数料がかかるようになった。人口減少や低金利といった社会環境の変化が、銀行の収益環境を悪化させ、硬貨を扱う機器のコストが賄えなくなったと見られる。
キャッシュレス化が進んでいるものの、まだ日本では約5兆円分の硬貨が流通しているため、できるだけコストをかけずに紙幣へ換えたいというニーズは大きい。
その需要に応えるのが「コインスター・マシン」である。この機械に、最大5万円分/回までの硬貨を入金すると引換券が発行され、設置先のスーパーマーケットなどで、紙幣との交換や買い物代金への充当ができる。手数料は9.9%/回で、少額金種の硬貨が多ければ、銀行ATM入金よりコストが安く済む。同機器を手がけるコインスター社のカントリーマネジャ・宇佐美航氏はこう話す。
「このマシンの価値は、単なる両替サービスの提供だけではありません。滞留している硬貨を消費へと導くこともできます。普及させることが、将来的には硬貨の新規鋳造量を減らし、金属資源の節約につながるとも考えています」
かさばり、扱いにくい硬貨を〝厄介者〟ではなく、〝消費者と小売店とをつなぐ有益者〟として捉える。コインスター端末が普及すれば、キャッシュレス化の流れは加速する。
一般的な両替機とは逆に「小銭をお札」に換える
2022年3月現在、日本での設置台数は約270台。設置場所は小売店の店内が多く、設置店舗によっては紙幣への交換ができず、商品購入代金の支払いのみのところもある。
枚数が少ない時はATMよりも手数料が少なくて済む
コインスター・マシンは手数料が定率で、1回5万円分までなら枚数は問われない。少額金種の硬貨が大量であれば、ゆうちょ銀行ATMと比して両替コストが安く済む。
取材・文/久我吉史