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有権者におにぎりを提供するのはOK?覚えておきたい公職選挙法の違反基準

2022.06.06

選挙に関するルールは、『公職選挙法』で詳細に定められており、あまり知られていなかったり意外に思えたりする違反項目も存在します。公職選挙法の内容や具体的な違反例を把握し、選挙が正しく行われているか見極められるようになりましょう。有権者側の違反についても紹介します。

公職選挙法とは

ニュースなどで『公職選挙法』という言葉を耳にしたことがあっても、その内容について詳しく把握している人は少ないのではないでしょうか。まずはどのような法律なのか解説します。禁止されている項目や、違反した場合の罰則についても見ていきましょう。

選挙の方法などを定めた、選挙に関する法律

『公職選挙法』は、1950年に制定された選挙に関する法律です。大きく分けると、『公職(国会議員や地方公共団体議員、首長)の定数』『選挙の仕組み』について定められています。

例えば、1票の格差が過度にならないように度々調整を行い、衆議院と参議院それぞれの議員定数を定めています。国民が立候補者に投票できる『選挙権』や、選挙に立候補できる『被選挙権』の年齢を定めているのもこの法律です。

選挙区の区割りや制度、期間など、どのように選挙を進めるかについても細かく決められています。

参考:公職選挙法 | e-Gov法令検索

候補者が有権者を買収することは禁止

公職選挙法違反として、度々ニュースなどで報道される機会があるのが、『買収』です。候補者が自分に投票してもらうために、有権者を買収することは禁止されています。特定の候補者に投票してもらう、もしくは投票させないようにする行為も禁止です。

具体的には、有権者に金銭や物品を渡したり、接待したりするなどの行為です。選挙運動期間中か否かにかかわらず、申し込みや約束をしただけでも罰則の対象になります。買収された側も処罰されるため注意しましょう。

公職選挙法に違反した場合の罰則

公職選挙法に違反した場合は、『罰金』『禁錮』『懲役』などの刑罰が科されます。さらに、『当選無効』や『選挙権の停止』なども加えられます。

原則として、たとえ当選しても有罪になれば、当選は無効です。例外もありますが、刑罰を科された人は、一定の期間中は選挙権や被選挙権が停止され、選挙に参加できません。

候補者の親族や秘書などが刑罰を科された場合でも『連座制』が適用されると、候補者当選の無効や立候補が一定期間制限されるといった処置がとられます。

基本的な選挙のルール

演説をする男性

(出典) photo-ac.com

選挙に関するルールは、詳細に定められています。具体的にどのようなルールがあるのでしょうか?知っておきたい基本的なルールを紹介します。

選挙運動ができるのは選挙期間のみ

候補者は、選挙で有権者からできるだけ多くの票を獲得するために『選挙運動』をしますが、いつでも可能なわけではなく、期間が定められています。

選挙運動ができるのは、『公示(告示)日に候補者が届け出をしてから選挙期日(投票日)の前日まで』です。立候補の届け出前に選挙運動をすると、『事前運動』となり違反とされます。

選挙運動期間は、選挙の種類によって異なります。例えば、衆議院議員選挙は『12日間』、参議院議員選挙は『17日間』です。町村長・町村議会議員選挙は『5日間』と短くなります。

戸別訪問は禁止

候補者・有権者にかかわらず、投票依頼を目的に住居や店舗などを戸別に訪問するのは違法です。演説の告知や候補者の氏名などを言い歩く行為も禁止されています。

認められているのは、『演説会』や『街頭演説』、選挙カーでの『連呼行為』などです。ただし、同時に開催できる数や時間帯など、一定の制限があります。

選挙運動に使用可能なビラ・ポスター・新聞広告などの『文書図画』にも規制があります。候補者・有権者ともに、ホームページや、Twitter、FacebookなどのSNSの利用は可能です。ただし電子メールについては、有権者の選挙運動への利用は禁止されており、候補者や政党などに限定されています。

未成年者は選挙運動ができない

誰でも選挙運動ができるわけではなく、未成年者は禁止されています。長らく成人年齢は20歳でしたが、民法改正により2022年4月1日から『18歳』に変わりました。そのため、未成年者とは『18歳未満』の人を指します。

候補者の家族や親族についても同様です。例えば、中学生である候補者の娘が、街頭演説でマイクを通して応援のメッセージを送ると、選挙運動とみなされ違反になります。

近年は誰でも気軽にSNSで発信ができ、自分にそのつもりがなくても選挙運動とみなされるケースもあるため注意しましょう。

有権者に提供、寄付してはならないもの

お歳暮、お中元

(出典) photo-ac.com

政治家が有権者に提供や寄付をすると、違反になる場合があります。具体的にどのようなことが禁じられているのか見ていきましょう。

湯茶とわずかなお茶請け以外の飲食物

原則的に、政治家が有権者に飲食物をふるまうのは禁止です。例外として、『湯茶と通常用いられる程度の菓子』の提供は認められています。

線引きが難しいところですが、選挙期間中に事務所に来た訪問者にお茶とせんべいを出す程度であればよいとされています。大量の菓子や持ち帰りができるペットボトルや缶のお茶は、例外に該当しません。

かつて衆院選の選挙活動中に、演説に集まった有権者におにぎりを配ったことで、公職選挙法違反として事情聴取を受けた政治家もいます。

お中元やお歳暮、差し入れなどの寄付

たとえ妻や秘書名義だとしても、政治家が選挙区内の有権者に寄付をすることは違反です。お中元やお歳暮をはじめ、お祭りやスポーツ大会など地域のイベントへの飲食物の差し入れも含まれます。病気見舞いや入学・卒業祝いも寄付に該当します。

ただし例外もあり、本人が自ら出席する結婚披露宴の祝儀や通夜・葬式の香典を渡すことは可能です。本人が出席していること、選挙目的でないこと、一般の社交範囲を超えないことが条件です。

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