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【深層心理の謎】不可知論者は無神論者よりも信頼できるというのは本当か?

2022.05.19

「信じるか信じないかはあなた次第」ということにはなるのだが、その判断はいったん保留にしてもいいし、ジャッジは不可能だと諦めることもできる。そうした態度は“優柔不断”と言われても仕方がないかもしれないのだが――。

代々木駅前を歩き地下鉄の秘密について考える

 最後のエスカレーターを乗り終え、さらに数段の階段を昇ってようやく地上に出た。朝からの小雨はまだ続いている。時刻は夕方の5時半を回っていた。駅の北口を出て左に進む。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 麻布十番から乗ってきた都営地下鉄大江戸線をいったん代々木で降りることにした。JRに乗り換えるのに新宿まで乗ると、大江戸線の場合は思わぬ時間を費やしてしまうのである。山手線や総武線に乗り換えるなら代々木駅を使ったほうが無難なのだ。

 久しぶりの代々木なので少し歩いてみたい。今日は朝から何も食べていないので、どこかで遅すぎる昼食にしてみてもいいだろう。

 大江戸線に乗ったのも久しぶりだったが、新宿駅で乗り換える愚を避けることができたのはよかった。我ながらよく気づけたものだ。大江戸線は地下深くを通っている路線なので、上下の移動に思わぬ時間がかかるのだ。この代々木駅にしても地上に出るまでには3度もエスカレーターに乗ってきた。

 大江戸線は比較的新しい路線であるため、既存の地下鉄網よりも深いところを走るのを余儀なくされたという話にはなっているようだが、まことしやかな噂話としては、大江戸線の路線は戦争時に都市部の「核シェルター」として機能するように設計されたという説もある。なかなか物騒な話だが、確かにもしも都内でそういう事態になった場合、地下鉄に避難するのは相応しいようにも思える。

 駅の西口にやって来た。生憎の雨だがけっこうな人出だ。交差点の信号を渡った先の飲食店が密集しているエリアに足を向けてみたい。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 何かと不吉なほうへと考えが向いてしまっているが、ほかにも一般には公表されていない地下鉄路線が存在しているという“都市伝説”もよく聞かれる。有事の際などはそうした秘密の路線で要人などを避難させたり、物資を運んだりするというのである。

 しかしそんなことがあり得るのか? それはまさに「信じるか信じないかはあなた次第」ということにはなるだろう。

 そうした秘密の地下鉄路線があったとしても不思議ではないと思うが、“極秘”であるなら当然だが当局から情報が公表されることはない。将来的に“極秘”や“機密”の指定が解除されて公表されることがあるのかもしれないが、現時点ではどちらであれ憶測に過ぎない。

優柔不断でもモラルや信頼度は低く見られていなかった

 駅前の交差点の信号を待つ。遠くから飲食店の様子を見ると、こんな時間帯だが意外にも食事をしている人は少なくないようだ。やはり遅い昼食ということなのか、あるいは早々と仕事を終えてゆっくりと夕食を楽しんでいるのだろうか。確かに午後5時で終わる職場であればそれも可能だ。

 ともあれ都内の地下に秘密の地下鉄路線があるのかどうかの判断は保留しているのだが、これは神学論争でいうところの「不可知論(agnosticism)」であり、神はいるともいないとも言えないという中立的な態度を表す思想と相通じるものがある。この不可知論者は、神がいないと断言する無神論者とは異なる立場だ。

 我々は一般的にこの不可知論者に対してどんなイメージを持っているのか? 最新の研究では、何かと優柔不断に見られがちな不可知論者に対して新たな解釈が提供されていて興味深い。


 非宗教的なものへの偏見を調査する研究者は、しばしば無神論者と不可知論者を一緒にグループ化します。不可知論者は無神論者と同じくらい一般的ですが、不可知論者に関するステレオタイプに関する実証的研究は、無神論者に関するステレオタイプよりも少なくなっています。

 本研究では、不可知論者と無神論者の間で共有されるステレオタイプの内容と、各グループに固有のステレオタイプの内容を調査しました。

 マルチレベルモデリングにより、不可知論者は無神論者よりも優柔不断で、忠実で、道徳的で、愛国的で、安全で、寛容で、信頼できると認識されていることが明らかになりました。

 まとめると、これらの調査結果は、非宗教的な個人の一般市民のメンタルモデルに重要な異質性が含まれていることを示唆しています。

※「APA PsycNet」より引用


 カナダ・トロント大学の研究チームが2022年4月に「Psychology of Religion and Spirituality」で発表した研究では、非宗教的キャラクターである無神論者と不可知論者について、一般の人々が抱くイメージの違いを浮き彫りにしていて興味深い。

 神はいないと断言するのと、神がいるかどうかはわからないと主張するのはどちらも無信心の人物ではあるが、信仰心のない人間としてひとくくりにしてしまってよいものなのだろうか。

 研究チームはオンラインで合計362人の成人アメリカ人に調査を行い、不可知論者、無神論者、キリスト教徒のそれぞれに対してどのような偏見と固定観念を抱いているのかを探った。研究チームが特に焦点を当てたのは、無神論者と不可知論者の違いである。

 参加者の56%だけが不可知論を正しく定義できており、無神論者と不可知論者を同一視している割合もそれなりに多かった。しかし詳しく調査してみると、無神論者と不可知論者の違いも浮き彫りになったのだ。

 回答を分析した結果は、無神論者が不可知論者と比較して道徳的、信頼性、安全性が低いと評価されたことが示され、不可知論者は無神論者よりも信頼できると評価されたのだ。

 また不可知論者は無神論者やキリスト教徒(プロテスタント)よりも独断的ではないものの、無神論者よりは寛容であると見なされていて、不可知論者は無神論者と同等に勇敢で、予測可能で、忠実であると評価されたのである。つまり不可知論者は無神論者よりもモラルが高く、信頼できる人物であると見られていたのだ。不可知論者はキリスト教徒と無神論者よりも優柔不断であるとは見られているものの、モラルや信頼度などにおいてそれほど悪くは評価されていないことになる。

 東京都内に秘密の地下鉄路線があるのかどうか、判断を保留して優柔不断に見られることを特に恐れる必要もないようである。

豚汁定食にアジフライで遅すぎる昼食を楽しむ

 信号が青になり、交差点を渡る。交番の左に飲食店が立ち並ぶ通りがある。立ち食いそばにとんかつ、ハンバーガーに餃子とよりどりみどりだ。左右の歩道にも店が並んでいるが、まずは通りに足を踏み入れることにする。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 ラーメン店が多いが、焼肉屋もあればカレーの専門店もある。雨だけにあまり迷っているわけにはいかない。学生や予備校生が多いエリアということで食べ応えのあるメニューの店が目立つのだが、店先に紺色の大きな暖簾がかかっている少し落ち着いた感じの店があった。

 暖簾には「とん汁」の文字がある。豚汁の定食を出す店のようだ。けっこう珍しいし、食べてみたい気がする。入ってみよう。

 店内は4人がほどが座れるカウンターとテーブルが4、5卓あり、案外こぢんまりとしているが2階もあるようだ。お店の人に促されて手の消毒をしてから一番奥のカウンター席に着いた。

 辛味噌のチゲになったものやカレー味の豚汁などもあり、もつ煮込みやスペアリブもあっていろいろ魅かれるメニューがあるのだが、やはり一番代表的な豚汁定食とアジフライがセットになったメニューを注文した。ご飯は大盛りが無料だが、今日はこの後遅くなってから晩酌するのは明らかなので普通盛りにしてもらう。

 豚汁は自分も“とんじる”と呼び、この店も“とん汁”と表記しているが、“ぶたじる”と呼ぶ地域もあることは知っている。どっちが正しいというのような話ではなく、どちらでも通じるのは確かだ。

 その一方で豚丼を“とんどん”と呼ぶ人はまずいないように思う。豚丼については“ぶたどん”なのだろう。同じく“とんかつ”は議論の余地もないが、それでも“ぶたかつ”が通じないわけではない。

 他方、豚のホルモンを串焼きにしたのが“やきとん”だが、漢字では同じの“やきぶた”はチャーシュ―の意味でまったく違った料理になってしまう。なかなか面白いものである。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 豚汁定食がやってきた。豚バラ肉がこんもりと盛られていて、四分の一丁ほどの絹ごし豆腐も入っていてじゅうぶんなボリュームだ。さっそくいただくことにしよう。

 レンゲで汁をひと口啜る。マイルドな味噌の風味と豚バラ肉の脂身でコクのある味わいだ。ご飯がすすむというものである。感染症対策ということなのか、お盆に乗ってきた小分けパックの中濃ソースをかけていただくアジフライもサクサクした歯応えで美味しい。

 この店のすぐ近くにはJRの線路が敷かれているし、地下のそれほど遠くない場所には大江戸線が走っているのだろう。もし秘密の地下鉄路線があるとすれば、どこに繋がっているのかといろいろと考えてみても面白そうだが、自分としては鉄道やバスでの移動は最小限にとどめてなるべく地上を歩きたいほうである。地下の暗いトンネルを2駅くらい移動するなら、時間が許せば地上を歩いて行きたくなる。歩いていなければ今いるこの店にだって出くわしてはいないのだ。

文/仲田しんじ

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