毎年開催される、グーグルの開発者向けイベント「Google I/O」。今年は、Pixel 6aやPixel Watchといった多数のデバイスに加え、Android OSの最新バージョン「Android 13」に関する情報や、Googleマップ、Googleレンズといったアプリの新機能が紹介されています。
本記事では、Google I/O 2022にて紹介された、Android 13の最新情報や、各アプリの新機能を紹介していきます。Pixel Watchといった、新登場のデバイスに関しては、別の記事で紹介しているので、気になる人はそちらも併せてチェックしてみてください。
Android 13ではタブレットやスマートウォッチとの連携機能を強化!
「Pixel」シリーズなどではすでにベータ版が配信されているので、試している人もいるかもしれませんが、2022年7月以降に製品版が配信されるAndroid 13では、Androidタブレットや、「Wear OS」を搭載したスマートウォッチとの連携機能が大幅にアップグレードされています。
具体的には、スマートフォンと連携したWear OS搭載スマートウォッチにて、緊急通報が行えるようになったり、ChromebookとAndroid 13搭載スマートフォンを連携すれば、スマートフォンに届いた通知に、Chromebook上から返信可能となります。
また、ドラッグ&ドロップの動作で、スマートフォンと接続したタブレットへコピー&ペーストが行えるようになります。タッチペンでの操作時には、手が触れてしまった際の誤操作を防ぐ機能が搭載されます。
グーグルは、タブレットやフォルダブルスマートフォン向けのOSである「Android 12L」を開発しており、Google I/O 2022でも、グーグル自社製のタブレットを2023年に発売することを発表。今後、スマートフォンよりも大きいディスプレイを搭載したデバイスにおいても、ソフト・ハードともに開発していく意向が伺えます。
Google Walletの進化にも注目
Android 13にて大幅な進化と考えられる要素が、「Google Wallet」アプリ。以前、同じ名前で決済向けアプリが配信されていましたが、今回新たに、飛行機のチケットやポイントカード、車の鍵などを、1つのアプリにまとめる、まさに“Wallet”のようなアプリになります。
日本国内でどこまでサービスの利用ができるかは、執筆時点(2022年5月中旬)では不明ですが、アメリカでは、2022年後半に、運転免許証や身分証明書の登録に対応予定となっています。
イメージとしては、iOSのWalletアプリに近づく印象。iOSのWalletアプリでは、日本国内でもポイントカードや映画の入場券などを1つにまとめることが可能な、完成度が高いアプリになっているので、Androidスマートフォンでも、同等の体験ができるようになると嬉しいですね。
デザインはAndroid 12の「Material You」を踏襲
Android 13の全体的なデザインは、Android 12より採用されている「Material You」を引き続き採用しています。大きくデザインが変わるわけではありませんが、言語設定をアプリ単位で切り替えられるようになるなど、細かなカスタマイズ力が向上しています。
Googleマップで街探訪の疑似体験ができる新機能「Immersive View」
Googleマップには、数十億のストリートビューと航空写真を合成して3D空間を生成し、実際に街中を散策しているような体験ができる「Immersive View」という機能が追加されます。
本機能は、タイムスライダー機能を使用することで、立体的に再現された都市を、自由な時間や天気に設定して確認できます。また、街中で気になるお店を見つけたら、そのまま店の内観まで覗けるようになるとのことです。
日本の都市でいうと、2022年後半に東京の街並みにて利用可能になります。対応都市は、順次拡充予定としています。
現実世界でリアルタイムに「Ctrl+F」キーが利用可能!? 検索機能も強化
検索機能における新機能には、Googleレンズアプリで利用できる「Scene Exploration」があります。これはスーパーやコンビニの陳列棚にカメラを向けるだけで、製品の情報がリアルタイムに表示されるというもの。気になる食品に、アレルギー物質が使用されていないか調べる際などに便利そうな機能です。
Google I/O 2022内では、この機能を「現実世界でCtrl+F(検索のショートカットキー)が使えるようになる」と説明しています。知りたいことを、カメラをかざすだけで調べられるようになるので、日常生活だけでなく、学習面においても活躍しそうな機能です。
2022年4月に発表済みの、写真とテキストを組み合わせて検索ができる「Multisearch」機能には、新たに位置情報を組み込めるようになります。これにより、検索結果を自分の現在位置に近いものだけに絞り込めるので、近所のレストランを調べるといった作業が簡単になります。
AIの会話力が今年も大幅強化
Googleアシスタント機能を利用した際には、AIが文章を生成して適切な回答をするために、言語モデルである「LaMDA」が利用されています。これが新たに、「LaMDA 2」に進化し、より自然な会話ができるようになります。
「世界で一番深い海にいたらどうなる?」といった、難解な質問にもスムーズにこたえられるようになるほか、ユーザーの質問中に、自然に相槌をうつなど、より人間らしさがアップします。
ソフトウエアの進化でデバイス間の連携を強化!
Android 13では、タブレットやスマートウォッチとの連携を強化。加えて、財布のように、チケットやポイントカードを1つのアプリに統合するGoogle Walletや、現実世界で検索機能が利用できるようになるなど、さまざまな新機能が発表されたGoogle I/O 2022。
本記事では触れていませんが、今回のGoogle I/Oでは、自社製スマートウォッチ「Pixel Watch」をはじめ、「Pixel 6a」「Pixel 7/7 Pro」「Pixel tablet」といった多数のデバイスも登場。自社製チップの「Google Tensor」を搭載しながら、Android 13といったソフトウエアでコントロールすることで、デバイス間の連携力が向上し、より快適に使えるようになると考えられます。
複数の自社製デバイスをソフトウエアでコントロールし、連携力を高めるという方向性は、アップル製品に近づく印象もあります。iPhoneとiPad、Mac製品が、同一のApple IDでログインすると、データの連携を簡単に行えるように、身の回りのデバイスをグーグルの製品に統一し、同一のGoogleアカウントでログインすることで、多数のデバイスを便利に活用できるかもしれません。
本記事で紹介したそれぞれの新機能が利用できるタイミングや機種は定かではありませんが、日常生活にシームレスさをもたらすこれらの機能が、ユーザーの体験をどのように変えていくのか、今後も期待が膨らむばかりです。
取材・文/佐藤文彦